※本ページ内の情報は2026年6月時点のものです。

「家を、人を、そして命を守る」。この理念を体現し続け、注文住宅を担う株式会社クレバリーホーム。同社は独自のフランチャイズ制度で全国展開し、東日本大震災では津波に耐え抜いた家として知られる。代表取締役の松田芳輝氏は、大型建築の現場監督からキャリアをスタートした生粋の現場主義者だ。現在、実績が見えやすい営業職はもちろん、技術職のやりがいを可視化する組織改革を進めている。さらに「宇宙基準の家」という壮大な研究に取り組む松田氏に、同社の強みと未来への展開を聞いた。

職人との対話から学んだ現場監督時代と商品開発の目まぐるしい日々

ーーまずは、ご経歴についてお聞かせいただけますか。

松田芳輝:
弊社の親会社である株式会社新昭和に入社し、大型建築の現場監督からキャリアをスタートしました。高校卒業後にカナダで英語と建築を学んでいたため、入社後すぐに消防署や警察署といった地方庁舎棟など、数年がかりの大きな新築工事での現場監督を任されたのです。当時の現場は、延べ数千人もの職人が入れ替わり立ち代わり働く厳しい世界でした。私はまだ20代前半で「箸より重いものを持ったことがあるのか」と職人さんからスコップを渡され、からかわれることもありました。しかし、幼い頃から競技用オフロードバイクの経験があり、土を扱う作業には自信があったのです。

自ら現場で手を動かして見せると、次第に職人たちも認めてくれるようになりました。仕事後には、ともに酒を飲みながら対話を重ねました。個性豊かな専門家たちをまとめ上げ、工期通りに安全に現場を動かすには、ただ指示を出すだけではいけません。相手の良さを引き出しながら信頼関係を築くことの重要性を、この10年間で徹底的に学びました。

ーーその後は、どのような業務に就かれたのですか。

松田芳輝:
入社11年目からは、住宅部門の商品開発を行う総合研究室や購買部門へと異動しました。一つの現場を何年もかけてつくり上げる現場監督の仕事とは打って変わり、毎日次々と新しい商品を開発し、判断を下していく目まぐるしい環境です。そこでは何百社という外部企業と日々折衝し、最終的な商品の値決めというシビアな業務も経験しました。単に安く買い叩くだけでの交渉に留めず、お互いの本気をぶつけ合います。ともに良いものをつくっていく相手として信頼関係を構築することを大切にしてきました。もちろんお互い商売ですから、多少の駆け引きはあると思いますが、このときの経験が現在の経営にも大きく活きています。

命と思い出を守る確固たる品質と全国に広がる独自展開

ーー他社と比較した際、貴社の最大の強みはどこにあるとお考えですか。

松田芳輝:
最大の強みは、いざというときにお客様の命だけでなく、大切な思い出や財産までを守り抜く確固たる品質です。親会社の株式会社新昭和のクレバリーホーム事業部としてスタートした1997年から、全国的に数々の災害から守ってきた実績はありますが、それを最も象徴しているのが、東日本大震災での出来事です。震災直後、全国の加盟店様と連携して救援物資を届け、被災地域にある弊社住宅546軒を調査しました。結果として、津波被害地域を含め、半壊・全壊に至った家は一軒もなく、すべて倒壊を免れることとなったのです。

周囲が甚大な被害を受けて家が流されていく中で、津波に耐え抜き、残っていた家の姿がありました。家の中には、お子さんの描いた絵や成績表といった、お金には代えられないご家族の大切な思い出がそのまま残されていたのです。「建てて本当によかった」というありがたいお声も頂戴しております。私たちがつくっているのは、ただの箱ではなく、お客様の命と暮らしそのものを守るものなのだと改めて強く確信した次第です。

ーーサービス展開の特徴を教えてください。

松田芳輝:
私たちはフランチャイズ制度を採用しています。価値ある素晴らしい家づくりを、特定の地域だけでなく、日本全国どこにお住まいの方にも提供したいという思いがあるからです。各地域の加盟店様にも、この「命を守る」という理念に深く共感していただき、強固な協力関係を結んでいます。

また、より多様な要望に応えるため、セカンドブランドである「バリーズ」の展開も始めました。これは、建物そのものの性能を過剰に追求するものではありません。家具や照明、小物に至るまで、生活空間全体を総合的に提案する新しい形のビジネスモデルです。お客様の豊かな暮らしを実現できると好評で、加盟店数も一気に拡大しています。

「宇宙基準の家」とアジア展開でさらなる飛躍へ

ーー組織づくりにおいて、現在注力されていることは何ですか。

松田芳輝:
現在、「全員経営」という全社員が経営に参画する仕組みを導入しています。これは著名な経営者がアメーバ経営の中で提唱された手法の一つで、それをつくりあげた方に直接お話をうかがう機会があり、感銘を受けて導入を決めました。

私はもともと現場や購買、積算といった技術系の出身です。営業職のように数字で表彰される機会が少なく、逆に図面や積算は正確につくりあげてあたりまえ、但し少しでもミスがあればフォーカスされてしまいます。そんな日の目をみない技術系社員が、日々の仕事の中でやりがいを感じられるようにしたかったのです。日々自身の仕事が会社やお客様にどのように貢献しているのか。その貢献を明確に可視化し、正当に評価できる仕組みを取り入れます。すべての社員が自分の仕事に誇りを持てる組織づくりを進めています。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

松田芳輝:
長期的な視点では、アジア圏を中心とした海外進出を見据えています。特に台湾のような地震の多い地域では、私たちが培ってきた災害に強い家の実績や機能性が大きく活きて行きますので色々な意味で親和性が高いと確信しています。日本国内だけでなく、海外の多くの方々にも安心で安全な住まいを届けていく決意です。

ーー最後に、今後の大きな夢や目標を教えていただけますか。

松田芳輝:
クレバリーホーム加盟店様の揺るぎない事業繁栄と住まわれる人々の価値ある住宅での安心した暮らしに繋げるために現在、「宇宙基準の家」という研究計画に本気で取り組んでいます。これは地上にとどまらず、宇宙空間でも生活ができるほどの品質と性能を備えた住宅を研究するものです。私たちが常に目指しているのは、世の中の役に立つ暮らしづくりです。品質に一切の妥協を許さずコストを抑えながら新しい技術やサービスを追求し続けることで、お客様の期待を超える住まいを提供し続けます。地球上でも、そしていつかは宇宙でも、私たちが人々の豊かな生活を守る存在でありたいと願っています。

編集後記

「命だけでなく、思い出の品や財産を守り抜く」。東日本大震災の極限状態の中で同社の確固たる品質は証明された。それは松田社長が現場で培ってきた職人との絆と、営業職はもちろん、技術者への深い敬意の賜物だろう。日の目を見ない社員に光を当てる全社員参加型の組織づくりや、宇宙空間をも見据えた壮大な計画への挑戦。伝統を守りながらも常に新しい次元へと進化し続ける姿勢に圧倒された。日本全国、そしてアジア、さらには宇宙へと広がる同社の飛躍が楽しみだ。

松田芳輝/1970年、千葉県君津市生まれ。同社の親会社である株式会社新昭和に入社後、約30年にわたり、建設部で大型建設の現場監督や所長、住宅部門の商品開発担当および購買仕入れなどを歴任。2022年、株式会社クレバリーホームの代表取締役に就任。