※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

従業員の健康や幸福感を経営の力に変える「ウェルビーイング経営」が注目される昨今。ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社を率いる代表取締役社長の白瀧康人氏は、この目に見えない「組織の幸福度」を科学的アプローチで体系化し、企業の変革を後押ししている。外部企業での社内ベンチャー立ち上げを経て独立を果たした同氏。なぜ、「ウェルビーイング」というテーマに辿り着き、独自のノウハウを確立できたのか。「結論ではなく、過程にこそ幸福がある」と語る白瀧氏に、事業に込める思いとこれからの組織づくりの本質を聞いた。

組織の再編を機に独立 自らの手で「存在意義」を追求する道へ

ーーまずは、起業された経緯についてお聞かせいただけますでしょうか。

白瀧康人:
結論から申し上げますと、前職での組織再編に伴い、自身で立ち上げた事業を継続するためです。以前所属していた企業で、超高齢社会の中で増加する慢性疾患患者の医療問題など、そうした社会課題にチャレンジしたいという思いから社内ベンチャーを立ち上げました。しかしその後、組織再編により事業を畳む話が持ち上がったのです。

ーー会社に残るのではなく、あえて独立を選んだのはなぜですか。

白瀧康人:
これまで育ててきた事業ということに加え、元々心の奥底に起業に対する気持ちがあったからです。人から指示を受けるよりも、自ら能動的に動いて社会に大きなインパクトを与えるようなことをやりたいという思いが強く、独立して別会社として新たな法人を設立する決意を固めました。

ーー経営において、最も大切にされていることについて教えてください。

白瀧康人:
まず自分たち自身の幸福を第一に考えることです。自らが幸せでなければ、他者を幸せにすることはできません。組織の大小を問わず、社会における存在意義を突き詰める行動が、結果的に組織の成長へつながると考えています。

ウェルビーイングは「結論」ではなく「過程」にある

ーー貴社の事業における最大の強みは何ですか。

白瀧康人:
ウェルビーイングを高める手段を理論的に構築し、実践的なノウハウとして体系化している点です。ウェルビーイングというテーマは、ともすれば曖昧で企業のような実務レベルの議論になると具体性に欠ける側面があります。それを、私たちは、言葉だけでなく企業として実践可能な具体的な成果指標や現場社員の行動レベルへと落とし込んでいます。

ーーウェルビーイング理論において、独自の理論の核となる考え方を教えてください。

白瀧康人:
目標に向かって試行錯誤する「過程」とその過程で生じる「変化」にこそウェルビーイングがあるという、「過程」に焦点を当てている点です。一般的に幸福を考える際、「熱中できるものがある」「豊かな人間関係がある」「お金がある」など「何が満たされているか」という結果で語られがちです。しかし、誰もがそれらのウェルビーイングの要素を満たすことは難しく、また、変化が激しい時代において、満たしたいことが変化するということもあります。従って、それらの現実や現代の社会環境に合わせた形で、私たちは目標達成を目指す過程での経験や、失敗から得る喜びにこそ価値があるという、従来のウェルビーイング論とは異なる形でそのアップデートを図りました。

バラバラの調査を一つに統合 本質的な課題解決に導く独自メソッド

ーーその理論を、どのように組織改善へと落とし込んでいるのでしょうか。

白瀧康人:
9つの段階を踏む手順を用いて、組織の最小単位であるチームの現状を分析し改善へ導きます。まず過重労働やハラスメントなどのマイナス要因に対処し、豊かな人間関係に基づく心理的安全性を構築。最終的に、自ら考え行動する社員を育成・成長に見響くという順序でアプローチしています。これをウェルビーイングを高める組織改善手法「The 9 Steps」として多くの企業様や自治体様にご利用いただいております。

ーーお客様からは、どのような点が評価されているのでしょうか。

白瀧康人:
様々ありますが、主なものとして、現在取り組んでいるストレスチェックやエンゲージメントサーベイがやるだけで活用が出来ないという点を具体的な現場の行動レベルに落としこめるようになった、これまで別々に実施されていたストレスチェックやエンゲージメントサーベイを一つの社内調査に統合し、優先課題を明確にし、現場の改善行動に繋げられることが特にご評価頂ける点です。

従来は「ストレス」と「働きがいや成長」に関わるエンゲージメントサーベイを異なる部署や担当者が別々に行っており、組織課題が分散して捉えられがちでした。しかし、本質的にウェルビーイングが高い組織というのは、ストレスが低く働きがいが高いという双方の指標が相関して良好なはずです。そこで、これらを1回の調査に集約することで、より的確に改善施策を特定できるようにしています。

また、その後も、特定された優先課題に対して専門のコンサルタントが現場に伴走し、具体的な改善アクションを支援するため、組織変革という確実な成果につながると高い評価をいただいています。

「ウェルビーイング経営」で広がる支援の輪

ーー最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか。

白瀧康人:
本質的なウェルビーイング構築の支援を、より広く社会へ提供していくことです。今後は更なる事業拡大を見据えています。これまでは大規模な組織への支援が中心でしたが、今後は小規模な組織へも幅広く展開していく予定です。開発体制や営業の体制をさらに強化し、より多くの企業の組織づくりに伴走し続けます。

編集後記

白瀧氏の語る「ウェルビーイング」は、極めて論理的で実践的な内容である。「結論ではなく、過程にこそ幸福がある」という考え方は、現代を生きるビジネスパーソンに通ずる本質を突いている。独自の手法を用いて組織の課題を統合し、確実な改善へと導く合理性を持つ。企業の幸福度を底上げし続ける同社が、今後どのように社会へ価値を提供していくのか。その飛躍が楽しみである。

白瀧康人/マンチェスター大学大学院卒業(MBA)。米国ギャラップ社、株式会社日本LCAにて調査・コンサルティングに携わった後、伊藤忠商事グループ会社(IML株式会社等)を経て、ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社を起業。