※本ページ内の情報は2026年3月時点のものです。

科学的根拠に基づくペット用サプリメント「アニミューン®」を展開する株式会社HACHI。動物病院との直接取引という独自のモデルで急成長を遂げる同社を率いるのは、代表取締役社長の長谷和俊氏だ。「10年で業界を進化させる」と語る長谷氏は、動物医療向けプロダクト事業を足がかりに、ITテクノロジーの活用でペットのメディカル領域の変革を見据えている。起業の原点にある強烈な反骨心から、ペットと飼い主のための未来図まで、その情熱の源泉に迫る。

実家の病院で感じた業界の停滞と変革への確信

ーー起業を志した背景にある原体験についてお聞かせください。

長谷和俊:
実家は動物病院を経営しており、祖母の代をさかのぼれば江戸時代から続く材木屋という、生粋の商人の家系に育ちました。そのため、私にとって起業や商売は特別なことではなく、ごく身近な環境だったのです。

そんな私の原体験となっているのが、小学生の頃に目にした「平成の大合併」です。古い村の秩序や既得権益が崩れ、新たな形へと再編されていく。そのダイナミックな変化の瞬間に、子どもながらに面白さを感じていました。

当時の経験から、一人の起業家として社会を動かすことに強い関心を持ちました。自分の能力やリソースを分析し、短期間で社会に大きなインパクトを残せる領域を探し続けてきたのです。

ーーペット業界を挑戦の場に選ばれた理由をおうかがいできますか。

長谷和俊:
多くの業界が変わるには30年かかりますが、ペット業界なら10年で進化させることができると確信したためです。そう考えた背景には、実家の動物病院のIT化を手伝った経験があります。当時は遠隔診療や採用活動のDXを進め、一つの病院内では大きな成果を上げられました。しかし、それから10年経っても、業界全体を見渡すとIT化はほとんど進んでいなかったのです。

この遅れが、結果的に飼い主様や動物たちの不利益につながっている。この現状を「何とかして変えなければならない」という強い使命感と、テクノロジーで劇的に変えられるという確信がありました。30年かけるのではなく、10年で業界を進化させる。その決意が、起業への大きな原動力です。

少人数のチームで爆発的なシェアを築く独自戦略

ーー貴社の主力事業について教えてください。

長谷和俊:
「アニミューン®」という、科学的根拠に基づいたサプリメントを展開しています。最大の特徴は、原材料である「フアイア」のエビデンスレベルの高さにあります。1000人規模の臨床試験で有効性が証明されており、これほど厳密なデータを持つ製品は他にありません。

科学的根拠に基づいた本物の製品を普及させ、動物たちの未来を劇的に変えていく。それが私たちの揺るぎないミッションです。

ーー製品はどのような戦略で市場に届けているのですか。

長谷和俊:
私たちはできるだけ仲介業者を介さず、全国の動物病院と直接取引を行うB2B2Cモデルを採用しています。この形をとったのは、本来不要なコストを抑え、その分を製品の原価や研究開発に投じるためです。製薬業界での経験から、従来の流通システムに疑問を感じていました。専門家である獣医師の先生を介して届けることで、飼い主さまへの信頼性を何よりも大切にしています。

通常、数千もの病院と直接取引をするには膨大な手間がかかります。しかし、私たちは契約プロセスなどの煩わしい工程を、ITの力で徹底的に簡略化し、自動化しました。この仕組みこそが、私たちの成長の核です。わずか数名のチームでありながら、2カ月で300件もの提携先を広げられたのは、徹底した仕組みづくりがあったからに他なりません。

世界に挑む日本発ブランドの確立と未来を共創する組織の在り方

ーー今後の展望についてはどのようにお考えですか。

長谷和俊:
「アニミューン®(ANIMMUNE®)」はもともと英語圏での展開を前提とした名称です。英語圏の方々がこの名を聞けば、直感的に「アニマル(動物)」と「イミューン(免疫)」を連想し、「動物の免疫に関する製品ですね」と即座に理解してもらえる意図があります。根拠となる論文も英語です。英語圏の医師であれば一次情報である論文に直接触れてその価値を判断できるため、非常に広めやすい土壌があると考えています。

そして、日本発のサイエンスブランドとして世界市場に挑みます。現在、ペットの健康領域に限定すれば、世界で存在感を示せている日本企業は皆無に等しいのが現状です。科学的根拠に基づいた本物の製品を通じて、「世界に通用するヘルスケアブランド」を目指します。

ーー貴社が求める人物像についてお聞かせください。

長谷和俊:
自分の人生の主導権を握り、覚悟を持って選択してきた意思ある人を求めています。現在、弊社には、そうした主体性を持ったメンバーしかいません。同時に、未知の領域で成長するために欠かせない、真摯に学ぶ姿勢を重視しています。自分の知らないことや間違いを潔く認め、吸収できる素直さは、一つの知性だと考えているためです。強い意志と、他者から謙虚に学ぶ素直さ。この両方を兼ね備えた方と一緒に働きたいと考えています。

ーー今、貴社に参画するからこそ得られる魅力は何でしょうか。

長谷和俊:
業界の歴史が大きく変わる瞬間を、当事者として共につくり上げていく経験ができることです。私たちは常に新しい挑戦を続け、動物たちを救い、業界全体を進歩させていきます。そんな未来を一緒につくっていけるのは、5年後には味わえない。今このフェーズだからこその面白さです。完成された組織ではなく、未来を創るワクワク感を求めている方には、最高の環境だと思います。

編集後記

長谷氏の言葉から伝わるのは、秩序が塗り替えられる瞬間の高揚感だ。少年の頃に抱いた好奇心は、今や業界の構造を10年で変えるという壮大な構想へ昇華されている。科学的根拠を武器に、最新技術で獣医療の土台を刷新しようとする挑戦。それは、不合理な慣習を打破し、新たな価値を創造しようとするすべての者にとって、大きな勇気を与えるだろう。変革の当事者として歴史に名を刻む歩みは、これからも加速し続けるはずだ。

長谷和俊/大学卒業後、家業の動物病院経営に携わった後、外資系製薬会社にて動物病院営業を経験。2016年に動画マーケティング事業で起業。2020年9月に株式会社HACHIを設立し、動物病院専用のペットの免疫ケアプロダクト「アニミューン®︎」を発売。わずか2年で全国2000院との契約を実現し、2022年に「日本中小企業大賞 優秀賞」を受賞。獣医療業界の新しい価値創出に挑戦している。