
「多様な飲食体験から生まれるしあわせを、日本中に、そして世界へと広げる。」というビジョンを掲げ、飲食業界に特化したサービスを展開し、業界の課題解決を牽引する株式会社シンクロ・フード。代表取締役の大久保俊氏は、学生時代のインターンを経て一度は食品メーカーへ就職したものの、再び同社へ戻ってきた経歴を持つ。エンジニアでありながら営業経験も併せ持つ彼が考える、自社の強みと未来への展望とは。AIやショート動画といった最新技術をいかに飲食業界に組み込み、スピード感あふれる組織をどう牽引していくのか。新卒への期待や若手への熱いメッセージとともに、その原動力に迫った。
外の世界を見たからこそ気づいた圧倒的なスピード感という魅力
ーーまずは、キャリアのスタートについてお聞かせください。
大久保俊:
学生時代から「食」のジャンルに関心があり、大学3年の時点で食品メーカーへの内定が決まっていました。ただ、大学4年生の1年間、教授の紹介でシンクロ・フードのインターンに参加し、趣味で始めていたプログラミングを活かしてWebサイトの制作などを行っていたんです。卒業後は予定通り内定先の食品メーカーへ入社し、3年間、業務用食品の営業を経験しました。そこからご縁があって再びシンクロ・フードに戻ってきた、というのが私のキャリアの始まりですね。
ーー他社での経験が活きている点と、外を見て再定義した貴社の魅力を教えてください。
大久保俊:
一般社会人の基礎を育成してもらえたことに加え、営業を通じて飲食業界の泥臭い「肌感覚」を身につけられたことが非常に大きいです。エンジニアでありながら飲食業界の営業経験がある人間は少ないので、今の自分の強みになっています。そして何より、一度外に出たことでシンクロ・フードの「決める速度」や「実行して変えていくスピード感」が他社とは全く違うことに気づきました。Web業界の成長性も含め、その圧倒的なスピード感が非常に魅力的に映り、戻る決意をしました。
ーー自身にとって最大の転機となったプロジェクトは何ですか。
大久保俊:
会社を知る上で非常に意義があったと感じているのは、人事制度を大きく変えるプロジェクトに携わり、今ある仕事を一度すべて棚卸しした経験です。これが大きなターニングポイントになりました。
私の仕事の向き合い方は、ものづくりをするクリエイタータイプなので、いきなりガラッと変えるのは得意ではありません。現状を理解したうえで、地道に一つひとつ改善していくアプローチを取ります。仕事の中で、改善の糸口が見えなくなり「感覚がなくなっている」と感じる時は、現場の状況を知れていない証拠だと考えています。分かっていない状態では適切な改善はできません。役職が上がっても自ら積極的に現場を知りにいく姿勢を今でも大切にしています。
飲食業界に特化する強みと新技術への挑戦

ーー飲食店向けサービスが多数ある中、貴社が勝ち続けられる理由はどこにあるとお考えですか。
大久保俊:
ビジネス面では、飲食業界という特定の領域にしっかりと目を付け、絞り込んでサービスを提供し続けている点です。技術面では、エンジニアを内製化しているため、業界のニーズに対して圧倒的なスピード感で新サービスや新機能の開発に取り組み、改善を繰り返して最適化していける実行力が強みです。事業が大きくなるとどうしてもスピードが落ちがちですが、「失敗してもいいからスピードを上げろ」と現場に伝えるのが、社長としての私の重要な仕事だと思っています。
ーー貴社のビジョンを実現するために、今後はどのような領域に注力していくのですか。
大久保俊:
弊社では「多様な飲食体験から生まれるしあわせを、日本中に、そして世界へと広げる。」というビジョンを掲げています。その実現に向けて現在、私たちが特に注力しているテーマがDX推進とAIの活用です。生成AIについては産業全体を変えていく技術なので当然取り組むべきですが、飲食業はリアルなビジネスゆえに現場でのAI活用イメージがまだ遠いのが実情です。だからこそまずは私たち自身が一番AIを使いこなす状態にならなければ、お客様への提案はできません。現在社内では非エンジニアの社員でも身近にAIを使って業務ツールを改造や自作をする文化が広がっており、まずは社内業務のDX推進や改善から徹底的に進めています。
また、ショート動画の活用も始めています。各業界で労働力の奪い合いが起きる中、飲食で働く楽しさを動画で直感的に伝え、アルバイト採用の入り口にしたいという狙いがあります。今後は人材紹介の事業と昨年買収した企業の物件事業を組み合わせて新しいシナジーを生み出し、SEOやSNS集客も含めたマーケティング戦略の強化にも注力していく予定です。
また、「飲食業にチャレンジしている人が、その想いを実現できるプラットフォームをつくる。」というミッションのもと、近い将来には「飲食業界にAIを組み込む支援といえば、シンクロ・フード」と名前が挙がる存在にし、総合的にお客様の人材や店舗展開の課題を解決できる会社になりたいと考えています。
今の仕事を死に物狂いでやるコネクティング・ザ・ドッツの体現者へ
ーー新卒1年目の社員にはどのような挑戦を期待されているのでしょうか。
大久保俊:
新卒1年目の人は、まだ会社の色に染まっておらず、一番客観的に会社を見られる立場にあります。AIやSNSなどメディアのあり方が激変している今の時代だからこそ、既存の社員にはない新しい視点や感覚をどんどん会社に持ち込むという挑戦をしてほしいと期待しています。
ーー社長が考える貴社で活躍する人の共通点を教えてください。
大久保俊:
当事者意識を強く持っている人ですね。組織の中で落ちているボールを拾い、何事も「自分ごと」として捉えて自らどんどん動ける人が、うちの会社では圧倒的に強いです。社内は非常にフラットで和やかな雰囲気で、私も平社員っぽい感じで雑務もやってしまうほどです。一緒に考えながらスピード感をもってどんどん挑戦できる環境が整っています。
ーー最後に、読者へメッセージをお願いします。
大久保俊:
私は、その時やっている目の前の仕事をちゃんとやることが本当に大事だと思っています。スティーブ・ジョブズの「コネクティング・ザ・ドッツ」という言葉がありますが、本来やりたいこととは違うという感覚があっても、今やっている仕事を死に物狂いで頑張った経験は、後になって必ず繋がってきます。私自身、エンジニアになりたいと思いながらも、一度外に出てもがきながら泥臭い営業をやっていました。だからこそ、今の20代の皆さんには、目の前の仕事に全力で向き合ってほしいですね。
編集後記
一度外の世界を見たからこそ自社の真の価値である「スピード感」に気づき、それを武器に飲食業界の変革に挑む大久保氏。エンジニアの論理的思考と泥臭い営業経験から得た現場の「肌感覚」。その一見相反する経験が見事に「コネクティング・ザ・ドッツ」として結びつき、現在の強力なリーダーシップの源泉となっていると感じた。「多様な飲食体験から生まれるしあわせを、日本中に、そして世界へと広げる。」というビジョンを胸にAIやショート動画といった最新トレンドを軽やかに取り入れつつ社員全員でスピード感をもって突き進むシンクロ・フード。その挑戦の軌跡から今後も目が離せない。

大久保俊/2008年に株式会社シンクロ・フードへ入社し、「飲食店ドットコム」をはじめとする飲食店向けプラットフォームの開発・運用を牽引。2015年に執行役員開発部長、2018年に取締役、2025年12月に代表取締役に就任。現在は、新規事業であるショート動画求人サービス「グルメバイトちゃん」や生成AIを活用した業務効率化プロジェクトの立ち上げ・推進をリード。飲食業界の課題解決と新たな価値創出に取り組んでいる。