※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

投資用不動産の販売から管理までを一貫して手がけるアセットテクノロジー株式会社。不動産業界のブラックボックスに疑問を抱き、自らも投資家である視点を生かして同社を創業したのが代表取締役の宮本泰光氏だ。売って終わりではなく出口戦略まで伴走する姿勢と、徹底したレスポンスの速さで支持を集める。他社から管理を請け負う独自の仕組みを活用した業務効率化など、次々と新しい取り組みを形にする宮本氏に、創業の背景や今後の展望を聞いた。

「売って終わり」の慣習に疑問 自らが欲しいサービスを形に

ーー不動産業界で起業された背景について教えていただけますでしょうか。

宮本泰光:
前職の不動産会社で4年ほど勤め、営業から法人の設立まで幅広い業務を経験しました。ただ、当時の環境は利益や情報の開示が不透明で、まさにブラックボックスでした。投資用不動産の販売後も、手離れのよさを優先する企業が少なくなかったのです。不動産は長く保有される方が多いため、買ってからが本当のスタートです。出口まで伴走して初めて成果が出るという思いから、オーナー様に寄り添い続ける会社の設立を決意しました。

ーー事業を運営する上で重視していることは何ですか。

宮本泰光:
私自身も不動産投資を行っているため、「投資家としてどのようなサービスがほしいか」という目線を大切にしています。かつては、不動産を販売する営業担当者が自分では物件を一つも持っていない、というケースがよくありました。自社サービスを全く利用していない人間がそのよさを説くのは、本質的に矛盾していると感じたのです。だからこそ、私自身の実体験に基づいた「投資家目線」のサービスを提供したいと考えました。現在はお客様や社員にも情報をオープンにし、デジタル技術を活用して透明性の高い経営を目指しています。

最大の強みは圧倒的なスピードと独自の棲み分け戦略

ーー貴社の管理事業における強みについてお聞かせください。

宮本泰光:
一番の強みはレスポンスの速さです。以前、退去が発生したケースを市場調査した結果、原因の大部分が管理会社のレスポンスの悪さに起因していることがわかりました。退去はオーナー様にとって大きな機会損失です。それを防ぐため、全社員が情報を共有できるツールを導入しました。誰が対応しても状況が確認できる状態をつくり、スピード感のある対応を徹底しています。

ーー具体的にはどのような事業を行っていますか。

宮本泰光:
オーナー様向けの専用アプリを用意し、収支明細の確認からチャット連絡までを一本化しています。複数担当者からバラバラに連絡が届く煩わしさを排除し、利便性の向上とミスの防止を実現しました。現在は若い投資家の方も多く、30代や40代の投資家層の増加に合わせてSNSでの発信や認知拡大も強化していく予定です。

あわせて、他社からの管理業務も請け負う「再委託」というサービスも展開しています。これは、大阪・名古屋・東京に拠点がない遠方の企業が販売した物件の賃貸管理を、弊社が代行する仕組みです。入居者対応は弊社が担い、オーナー様との窓口は販売元の企業が行うという棲み分けを徹底しました。通常、同業他社に管理を委託すると「顧客を奪われるのではないか」という懸念が生じがちですが、本仕組みによってその懸念を払拭し、企業間で質の高いプロの管理サービスを提供しています。

専門性の内製化による組織の進化

ーー現在の組織体制と人材育成の考え方について教えていただけますでしょうか。

宮本泰光:
2026年4月現在、大阪10名、名古屋8名の計18名の体制で、6月15日には東京支店を開設しました。業務においては、原状回復工事や動画制作部門の内製化を進めているところです。現在、動画制作部門では「エンマネ」等のメディアを通じて、不動産情報を積極的に発信しています。これらの業務においても、単に自社用で満足せず、他社から仕事を受注できる品質を追求しています。外部の目が入ることで組織に緊張感が生まれ、高いスキルが醸成されると考えています。

コンセプト型開発と提携強化で描く未来

ーー最後に、今後の事業展開についてお聞かせください。

宮本泰光:
今後は既存事業に加え、古いマンションを購入して全面的な改装を施す「コンセプト型開発」に注力していく考えです。他社にはない独自性のある物件を世に送り出したいですね。展開エリアは東京進出の後に関東圏を深掘りし、将来的には福岡などへも拠点を広げる予定です。

また、住宅ローンサービスなどの金融機関との提携も強化しています。業界全体として融資基準が厳格化する状況ですが、弊社はスムーズに提携を進めることができました。この信頼関係を武器に、オーナー様の出口戦略まで伴走できる体制を強化していく方針です。

編集後記

不動産業界のブラックボックスに疑問を抱き、「自分が投資家ならどうしてほしいか」という顧客視点で事業を構築してきた宮本氏。退去理由のデータ分析から導き出したレスポンスの重要性。そして他社から管理を請け負う独自の棲み分け戦略など、その手法は極めて合理的だ。専門業務の内製化など、進化を続ける同社がどのような革新をもたらすのか。東京進出や新たなコンセプト物件の開発など、今後のさらなる飛躍から目が離せない。

宮本泰光/1989年埼玉県生まれ。建設会社から不動産会社に転職し、収益不動産販売、不動産管理に従事し、その後独立。2021年にアセットテクノロジー株式会社の代表取締役に就任。