
プロサッカー選手を目指したのち、ウェイクボードなどのインストラクター経験の後、29歳にて株式会社リベロを創業。外部資金に頼らない無借金経営で予定通りの上場を果たした異色の経営者、鹿島秀俊氏。不動産会社、引越会社、転居者、そして社会。関わる者すべてが価値を享受する「四方良し」のプラットフォームは、いかにして開拓されたのか。業界を変革する独自のビジネスモデルと、SNSで“裏側”までさらけ出す規格外の経営哲学に迫った。
スポーツの世界からビジネスへ 誰もが「Win-Win」になる仕組みの発見
ーーまずは、起業までのご経歴を教えていただけますか。
鹿島秀俊:
子どもの頃は、アニメ『キャプテン翼』の影響でサッカーにのめり込み、東京ヴェルディのジュニアユースに所属して本気でプロを目指していました。その後もウェイクボードなどスポーツの道へと進んでインストラクターを務めていたため、実は社会人として企業に就職した経験はほぼないんです。自分で道を切り拓く楽しさや難しさは、すべてスポーツを通じて学んできたのだと思います。
ーーそこからどのように現在の事業へと繋がっていったのですか。
鹿島秀俊:
新たなビジネスの種を探す中で目をつけたのが、、引越しに伴う各種の「取次業務」でした。当時、不動産会社にとってライフラインの手配などはお客様への案内や手続きが非常に面倒な作業でした。そこで、私たちが無料でその案内を代行する仕組みをつくったんです。お客様が契約に至れば、通信事業者等から私たちが紹介料をいただくというモデルですね。これが不動産会社から非常に好評でした。業務負担が劇的に減るうえに、紹介料まで還元される仕組みにしたからです。誰も損をせず、関わる企業もしっかりと利益を得られる。この「三方良し」の仕組みが評価され、事業は急速に拡大していきました。徹底した顧客目線で、本当に求められるサービスを追求した結果だと思います。
資金調達なしスケジュール変更なし 未踏の領域を切り拓く 快進撃

ーー現在の事業内容についてお聞かせください。
鹿島秀俊:
全国規模で不動産会社や引越会社と提携し、引越しをされるお客様の新生活をサポートする多様なサービスを提供しています。私たちが構築したのは、一言でいえば「関わるすべての人が価値を享受できる仕組みをつくること」です。不動産会社も引越会社も、そしてお客様も、使わない理由がないほど便利な仕組みを作ることで、業界全体が抱える非効率という課題を解決しています。
ーー業界経験ゼロから上場を目指した理由はなんだったのでしょうか。
鹿島秀俊:
周囲からはよく「異常だ」と言われるのですが(笑)、創業から一度も借り入れをせず、自己資金のみの無借金経営を続けてきました。上場に向けたスケジュールも一切のズレなく予定通りに進めてきたのです。すべては事業をさらに拡大し、大手企業と対等に取引していくためです。私たちのビジネスモデルを日本中に広げるには、会社としての「社会的信用」をどうしても獲得する必要がありました。
ーー最初からそれほどの勝算があって事業を開発したのですか。
鹿島秀俊:
私たちが飛び込んだのは、他社が本格的に手をつけていない領域でした。競合他社と激しく争うような、消耗戦のレッドオーシャンで戦う気はありません。私たちの基本方針は、まず業界全体を良くし、関わる人全員に利益をもたらすこと。他者の利益を優先することが、結果として自社の成長にも繋がります。この利他主義的な考え方が、安定した持続的成長と上場に繋がりました。
SNSで裏側もすべてをさらけ出す。嘘のない組織づくり
ーー組織づくりにおける、SNSの活用方法ついてお聞かせください。
鹿島秀俊:
採用や組織づくりにおいて、何事も「嘘をつかず、オープンにする」ことを経営トップとして徹底しています。現在は企業アカウントのSNS等を通じて情報を発信していますが、会社の良いところだけを過剰にアピールするようなことは一切していません。あえて裏側の部分も含めて、会社のありのままの姿をすべてさらけ出しています。
ーーなぜ、会社の裏側をすべて公開しているのでしょうか。
鹿島秀俊:
入社前後のギャップを少しでもなくすためです。良いところだけを見せて入社しても、後で必ず不満が出てしまいます。「こんな会社だと思わなかった」と辞めてしまっては、お互い不幸ですよね。実際、ありのままをすべて公開しているおかげか、離職率は低く抑えられていますし、自分たちに合う人材だけが、自然と集まってくる仕組みになっていると考えています。
ーー採用活動を進められる中で、どのような人材を求めているのですか。
鹿島秀俊:
仕事の能力やこれまでの経歴はもちろん素晴らしい要素ですが、私たちはそれ以上に「人柄」を重視しています。また、弊社では女性の管理職が多く活躍しているのも大きな特徴です。多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できることが組織の強みだと思っています。
ーー最後に、今後の事業展開や展望についてお話しいただけますか。
鹿島秀俊:
先ほども少し触れましたが、当社サービスは関わるすべての人が価値を享受できる仕組みをつくることに重きを置いています。まずは「業界全体を良くしていくことに全力を注ぎたいと考えています。不動産会社、引越会社、そして新生活を迎えるお客様。関わるすべての人がハッピーになれる仕組みを、これからさらに広く展開していきたいですね。世の中の困りごとを解決し続ける、「社会から必要とされる企業」でありたいと思います。
編集後記
インタビューの合間にも、通りかかった社員に気さくに声をかける鹿島社長の姿があった。冗談を交えながら笑い合う様子から、風通しの良いオープンな社風がはっきりと伝わってくる。その飾らないフランクな人柄こそが、株式会社リベロという組織の最大の魅力なのだろう。業界経験ゼロから無借金で予定通りの上場を果たす。その背景に、奇をてらった魔法のような手法は存在しなかった。関わる相手の利益を創出すること。そして、どこまでも誠実であること。商売と人間関係の原理原則を愚直に貫く真摯な姿勢があったのだ。独自の視点で開拓し続ける同社は次にどのような新しい常識を業界にもたらすのか。その果敢な挑戦から目が離せない。

鹿島秀俊/1978年、福岡県生まれ。幼少期よりサッカーに親しみ、現在の東京ヴェルディジュニアユースに所属。その後、スノーボード・ウェイクボードの選手兼インストラクターを経て、2009年に株式会社リベロを設立。ユーザーファーストを軸に事業を展開し、SNSでは「日本一裏表のない上場会社」の内部を発信。