※本ページ内の情報は2026年5月時点のものです。

創業から60年の歴史と約5000社の顧客基盤を持つマイクロシステム株式会社。独立系の強みを活かし、中小企業へIT機器の提案と業務改善の伴走支援を行い、近年はBPO事業やECサイト運営など多角的な事業展開を進めている。2025年に6代目代表取締役に就任した栗本英郎氏は、BARの店長から営業職として入社した異色の経歴を持つ。現場で学んだ「お客様視点」を武器に事業を牽引している。既存事業の枠を超えた新規事業の創出と分社化を見据える同氏に、これまでの軌跡と未来への展望をうかがった。

千葉営業所での原体験「お客様の立場」が営業の突破口に

ーーまずは、貴社に入社された経緯から教えていただけますでしょうか。

栗本英郎:
学生時代からBARでアルバイトを始め、そのまま店長として2年間働いていました。当時の経営者に可愛がっていただき、その人柄に惹かれていたものの、夜の業界だけでは将来に不安を感じ、昼の営業職を経験したいと考えて弊社に入社しました。実は当初、3年ほど昼の仕事を経験したら元の業界に戻るつもりだったのです。しかし、日々の仕事に楽しさを見出し、現在に至ります。

ーー営業として長く活躍されてきた中で、転機となった出来事はありますでしょうか。

栗本英郎:
千葉営業所への異動が大きなターニングポイントです。それまで勤務していた東京とは異なり、千葉では営業担当者の人柄や人間味を重視して購入を決断してくださるお客様が多数いらっしゃいました。単にモノを売るのではなく、足しげく通い、人間関係を構築していくことの重要性を現場で痛感したのです。

ーーその後、どのように成果を上げていかれたのでしょうか。

栗本英郎:
入社からの約1年間は全く売上が立たず、苦労の連続でした。しかし、毎日訪問を続けるうちに、自分には「単に商品を売りに行くのではなく、ユーザーの立場になって提案する」という視点が欠けていたことに気づきました。お客様の抱える課題に寄り添えるようになった入社3年目頃から、確実に数字が伴うようになり、仕事が最も面白く感じられる時期を迎えました。

60年の歴史と独立系の強みで30~100名規模の企業を伴走支援

ーー現在の事業内容と、貴社独自の強みについて教えていただけますでしょうか。

栗本英郎:
主に30名から100名規模の企業様へ向けて、IT関連機器の提供を軸とした業務改善の伴走支援を行っています。最大の強みは、60年の歴史の中で培ってきた約5000社にのぼる取引実績と信頼関係です。また、特定のメーカーに依存しない独立系企業であるため、お客様の課題に最も適した商材をフラットな視点で提案し、サポートできる点が特徴です。

ーー人手不足など複雑化する中小企業の課題を、どのように乗り越えるのでしょうか。

栗本英郎:
多くの中小企業が人手不足に直面する中、ITを駆使していかに効率を上げるかが問われています。そのため、弊社では既存のIT機器提供にとどまらず、情報入力の代行など、お客様の本業に付随する事務的なノンコア業務を受託するBPO事業を新たに立ち上げました。単なる商品の提供ではなく「業務改善」に軸足を置き、限られた人員で効率を上げ、企業そのものの成長を後押しする支援を広げていきます。

全社面談で評価制度を一新 新規事業創出と「分社化」を目指す

ーー社長就任後、社内体制で変革した部分はありますでしょうか。

栗本英郎:
現場の声を直接拾い上げるため、全社員と個別面談を実施しました。その中で多く寄せられたのが、「評価の正当性をより明確にしてほしい」という声です。これを受け、評価制度を直ちに一新しました。また、社員の学習意欲を後押しすべく、DX検定や資格取得にかかる費用の全額会社負担を導入しています。単に受検を促すだけでなく、私自身が社員とDX検定のスコアを競い合うことでモチベーションを高め、人材と組織の強化を図っています。

ーー今後の展望をお聞かせいただけますでしょうか。

栗本英郎:
中長期的には新規事業を複数立ち上げ、分社化を進める計画です。3社体制のグループ企業化を目指しています。現在も社内起業を推奨しており、実際に社員自らが「ECサイトを立ち上げて商売をしたい」と手を挙げた提案を承認し、一つの課として事業を始動させました。

私は、たとえ失敗したとしても、自ら課題を見つけ出し、その挑戦から学びを得ることが個人の大きな成長につながると考えています。そのため、今後も「自ら責任を持って事業を動かしたい」という意欲的な人材を全面的に支援し、誰もが社長を目指せるような、自走できる強い組織を構築していきます。

編集後記

「顧客・取引企業・マイクロシステム㈱の社員に魅力を持って頂ける会社づくり」。同氏が大切にしている思いには誠実な人柄がにじんでいる。千葉営業所時代に培った「人間関係の構築」と「ユーザー視点」は、社長となった今も経営の根幹を支えている。全社員との面談を通じて評価制度を即座に見直す柔軟性と、社内起業を後押しして分社化を目指すダイナミズム。60年の歴史を持つ老舗企業に新たな風を吹き込む同社が、今後どのような進化を遂げるのか、その飛躍が楽しみだ。

栗本英郎/1972年生まれ。國學院大學 経済学部卒業。1997年マイクロシステム株式会社に入社。2019年営業本部長、2025年代表取締役社長に就任。