
タカラベルモントグループの製品のアフターサービスを担い、全国の理美容室や医療現場のインフラを支えるベルモントコミュニケーションズ株式会社。2025年に代表取締役社長に就任した内藤友博氏は、タカラベルモントで営業から総務、グループ会社の経営支援まで、多彩なキャリアを歩んできた人物だ。同社が現在注力しているのが、サービスエンジニアが「孤独」になることを防ぐ組織づくりと、未来を見据えた「予防保全」への挑戦である。現場で活躍する社員への深い思いや、今後の採用に向けた展望について、内藤氏に詳しく聞いた。
厳しい営業市場から経営支援まで多彩な経験が活きる現在
ーーこれまでのキャリアや歩みについてお聞かせください。
内藤友博:
私は1986年にタカラベルモントに入社して以降、営業から業務管理まで、現場と管理の多様な業務を経験してきました。最初は理容関係の機器営業を3年間担当しました。一度撤退した厳しい市場への再参入でしたが、他社と競い合いながらブランドの認知を取り戻す経験を積みました。その後は東京本社の業務管理室へ異動し、受注管理や新人・業務担当の教育などに従事。東日本大震災の際には、ビルの大規模な耐震補強工事など、幅広い業務に携わっています。
ーー貴社の社長に就任するまでにはどのような経緯がありましたか。
内藤友博:
きっかけとなったのは、執行役員時代に「コーポレート特命担当」として経営難に陥った有力代理店の支援に入ったことです。内部に入り込み、経営の立て直しから最終的な清算プロセスの法的手続きまで、およそ2年間全うしました。
その後、総務部長として全国の不動産や約580台の社用車管理、法務部・コンプライアンス室の立ち上げなどを経て、2025年に弊社の代表に就任しています。営業としてお客様と関わる外部の仕事から、経営支援や総務といった内部の仕事まで両方を経験できたことが、現在の組織運営に活きています。
理美容と医療の現場の手を止めない「予防保全」への挑戦

ーー改めて、現在の事業内容や強みを教えていただけますか。
内藤友博:
現場のプロフェッショナルたちの仕事を絶対に止めないよう迅速に対応することを使命に、理美容室の椅子やシャンプー台、歯科医院や病院の医療向け設備のアフターサービスを手がけています。現在、全国26拠点に約140名のフィールドエンジニアが在籍し、日々修理やメンテナンスに奔走しています。
現場で特に多いのが給湯器をはじめとした水回りのトラブルです。お湯が出なくなったり、機器が動かなくなったりすると、サロンや病院の営業自体が止まってしまいます。ドクターやスタイリスト、そして患者様やお客様を困らせないための迅速な対応が強みです。
ーー時代の変化に合わせて、今後はどのような取り組みに注力する方針でしょうか。
内藤友博:
私たちが今進めているのは、壊れたものを直す修理から、壊れる前に防ぐ「予防保全」へのシフトです。コールセンターとも連動し、設置から数年が経ったお客様へ定期点検をご提案して、トラブルを未然に防ぐ活動を強化しています。
また、これまで理美容と医療で縦割りだった組織の垣根を取り払い、両方の機器をメンテナンスできる「ハイブリッド人材」の育成にも着手しました。一人のエンジニアが双方に対応できれば、地域のお客様へより効率的で付加価値の高いサービスを提供できるようになります。
職人を孤独にさせない「チーム力」で挑む新たな組織づくり
ーーサービスエンジニアの採用や育成における課題についてもうかがえますか。
内藤友博:
現場で働く社員が孤独感を抱えないよう、チームでサポートする体制づくりが急務です。現在、サービスエンジニアの中途採用を強化していますが、この仕事はある意味で「職人」の世界です。一人で現場に向かい、自分の腕で直すため、どうしても孤独感や疎外感を抱えがちになります。そこで、現場で判断に迷ったときでもすぐエキスパートに相談できるサポート部署を設置しました。
私が社員に一番伝えたいのは、「あなたは一人ではない」ということです。「あなたの後ろには多くの仲間たちがいます。さらにその後ろには2,000人のグループ社員がついている」と言い続けています。孤軍奮闘するのではなく、チーム力で課題を解決する組織を目指しているのです。
ーー拠点内のサポートにとどまらず、組織全体の横のつながりを強化する取り組みなどはありますか。
内藤友博:
チーム力を高める一環として、昨年タカラベルモントが出展した大阪・関西万博のパビリオンに、全国の社員を交代で派遣しました。普段は電話やオンラインでしか話したことのなかった別エリアの仲間同士が初めて顔を合わせ、ともに食事をして交流する場が生まれたことで、社内の風通しが劇的によくなりました。
ーー最後に、これからの展望と、求職者の方へメッセージをお願いいたします。
内藤友博:
2028年に向けて売上高47億円、そしてその先にある50億円の大台を目指して会社を成長させていきます。そのためにも、しっかりとした技術研修やフォロー研修、新製品の勉強会といったバックアップ体制は惜しみません。
私たちが修理しているのは機械ですが、その先にある多くの人々の幸せを支える社会貢献度の高い仕事です。何より、働く自分自身が幸せでなければ、人を幸せにすることはできません。誰も孤独にさせない強固なチーム環境で、安心して新しい仲間に加わってほしいと思います。
編集後記
営業、総務、経営再建と多彩な現場を渡り歩いてきた内藤社長の言葉からは、エンジニア一人ひとりを深く思いやる温かさが伝わってきた。個人技や個々の地域性に依存しがちだった「職人の集団」を、万博での全社交流やサポート体制の構築を通じて、確固たる「チーム」へと変革させている。誰も孤独にさせない風通しの良い環境と、予防保全という新たな付加価値の創造へ舵を切った同社の未来は非常に明るい。

内藤友博/1962年、富山県生まれ。高崎経済大学卒業。1986年にタカラベルモント株式会社に入社し、様々な部署を経験。執行役員を12年間務めた後、2025年にベルモントコミュニケーションズ株式会社代表取締役社長に就任。社のチーム力と社員のエンゲージメントの向上に注力している。