※本ページ内の情報は2026年8月時点のものです。

10代の頃から個人事業主として数々の事業を手がけ、アニソンダンスエンターテインメントグループ「REAL AKIBA BOYZ」のメンバーとしても活動する株式会社リアルアキバ代表取締役CEOでありグループホールディングス会長の榊原敬太氏。プレイヤーでありながら経営者でもあるという稀有な視点を持つ同氏は、自身のルーツである「秋葉原」のカルチャーを世界に創るべく、次なるステージへと歩みを進めている。ダンサーの経済的地位の向上や、テクノロジー領域での商品開発など、尽きることのないアイデアと野心を持つ榊原氏に、これまでの軌跡と未来予想図をうかがった。

19歳で個人事業主へ「稼ぐ」手触り感を現場で養った日々

ーーまずは、起業までの歩みをお聞かせいただけますでしょうか。

榊原敬太:
実を言うと、最初から「起業」を志していたわけではありません。19歳の頃から個人事業主として、音楽やダンス雑誌の編集、ライターなどの仕事に奔走していました。当時は自分で企画を立て、予算内でデザイナーやカメラマンをアサインするという、いわば経営の基本である「仕入れと支出」の管理を肌感覚で学んでいた時期です。

ーーそこから法人化に至った経緯を教えてください。

榊原敬太:
その後、バーやダンススタジオの経営、DJ、「REAL AKIBA BOYZ」としてのプレイヤー活動など、複数の事業を手がけ、多岐にわたる活動で生計を立ててきました。すでに事業体として自走していたため、税務申告の際に専門家から勧められたことがきっかけとなり、28歳で資本金200万円、社員4名で法人化したのが始まりです。

「世界中に秋葉原を創る」と次世代ダンスカルチャーに生きる人達への恩返し

ーー現在、特に注力されている事業についてお聞かせいただけますでしょうか。

榊原敬太:
弊社のミッションである「世界中に秋葉原を創る」ことです。秋葉原は、文化を創出する力において、世界一のポテンシャルを持つ街だと確信しています。アニメ・漫画ゲーム領域における海外のフェスでも日本カルチャーへの熱量は凄まじいものがありますが、まだ「点」の盛り上がりに過ぎません。だからこそ、メイド喫茶やクラブ、物販店など、ファンが目的地として集まれる「面」の空間を世界各地に展開していきたいと考えています。すでに韓国支社やシンガポール支社の設立もしました。韓国においては、年内に3000人クラスのアニソンフェスを実行予定です。

ーー会社としての目標とは別に、個人的に強く掲げているテーマはありますか。

榊原敬太:
次世代ダンサーの生活基盤設計のグロースです。武道館ライブや『紅白歌合戦』(NHK)出場など、プレイヤーとしてダンサーとして、ある程度頂点に近い景色を見ました。しかし、そこに至るまでの22年間のダンス人生で直面したのは、ダンサーの“経済”が確立されていないという厳しい現実と経済観念を実感していきました。

ダンスの価値を無理やり変えなければ・・・構造自体を変えなければ、経済そのものを変えなければ、次世代の才能に夢を与えられません。だからこそ、2〜3年以内にダンス領域単体で売上高20億円規模となる事業体・組織を構築し、ダンサーが今よりも高い価値と対価を得られる仕組みを証明したいと考えています。

エンタメの枠を超える「3つの構想」と売上高1000億円の世界規模の街づくり

ーー今後のビジネス展開において、新たに挑戦したい領域や分野はありますか。

榊原敬太:
具体的に3つの展望があります。

1つ目は、スマートフォンで完結するアプリゲームなどのエンターテインメントを展開する企業との連携です。デジタルプラットフォーム上でのファン体験は、我々の持つリアルな熱量と掛け合わせることで大きな化学反応が起きると確信しています。

2つ目は、ハードウェアや半導体といった「ものづくり」への参画です。たとえば、単なる周辺機器ではなく、デザイン性と機能性が融合した、ライフスタイルに深く入り込むプロダクトを研究・開発してみたいです。

3つ目は、既存プラットフォームの再定義です。ゼロから構築するのではなく、現在運用されているサービスのUIやUXを徹底的に磨き上げ、ユーザーが直感的に「使いやすい」と感じるような、実用性を徹底的に追求したUI/UX(※1)の改善に深く向き合いたいですね。

(※1)UI/UX:UI(ユーザーインターフェース)はユーザーが触れる画面や操作感、UX(ユーザーエクスペリエンス)は製品やサービスを通じて得られるユーザー体験のこと。

ーー中長期的なビジョンにおいて、売上高目標はどのように設定されているのでしょうか。

榊原敬太:
M&A(※2)の推進もあり、2〜3年後の売上高100億円達成には確かな手応えを感じています。しかし、ある著名な投資家との対話が私の視座を大きく変えました。売上高100億円という数字は、私が真に理想とする「世界規模の街づくり」を実現するには、まだ通過点に過ぎないと痛感したのです。そこで、目標を「売上高1000億円」へと一気に引き上げました。

(※2)M&A:Mergers and Acquisitions(合併と買収)の略。複数の企業が一つになる合併や、ある企業が他の企業の株式や事業を買い取る買収のこと。

ーーその壮大な目標の先には、どのような景色を描いているのでしょうか。

榊原敬太:
5年後には、海外に10〜20拠点、国内に50拠点を展開し、国境を越えてオタク文化を愛する人々が日常的に集える場所を創出します。カルチャー領域を志す人々にとって、弊社が「最も挑戦しがいのある場所」として映ること。それが、私たちがこの業界に存在する最大の価値になると信じています。

編集後記

プレイヤーとして最前線に立ちながら、経営者として業界全体の構造改革を見据える榊原氏。その言葉の端々からは、確固たる信念と、緻密な計算に基づいた圧倒的な行動力が伝わってくる。世界中に「秋葉原」の熱狂を波及させるという壮大な構想も、ダンサーが正当に評価されるエコシステムを作りたいという切実な願いも、すべては彼自身が現場で汗を流してきた原体験からきているのだろう。視座を高く持ち、瞬時に目標を10倍へと引き上げるしなやかな思考。彼の描く設計図が形を成したとき、世界のカルチャー地図はより熱く、鮮やかなものへと塗り替えられているはずだ。

榊原敬太/代表を務める株式会社リアルアキバは、秋葉原カルチャーに根ざした最先端のクリエイションを展開し、『Forbes JAPAN』の「2026年の活躍が期待される注目の日本発スタートアップ100選 “100 NEXT GENERATION LEADERS”」に選出された。ダンスアーティストとしてはYOASOBIの楽曲“アイドル”への楽曲参画をきっかけに、2024年、第74回紅白歌合戦出場に続き、日本武道館、東京体育館における"ダンスライブ"単独公演を成功させた。