※本ページ内の情報は2026年5月時点のものです。

CSK、リクルートエージェント、ベンチャー企業を経て、40歳で株式会社Proximoを設立した代表取締役CEOの吉澤康平氏。幅広いITの知識と経営の経験を武器に、UI/UXデザインに特化したコンサルティングと制作を行っている。日本経済新聞社や東京ガスなど名だたる企業のプロジェクトを手がけながらも、「つくることがゴールではない」と語る吉澤氏。IT業界における「つくったら終わり」という下請け的な体質に疑問を抱き、クライアントのビジネスに伴走し続ける彼の根底には、どのような思いがあるのか。これまでの歩みと、同社が提供するUXデザインの真髄に迫った。

すべての経験が今の土台に 変わらない「感動を生み出す」姿勢

ーーこれまでのご経歴と、現在の事業に至るまでの道のりを教えてください。

吉澤康平:
キャリアのスタートは、株式会社CSK(現・SCSK株式会社)という独立系のソフトウェア開発会社です。当時からITが世の中を変えていく可能性を強く感じており、システム開発からインフラ、データセンター、コンサルティングまで本当に幅広い業務に触れてきました。

その後は「ベンチャー企業に関わりたい」という思いから株式会社リクルートエージェント(現・株式会社リクルート)へ転職し、ITベンチャーに対する採用や人材活用の支援を担当しました。しばらくした後、ITベンチャー企業へメンバー10名のマネージャーとして参画し、売上高・社員数を30倍以上に拡大させる経験も積みました。次に入ったスタートアップではファイナンスを含めた会社経営そのものを学び、それらの経験を総合して40歳で弊社を設立するに至りました。これまでのすべての経験が、今の自分を形づくる欠かせないピースになっています。

ーーさまざまな組織を経験される中で、ご自身の考え方や視座に変化はありましたか。

吉澤康平:
仕事に対する基本路線は大きく変わっていません。仲間との付き合い方や、クライアントに対するスタンスはずっと同じです。ただ、経営者になってからは、自ら責任を持ち、決定し行動することで、結果のフィードバックを直接得られる面白さを感じるようになりました。昔から言語化できていたわけではありませんが、「感動を生み出すようなことに挑戦したい」という思いは常に持っています。働く自分たちも、サービスを提供するお客様も、そしてその先のユーザーも感動できるようなものづくりがしたいという考え方がベースになっています。

UXデザインとは「論理と裏付け」つくってからが本当のスタート

ーー現在展開されている事業の強みやこだわりについて教えてください。

吉澤康平:
私たちは、ソフトウェアやアプリケーションのUI/UXデザインに特化したサービスを提供しています。日経電子版やmyTOKYOGASといった有名なサービスから、スタートアップのプロダクトまで幅広く手掛けています。私たちが力を入れているUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインとは、単に見た目を美しくするアーティスティックなものではありません。ソフトウェアが目的を果たしているか、ユーザーにとって使いやすいかを論理的に考え、裏付けを持った上でつくり上げていくプロセスそのものです。

ーークライアントへどのような価値を提供していきたいとお考えですか。

吉澤康平:
IT業界のクライアントワークでは、つくることがゴールになってしまい、その後は関与しないという下請け的な働き方が少なくありません。工数管理ばかりで本当にいいものをつくることにこだわれない状況を、私自身も過去にたくさん見てきました。だからこそ、私たちはそうした嫌な部分を排除したサービスを提供したいと考えています。

「つくってからがスタート」であり、もともと狙っていた効果が出ているかを検証し、分析や改善まで含めて伴走する。言われたものをつくるだけでなく、専門性を持ってクライアントのビジネス目標に寄り添うことを最も大切にしています。

業種・業界を超えた新しい出会いを楽しみ共に成長する

ーー今後の事業展開、共創を目指す理想的なパートナー像についてお聞かせください。

吉澤康平:
自社プロダクトを持つ会社と違い、私たちは業種・業界を問わずさまざまな企業とお付き合いできる立場にあります。全く知らなかった世界に触れ、日々勉強させてもらえることが本当に面白いです。ですから、今後もチャンスがあれば積極的に新しい出会いを求めていきたいと思っています。

特に私たちは、一般消費者向けのアプリケーションだけでなく、BtoBのSaaSプロダクトや社内向けシステムの業務系アプリケーションのデザインも非常に得意です。社内システムは使いにくくても仕方ないと思われがちですが、デジタルネイティブ世代が中心となる今後の社会において、使いやすいシステムは企業の競争力に直結します。そこにはまだまだ大きなビジネスチャンスがあると感じています。

ーー中長期的な目標はどのように描かれていますか。

吉澤康平:
会社を急拡大させたいとは思っていません。社員を大量に採用して規模を大きくすると、どうしても工数管理や売上に視点が偏ってしまいます。それよりも、品質を最優先し、本当にいいものをつくってビジネスの目的に貢献するというスタンスを守り抜きたいです。少人数でありながらも、高い専門性を持つUXデザインのコンサルティング企業として、確固たるブランドを確立していきたいですね。

編集後記

「感動を生み出すものづくりがしたい」。吉澤氏の言葉の端々からは、IT業界やクライアントワークに対する深い愛情と、現状の課題に対する強い変革の意志が感じられた。これまでの幅広い経験を糧に、単なる制作会社ではなく、ビジネスの成功に伴走する真のパートナーとしての道を切り拓く株式会社Proximo。論理と裏付けに基づいたUI/UXデザインという武器で、これからどのような企業の未来をデザインしていくのか。同社のさらなる飛躍に期待が高まる。

吉澤康平/早稲田大学卒業。株式会社CSK(現・SCSK株式会社)、株式会社リクルートエージェント(現・株式会社リクルート)で幅広くIT業界に関わった後、デジタルを活用したビジネス支援に注力。企画・牽引してきたWebやアプリの制作プロジェクトは数百を超える。フェンリル株式会社 執行役員、株式会社Showcase Gig取締役を経て、2019年にUI/UXデザインを主事業とする株式会社Proximoを設立。