
セルフストレージ(※)事業「ハローストレージ」を全国47都道府県で展開し、業界トップシェアを誇るエリアリンク株式会社。圧倒的な事業規模とデータを活用した緻密な戦略を強みに、日本のストレージ市場を牽引するリーディングカンパニーだ。同社を率いるのは、入社時に「3年で部長になる」との宣言を現実のものとし、異例のスピードでキャリアを駆け上がった代表取締役社長の鈴木貴佳氏。創業会長から経営のバトンを受け継いだ若きリーダーは、組織をいかにして次なる成長ステージへと導くのか。その冷静な思考の裏に秘められた情熱と、次世代リーダーの育成にかける思いに迫る。
※セルフストレージ:利用者がコンテナやビルの一室などをレンタルし、荷物を自由に収納・管理できるサービスのこと。
有言実行で駆け上がったキャリア
ーーどのようにして、これほどの異例なスピード出世を遂げられたのでしょうか。
鈴木貴佳:
入社時に「3年で部長になります」と全社員の前で宣言したことがすべての始まりです。特に深い根拠があったわけではありませんが、私には「言ったからには絶対にやる。やらないなら言わない」という譲れない信念があります。
宣言を果たすため逆算したところ、年に2回の評価会議で毎回欠かさず昇進し続ければ、3年で部長に到達できると気づきました。そこからは「これならいける」と確信し、ただただがむしゃらに努力し、半年ごとに昇格を積み重ねました。実際には、3年目に「部長にはまだ早い」と踊り場として新設された「部長代理」を提示されましたが、その悔しさをバネにさらに加速。結果として、4年で執行役員、5年で取締役に就任し、宣言以上のスピードで目標を具現化してきました。
ーー短期間で成果を出し続けるために、何を徹底されたのでしょうか。
鈴木貴佳:
「意味のあることと、意味のないことを絶対に見極める」ということです。自分の成長や会社の成果に直結しないことは、周囲がどうあれ一切やりませんでした。たとえば、慣習的な残業や目的のない交流は徹底的に排除しました。
代わりに注力したのは、社内で圧倒的な結果を出している人材の分析です。なぜその人が成果を出せているのか。働き方から思考のルーティンまでを観察し、その本質を自分に落とし込みました。周囲に流されず、やるべきことに集中し切る。このストイックな姿勢こそが、スピード昇進の源泉でした。
業界No.1を牽引するエリアリンクの強み

ーー貴社の事業内容と特徴を教えてください。
鈴木貴佳:
私たちは「ハローストレージ」というブランドを全国展開しています。管理室数は12万5,000室を超え、国内最大規模を誇ります。特徴は、不動産というアナログな領域でありながら、徹底的に「データ」を重視している点です。どこに出店すれば収益が最大化し、どれほどの期間で満室になるか。外部の専門機関とも連携し、緻密なシミュレーションを行う体制を突き詰めています。

ーー競合がいる中で、選ばれ続ける理由は何でしょうか。
鈴木貴佳:
一つは、圧倒的な規模が生む集客力です。物件数が多いため、お客様が探す際に最初に出会うのが当社の物件になります。この圧倒的な認知が早期の満室化を実現し、さらなる積極的な店舗展開を可能にするという強力なサイクルが回っています。また、上場企業としての信頼と、各地の地主様・不動産会社様との長年のパイプも、他社が容易に真似できない強みです。
創業会長から受け継ぐものと、自らが築く未来
ーー2023年に代表取締役社長へ就任されましたが、その経緯をお聞かせください。
鈴木貴佳:
会長から打診があったのは2020年のことでした。以前から会長は親族に継がせない方針を公言されており、私もいつかは自分がその役割を、という思いがあったので純粋に嬉しかったです。
それから就任までの3年間、準備期間を設けました。会長が70歳になる節目での交代に向け、役員陣と連携して次期体制の事業計画を練り上げてきました。この3年間で経営者としての覚悟を固め、準備を進められたことは非常に大きかったと感じています。
ーー創業者が築いた文化を、今後どのように発展させていきますか。
鈴木貴佳:
私がこの会社での経験を通じて最も価値を感じているのは、「どうすれば達成できるか」を考え抜く姿勢です。かつては前年比120%という高い目標を課され、必死に食らいついてきましたが、この「決めた目標は絶対にやり遂げる」という強いコミットメントを会社の文化として定着させていくことが、私の役割だと考えています。
一方で、これからは組織全体で成長していくフェーズです。私は、社長は偉いのではなく、責任の重い「役割」に過ぎないと考えています。会長のような強力なカリスマを模倣するのではなく、自分自身の強みを活かし、驕らず謙虚に学び続ける。誰もが一つの目標に向かって力を発揮できる、盤石な組織体制を築いていきたいと考えています。
社員と共に成長する組織へ 次世代育成への情熱

ーー今後の事業拡大に向けて、特に注力したいことは何でしょうか。
鈴木貴佳:
若手の抜擢と、次世代リーダーの育成です。私自身の歩みがそうであったように、「立場が人を育てる」という側面は非常に大きい。責任ある役職に就くからこそ、その視座に合わせて人は成長します。この経験を、今の若い世代にも提供していきます。
現在、エリアリンクでは教育に並々ならぬ力を入れています。意欲ある人材を抜擢し、成長の機会を与え、その成果に対しては高い給与で報いる。「成長と報酬の好循環」を確立させることは、私の経営における最優先事項の一つです。
ーーどのような会社を目指していますか。
鈴木貴佳:
社員が「自分の大切な人に、エリアリンクで働いていることを誇れる会社」にしたいと考えています。給与や働きやすさは前提として、それ以上に「気持ちの面での充実度」を最大化したい。そのためには、世間からの認知度をさらに高め、「ハローストレージ」というブランドを誰もが知る存在にする必要があります。社員が自信を持って働き、精神的にも満たされる。そんな組織を作ることが私の目標です。
ーー10年後のビジョンを教えてください。
鈴木貴佳:
日本のストレージ市場は、海外と比べてもまだまだ大きな伸びしろがあります。2029年までに管理室数を現在の倍である20万室に拡大させ、圧倒的な地位を固めます。誰もが憧れ、簡単には入社できないけれど、入った後には飛躍的な成長が約束されている。そんな魅力ある企業グループへと進化させます。
日本の景色を変え、誰もが憧れる企業グループへ
ーー最後に、この記事の読者に向けてメッセージをお願いします。
鈴木貴佳:
エリアリンクはこれからさらに進化し、日本のどこへ行っても私たちの看板を見かける未来を作ります。3年後、5年後の姿にぜひ期待してください。
特に、自らの手で未来を切り拓きたいと願う若い皆さんと、切磋琢磨しながら新しい世界を作っていけることを、心から楽しみにしています。
編集後記
「言ったからには絶対にやる」。鈴木社長の言葉には、それを裏付ける圧倒的な実績の重みがあった。入社時の宣言を有言実行で成し遂げたキャリアは、徹底した合理性と目標達成への執念の賜物だろう。その冷静な分析力の一方で、社員の幸せや次世代の育成について語る際には、内に秘めた熱い思いが垣間見えた。創業会長から受け継いだ“やり遂げる力”というDNAに、組織力を重視する自身の哲学を融合させ、エリアリンクは次なる成長ステージへと向かう。同氏の挑戦は、多くの若手ビジネスパーソンにとっても大きな刺激となるに違いない。

鈴木貴佳/2011年にエリアリンク株式会社に入社。入社時に掲げた「3年で部長」の宣言を、徹底した合理性と目標達成への強い意志で具現化し、異例のスピードで昇進を重ねる。2015年に執行役員、2016年に取締役に就任し、ストレージ本部長として主力事業を牽引。2021年に常務、2022年に専務を経て、2023年、代表取締役社長に就任。