
「ガラコ」などのカーケア用品で広く知られる株式会社ソフト99コーポレーション。2026年1月、長年経営を担った前社長から小西紀行氏へ代表権が引き継がれ、同社は新たなステージに突入した。小西氏は、グループ会社であるアイオン株式会社の前社長も務めた経歴を持つ。同社伝統の「ボトムアップ」の社風を重んじつつ、海外市場の開拓やSNSマーケティングに注力する小西社長に、今後の事業展望や組織づくりについて聞いた。
創業家からの事業承継 伝統の「ボトムアップ」で個が輝く組織へ
ーーまずは、社長に就任された背景と、現在の率直なお気持ちをお聞かせください。
小西紀行:
長年経営を担った創業家からの交代という形で、2026年1月に急遽バトンを受け継ぎました。直前までグループ会社であるアイオンの社長として業務に携わっていたこともあり、当初は非常に慌ただしい日々を過ごしました。しかし、社員が前を向いて業務に取り組んでくれたおかげで業績は増収増益で推移し、新体制への移行もスムーズに進んでいます。現在は社員に頼りながら、順調に経営を進められていることに感謝する毎日です。
ーー経営のトップが変わられたことで、社内の雰囲気に変化はありましたか。
小西紀行:
変化はありません。弊社に昔から根付く「トップダウンではなくボトムアップ」の社風を、今後も維持していきます。私自身もその環境で育ってきたため、このスタイルを変えるつもりはありません。あらゆる場面で社員にある程度の権限を委譲しており、大きな案件でない限り、現場のチームが自ら考えて業務を回しています。自ら発信し、責任を持ちながら次のステージへステップアップしていく。そうした自律的な成長ができる環境を、これからも大切にしたいと考えています。
洗車文化を世界へ輸出 売上高比率の倍増を目指すグローバル戦略
ーー今後の事業において注力するテーマを教えてください。
小西紀行:
海外展開による販路拡大です。ご存知の通り、日本国内は少子高齢化によって人口が頭打ちになり、今後は車を所有する人や、自分で洗車をする頻度も徐々に減少していくと見込まれます。この国内市場の縮小を見据え、海外市場を今後の成長エンジンと位置づけているのです。現在、弊社の海外における売上高比率は全体の約10%で、金額にして12億円程度ですが、3年後の中期経営計画では、約2倍の20億円超に引き上げることを目標に掲げています。
ーー具体的には、どのような地域で展開を強化していく予定でしょうか。
小西紀行:
現在、ヨーロッパ、ブラジル、台湾、韓国を中心に、東南アジアも含めたグローバルな販路拡大を推進しています。特にヨーロッパやブラジルでの需要が伸びています。海外でも「ガラコ」や「G'ZOX」といった自社ブランドは広く認知されており、現地の優秀なエージェントが活躍しています。重要なのは、ただ商品を売るだけでなく「車を綺麗にする」「自分で洗車をする」という文化を一緒に輸出していくことです。現在はポーランドの協力工場が稼働しておりますが、将来的に欧州だけでなく南米など各地に協力工場を作り現地生産の割合を増やす構想を描いています。
時代に合わせたデジタル活用と洗車を通じた「安心・安全」の提供

ーーマーケティング面では、近年どのような取り組みが成果を上げていますか。
小西紀行:
現代のニーズに合わせ、伝統的なテレビCMからSNS中心のプロモーションへシフトしたことが大きな成果を生みました。具体的には、「レインドロップ」という商品のプロモーションが成功しています。ボディとガラスの両方に使えて、撥水と艶を同時に実現する高レベルな技術力が特徴です。使った瞬間に「艶」や「つるすべ感」をすぐに体感していただけるという特性が、SNSなどのWeb媒体とマッチし、次世代のユーザー層にも広く届いたことで大きなヒットにつながりました。
ーー最後に、今後の展望と、どのような方に参画してほしいかをお聞かせいただけますか。
小西紀行:
洗車などのカーケアを通じて「安心・安全・快適」や「長く大切に乗り続ける」価値を広め、柔軟な思考で常に新しいことに挑戦する方とともに次の歴史をつくっていきたいと考えています。カーケア用品で培った技術は、鉄道や自転車、ホームケアなど、車以外の分野にも転用がすでに進んでいますが、さらなる用途開発が可能です。
私たちは「キレイキープ」という考え方を提唱していますが、汚れを落とすことは単なる見た目の問題ではありません。綺麗に手入れされた車は大切に扱われるため、事故を起こしにくいのです。そのため、車が好きで「物事を綺麗にしたい」という思い入れがある方にぜひ来ていただきたいですね。デジタルの力を活用し、業務効率化や新しい価値提案ができる方にも期待しています。「まずは柔軟に受け入れ、そこから自分で考えて行動できる方」と一緒に働けることを楽しみにしています。
編集後記
創業家である前社長からバトンを引き継ぎ、新たな体制でスタートを切ったソフト99コーポレーション。小西社長の言葉からは、社員を信頼し、ボトムアップの組織を大切にする真摯な姿勢がうかがえた。国内市場の変化を冷静に見据え、確かな技術力とデジタルを活用したマーケティングで、世界の「洗車文化」を切り拓いていく同社。車を綺麗にすることが安心・安全につながるという哲学のもと、車以外の領域へも挑戦を続ける老舗企業のさらなる躍進に期待が高まる。

小西紀行/1960年3月生まれ、66歳。福岡県出身。1983年3月、九州産業大学経営学部卒業。同年4月、株式会社ソフト99コーポレーションに入社。2016年6月、取締役リテイルソリューションズ本部長を経て、2024年6月より常務取締役ポーラスマテリアル事業担当となる。2026年1月、代表取締役社長に就任。