
「日本初のオリジナル画像生成AI」をはじめ、「AIひろゆき」や「コメントスクリーン」などの独創的なプロダクトで知られる株式会社AIdeaLab。同社は代表取締役の冨平準喜氏が大学院時代の仲間たちと立ち上げた、AI技術を中心とした会社だ。
同社は2021年創業とまだ若いにもかかわらず、話題性の高いプロダクトをいくつも世に送り出している。この成長力の源泉はいったいどこにあるのか。冨平社長に創業の経緯や同社の強みなどを聞いた。
AIへの強い好奇心から大学院時代の仲間たちとベンチャー企業を立ち上げる
ーー冨平社長の経歴をお聞かせください。
冨平準喜:
私は小学生の頃からプログラミングに興味があり、学生時代から独学でコーディングを学んでいました。その気持ちはAIという分野を知ってから、さらに強くなっていき、筑波大学と大学院で研究に没頭し、さらにシンガポール国立大学へ短期の研究留学にも行くほどでした。
その中で、大学院時代にAIの研究をしていたメンバーで立ち上げたベンチャー企業がAIdeaLabです。私たちは学生時代から精力的にシステム開発に取り組み、中には大きな評価を得られたものもいくつかあります。
特に大きな評価を得たのが、AIとVRを活用したシステムを開発し、全国高専プログラムコンテストで最優秀賞受賞とものづくり大賞内閣総理大臣賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
こうした経緯があり、私は現在もAIを使った技術開発に取り組み続けています。今後も革新的な技術で社会を変えていくために、多くのプロダクトを生み出していく所存です。
ーーどのような経緯からAI技術で会社を立ち上げようと考えたのでしょうか?
冨平準喜:
私が起業したきっかけは、筑波大学の環境に強く影響を受けています。筑波大学は研究成果を基にしたベンチャー企業が多く誕生していることで知られており、教員にはロボット工学やメディアアート分野などで著名な研究者が多数在籍しており、学生ベンチャーの起業に強い影響を与えています。
そんな環境で学んだ私は、技術を社会に実装するという考え方が自然と身についていきました。さらに学生時代から、さまざまなスタートアップでエンジニアとして働く機会を得たこともあり、良いプロダクトを世の中に出したいという思いはどんどん強くなっていきました。
その想いをなんとか形にしようと、起業する前から仲間たちと10個ほどのアプリを開発しました。こうして多くの経験を積む中で、ある程度のノウハウが蓄積され、さらにAI技術で社会に貢献したいという想いが成熟したタイミングで、名前に「AIで新しいアイデアを創り出す」という思いを込めた「AIdeaLab」の創業に踏み切ったのです。
「ゼロイチ」の創出を信念に、独創的なAIプロダクトの制作を続ける

ーー貴社の事業内容を教えてください。
冨平準喜:
弊社はAI技術を活用して、さまざまなプロダクト開発に取り組んでいます。
プロダクトの例を挙げると、ニコニコ動画のようにリアルタイムでコメントや絵文字を画面上に表示させて盛り上げる「コメントスクリーン」や、オンライン会議をリアルタイムで議事録化する「AI議事録取れる君」、自社で開発を進めてきた画像生成AIの技術、ひろゆきの呼び名で知られる西村博之さん本人公認のもと開発したAIアバター「AIひろゆき」などがあります。
中でも「コメントスクリーン」は著名な研究者が授業で使ったことをきっかけに一気に話題になり、さらにコロナ禍のオンライン需要に後押しされて、現在では子会社として独立するほど事業が大きくなっています。
ーー貴社独自の強みをお聞かせください。
冨平準喜:
弊社の強みの根幹にあるのは、AI技術を使った独自性の高いプロダクト創出です。世の中には多くのAIプロダクトがありますが、私たちは特に「ゼロから独自にAIモデルを設計し、新しいアイデアを形にする」ことに強みを持っています。
特に強いのが、日本初のオリジナルの画像生成AIでネームバリューを得た画像生成AIの領域と、日本初の日本語対応の動画生成AIであり、経済産業省が推進する国家プロジェクトに選ばれた「AIdeaLab VideoJP(エーアイディアラボ ビデオ・ジェイピー)」による動画生成AIの領域、そして「AIひろゆき」から広がりを見せ、テレビ番組「アメトーーク」でも使われているAIアバター技術の3分野です。
これらの領域は国内のAIプロダクトとして特に高い評価をいただいており、さらにAIソリューション事業という形で他社との共同開発や受託開発にも取り組んでいます。多くの大手企業のクライアントとの取引実績があります。
世界から注目されるAI技術の第一人者を目指して
ーー5年、10年後を見据えて、貴社をどのような存在に成長させたいですか?
冨平準喜:
弊社は、世界中が注目するような革新的プロダクトを連続的に生み出し続け、AI技術の発表が社会から大きな期待を集めるような企業を目指しています。
幸いなことに、弊社には画像生成AI、動画生成AI、AIアバターという誇れる技術がありますので、国家プロジェクトの活用やAIソリューション事業によるクライアントとのパートナーシップ構築を進めながら、拡大をしていければと思っています。ちなみに、AIがテレアポを自動で行う「AIテレアポ」をローンチしており、多くの企業とつながるきっかけとなっています。
これらの取り組みは目前に迫るAI技術のシンギュラリティを見据えてのことです。インターネットの普及のような歴史的な変革が訪れている今、私たちがどんな価値を生み出せるのか、考えるだけでワクワクしてきます。
そのような時代の流れもあって、弊社は急速に成長を続けている状況にあります。AIを活用して新規事業やDXを推進したいとお考えの企業様、そして弊社で一緒に新しい技術開発を楽しみたい方は、ぜひ私たちと共にプロジェクトを進めていきましょう。日本から世界を驚かせるプロダクトを生み出すには、皆さんの力が必要です。
編集後記
多くのAIプロダクトが日々生み出される中で、AIdeaLabがひときわ存在感を放っているのは、オリジナルAIと独創性という強みがあるからだろう。この強みを磨き続けて、AI業界が成熟する頃には、同社は世界から知られる存在に成長しているのではないだろうか。近い将来、冨平社長が多くの人の注目のもと、新プロダクトを発表する姿が目に浮かぶようだ。

冨平準喜/1997年生まれ。筑波大学卒業。同大学院修了。大学院在学中にシンガポール国立大学のAIの研究室へ短期留学し、深層学習の研究に従事する。その後、大学院在籍中に研究室のメンバーと共に株式会社AIdeaLabを創業する。