
「人と不動産のかけ橋」を企業理念に掲げ、中古マンションの買取再販事業で急成長を遂げる株式会社リアークスファインド。創業からわずか10年余りで売上高100億円を突破する見込みの同社は、業界の常識を覆すプル型営業への転換や、独自の品質基準を設けたリノベーションブランドの展開により、新たな市場価値を創造し続けている。所持金10万円で鹿児島から上京し、トップセールスを経て起業した代表取締役の大人慶太氏は、かつて「金と権力」を求めた野心家だったという。しかし、悩み抜いた末に同氏が辿り着いたのは、「社会に真の価値を生み出す」という確固たる信念だった。新規上場を通過点とし、売上高1000億円企業を目指す同社の成長の源泉と、厳しくも温かい独自の組織文化について、同氏に話を聞いた。
所持金10万円で上京 葛藤の末に見出した「ありたい姿」
ーーまずは、キャリアの原点についてお聞かせください。
大人慶太:
私は鹿児島県の出身で、7人兄弟の4番目として育ちました。大学には進学せず、社会人としての常識もなければ標準語もうまく話せないような状態で東京へ出て来ました。正直にお話しすると、所持金10万円だけを握りしめて上京し、不動産会社に拾ってもらったというのが、私のキャリアのスタートです。
最初は本当に何もできない自分でしたが、「このままではいけない」という危機感だけは人一倍強かったですね。図書館に通って独学で勉強したり、先輩に教えを請うて自分に合う営業スタイルを模索したりと、とにかく社会人として当たり前のことを愚直に積み重ねました。その結果、2年連続で年間トップセールスを達成することができ、入社3年目には「自分でもやれるんだ」という自信が芽生えたように思います。ただ、それは私の才能ではなく、周りの上司や先輩方が支えてくれたおかげで出せた成果だと、今でも感謝しています。
ーーその後、どのようなきっかけで独立・起業の道を選ばれたのでしょうか。
大人慶太:
上京当初から起業への思いはありました。その後、会社の転換期や後輩の後押しもあって29歳で独立を決意します。ただ、いざ起業を目前にすると、「自分はどんな会社をつくり、どんな社長でありたいか」と、数ヶ月悩み抜きました。
当時は「金と権力」を重視する野心家な面もありましたが、考え抜いた末に「仕事とは社会に価値を生み出すこと」という結論に至ったのです。私一人が稼ぐのではなく、価値を生み出せる人が集まる環境をつくることこそが社長の役割だと気づきました。そのためには組織としての規模が必要不可欠だと考え、創業初期から「3〜5年で数十億円規模にする」という明確な計画を立て、スタートを切りました。
中古マンションの標準を創る ブランド「ココモア」の挑戦

ーー現在の貴社の事業戦略や独自の取り組みについて、詳しくうかがえますか。
大人慶太:
創業当初は、自社から積極的に働きかけるプッシュ型の営業が中心でした。しかし、中長期的な会社の成長と社員の働き方を考え、設立7〜8年目頃からは、マーケティングを駆使して反響をいただくプル型の営業へと大きく舵を切りました。現在では売上高の6〜7割をこのプル型が占めており、将来的には8〜9割まで高めていく計画です。
その戦略の核となるのが、弊社が展開するリノベーションマンションブランド「cocomore(ココモア)」です。首都圏の中古マンション流通において、リノベーション済みの物件は約40%を占めますが、弊社はその中でシェアを拡大し、中古マンションのあり方そのものを定義していきたいと考えています。単に物件を販売するだけでなく、独自の品質基準と保証、そして購入後の暮らしを豊かにするサービスまでを一貫して提供することで、「リアークスファインドの物件なら安心だ」と言っていただけるブランドを確立していきます。
ーーブランド価値をさらに高めていくため、どのようなことに取り組まれているのですか。
大人慶太:
単に「箱」としての住まいを提供するだけでは不十分です。そこでお客様の「暮らし」そのものを豊かにするべく、さまざまな取り組みを積極的に推進しています。具体的には、ご購入いただいた後の安心を担保するため、業界でもトップクラスとなる最長20年のアフター保証をご用意しています(※物件によって保証内容は異なります)。加えて、日々の生活における急な水回りや鍵のトラブルなどに備え、24時間365日対応の駆けつけサポートも導入しました。
こうした取り組みを通じて、中古マンションに対する「不安」を払拭し、新築以上に安心して快適に暮らせる住まいを提供する。これこそが私たちの目標であり、自社で仕入れから企画、工事、販売、アフターサービスまでを一貫して行える弊社だからこそ実現できる強みだと自負しています。
売上高100億円は通過点 IPOと社会貢献で見据える100年企業
ーー採用や人材育成については、どのような方針や思いをお持ちですか。
大人慶太:
組織運営において私が最も意識しているのは、「数字には厳しく、人には温かく」というバランスです。数字だけを追いかける組織では人が疲弊してしまいますし、仲が良いだけの組織ではただの仲良しクラブになってしまうでしょう。弊社では、決めた目標数字をやり抜くこと、完遂することをプロとして徹底的に求めています。しかしその一方で、社員同士の交流イベントなどを通じて親睦を深めていますが、将来的には「社員みんなでディズニーランドに行ける」といった、さらにユニークで夢のある福利厚生も導入していきたいという構想を持っています。
求める人物像としては、素直さや前向きさはもちろんですが、負けず嫌いな方が活躍している印象です。弊社には、若くして拠点の責任者を任されたり、新規事業に挑戦したりできる環境が無限に広がっています。未経験からスタートしても、研修やOJTを通じてプロフェッショナルへと成長できる仕組みは整えていますので、変化を楽しみ、へこたれずに挑戦し続けられる方にぜひ来ていただきたいと考えています。
ーー今後のビジョンについてお聞かせください。
大人慶太:
今期目標としていた売上高100億円の達成はほぼ確実な状況です。しかし、私にとってそれはあくまで通過点に過ぎません。40代のうちに売上高1000億円企業をつくることを本気で目指しています。そのためのステップとして、IPOも見据えております。ただ、上場自体がゴールではなく、あくまで社会に対してより大きな価値を提供するための手段という位置づけです。上場することで社会的信用を高め、協業や商品開発への投資を加速させることが真の目的となります。
また、事業の柱としては、今後は不動産売買だけでなく、ストックビジネスである不動産管理事業にも注力していく方針です。管理業界は今後、建物の老朽化や管理組合の担い手不足など、深刻な社会課題に直面する可能性が高い分野だと考えています。ここに弊社のノウハウを投入し、社会課題の解決につながるような新たなビジネスモデルを構築したいという強い思いがあります。売買事業で培った成長力と、管理事業による安定収益、そして事業を通じた社会貢献。これらを高い次元で融合させ、社会から必要とされ続ける企業の仕組みを築いていきたいです。
編集後記
所持金10万円での上京から、100億円企業の経営者へ。大人氏の軌跡は、まさにゼロから自らの力で成功をつかみ取った物語そのものだが、その言葉の端々からは、野心以上に「責任」と「貢献」への強い意志が感じられた。「金と権力」を求めた過去を隠すことなく語り、その上で辿り着いた「社会への価値提供」という境地。それは、理想論ではなく、泥臭い営業現場で培われた確かな実体験に裏打ちされている。独自のブランド戦略と強固な組織文化を武器に、中古マンション市場のスタンダードを塗り替えようとする同社の挑戦は、ここからが本番だ。IPO、そして売上高1000億円へ。その視線は既に、遥か先の未来を捉えている。

大人慶太/1983年鹿児島市生まれ。不動産業界にて年間売上高トップを2度経験するなど、営業の第一線で活躍。2013年に株式会社リアークスファインドを設立。中古マンションの買取再販事業を核に、管理から施工まで一気通貫のサービス体制を構築し、2期連続で150%以上の売上高成長を達成した。東京都宅地建物取引業協会の役員を兼任し、豊富な現場経験と経営視点を活かして不動産市場の活性化に尽力している。