
採用コンサルティングや採用支援、人事DXサービスの開発など、多角的な事業展開で急成長を遂げるHR Tech Management 株式会社。「人の活躍する舞台を創り続ける」をミッションに掲げ、顧客企業の課題解決だけでなく、社員が経営者として飛躍できる環境づくりにも注力している。常識にとらわれない発想で事業を生み出し続け、同社を牽引するのが、代表取締役の留岡到氏だ。今回、原点にある強烈な体験と、人生を劇的に変える思考法、そして同社が目指す壮大なビジョンについて話を聞いた。
メンタルブロックを外した型破りな恩師との出会い
ーー現在の価値観や考え方の根幹となった、過去の原体験についてお聞かせください。
留岡到:
私の人格や考え方の根幹は、小学校6年生の時の担任の先生との出会いにあります。先生は柔軟な発想をお持ちの方で、新学期初日に私物の漫画を教室の棚に並べたり、休み時間にはオルガンの使用を認めてくれたりと、既成概念にとらわれない自由な教育方針で接してくれました。
私にだけオルガンの使用許可が出されたことで、まわりからは特別扱いされているように見られ、周囲から浮いてしまい、いじめに近いつらい思いをしたこともありました。それ以来、私は集団の空気や人目を極度に気にするようになり、あえて先生と距離を置こうとしました。しかしある時、先生に呼び止められ、「人目を気にして遠慮せずに、本当にやりたいことはそのままやっていい」と諭されたのです。
この言葉は、私の中で行動を縛っていた「周囲の目や空気を読んで、やりたいことを我慢しなければならない」というメンタルブロックを壊しました。私は「自分の意志を優先して良い」という許可をもらった感覚でした。
それ以来、私は周囲の目や常識にとらわれることなく、「自分はどうしたいか」という確固たる意思を明確に持ち、行動できるようになったのです。この解放された経験こそが、現在の私の経営スタイルや生き方の原点になっています。
「負」の解消がビジネスの勝機 HR領域の常識を覆す事業展開
ーー貴社の事業内容と、その強みについてお聞かせください。
留岡到:
現在は大きく分けて二つの軸で事業を展開しています。一つは、企業のコア人材、営業職や人事、エンジニアなどの専門職に対し、採用コンサルティングやRPO(採用代行)を提供する人材事業。そしてもう一つが、HR領域におけるSaaS開発などを行うテック事業です。私たちのビジネスの根幹にあるのは、世の中の「負」の解消です。「不便」「不満」「不平等」といったネガティブな要素を見つけ出し、それを解消する仕組みを提供することこそが、事業の共通した強みとなっています。
ーーそうした独自のビジネスアイデアは、どのように生み出されているのでしょうか。
留岡到:
徹底した「観察」から生まれています。私は常に、自分が何者であり、世の中がどう反応するかを観察しています。新しいアイデアや仮説を立てた際、それに対する業界や人々の反応を注意深く見る「観察思考」を大切にしています。世の中を変えるような非凡なアイデアほど、最初は周囲から理解されなかったり、反発を受けたりするものです。しかし、そこで思考を止めず、高速でPDCAを回しながら精度を高めていく。月にいくつもの新規事業案を出し、その中から本当に解決すべき課題を見極めて事業化しています。
経営経験こそが最大の成長。社員の独立を全力で後押しする理由

ーー組織づくりにおいて、どのようなことに取り組まれていますか。
留岡到:
組織づくりにおいては、経営者を育成・輩出することを何より重視しており、社員の独立やグループ会社社長への就任を全面的に推奨しています。経営者としての経験こそが、人を最も成長させると確信しているからです。
かつて経営していた美容室で若手の独立を後押しした際、彼らが夢を叶えていく姿を見た時、私は大きな喜びを感じました。会社を「人の活躍する舞台」とし、そこから多くの経営者を世に送り出すことこそが、私の使命だと考えています。
(※)HRDX:人事(HR)の領域にデジタル技術(DX)を活用し、人事業務の効率化だけでなく、戦略的な人材活用や組織・企業文化そのものを変革する取り組み。
人生を変える「未来紹介」という思考法
ーー組織を率いる上で大切にされている姿勢について教えてください。
留岡到:
多くの人は自己紹介の際、過去の経歴や現在の肩書きを話します。しかし、私は未来のあり方を紹介する「未来紹介」こそが重要だと考えています。人は過去や現在よりも、その人の未来に興味を持つものです。将来どのような人間になるかを先に宣言してしまえば、自分自身の意識が未来の理想像に固定され、現在の行動も変化していきます。自分の思いを口にすることで、現実もその通りになっていくのです。
この考え方をベースに、社員には過去の実績にとらわれず、自分がどうありたいかという未来のスタンスを明確にするよう伝えています。マインドセットが変われば行動が変わり、人生そのものが変わるからです。
私自身、料理人や学習塾経営など一見ばらばらなキャリアを歩んできました。しかし、根底にあるのは常に理想とする「在り方」の追求でした。社員にも、仕事を通じて自分の理想の人生を実現してほしいと願っています。
ーー最後に、今後の展望や長期的なビジョンについてお聞かせください。
留岡到:
10年後には、弊社を日本一の「ステータス企業」にしたいと考えています。
私たちが目指すのは、入社すること自体が社会的地位の証明となるような会社です。在籍しているだけで優秀な人材として周囲から認識され、社員の家族からも誇りに思ってもらえる。そのようなブランド価値を持つ企業に育て上げることが目標です。
そのために、常識にとらわれない発想で新規事業に挑戦し、社員一人ひとりが輝ける最高の環境を用意し続けます。私たちの挑戦はまだ始まったばかりですが、必ず実現できると信じています。そうした歩みの先に、私たちが目指す「人の活躍する舞台を創る」未来があると確信しています。
編集後記
留岡氏の語る「未来紹介」は、自身のキャリア観を組織論に昇華させた独自の思考法だ。この思考は、常識や周囲の目に縛られない自由な行動を認めた恩師の教えに根差している。多くの企業が慣習として受け入れている非効率な「負」に目を向け、それをテクノロジーによって根本から覆す挑戦を続ける同社。社員の独立や経営者への成長を全面的に支援する同氏の姿勢は、会社を個人の夢を実現させるための「舞台」と捉える強い使命感の表れだ。10年後、入社が社会的地位の証明となる企業を目指す壮大なビジョンは、日本のビジネスの未来を書き換える可能性を秘めている。

留岡到/19歳でフランスに渡りシェフ修行を積み、帰国後キッチンカー「GRILL TOKYO」で第1回グルメ選手権優勝。その後飲食・美容・福祉と業界の垣根を越えて起業とM&Aを重ね、事業構築の実践知を蓄積。現在はHR Tech Management株式会社代表取締役CEOとして「人の活躍する舞台を創り続ける」を信念に業種・職種を問わず人材と企業をつなぐ事業を多角的に展開。社会のあらゆる領域で人が輝く場を創出し続けている。