※本ページ内の情報は2026年8月時点のものです。

社会のインフラであり、止まれば世の中が回らなくなるほど重要な「物流」。しかし、かつては荷主企業から買い叩かれる下請け業者扱いだった時代があった。その状況に強い憤りを感じ、物流業界の変革に人生を懸けてきたのが、株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティングの代表取締役社長、橋本直行氏だ。2026年の社名変更を経て、現場主義を強みに、中堅・中小企業のサプライチェーン構築を支援する同社。船井総研グループのDNAを受け継ぎながら最前線を走り続ける原動力と、「全力で挑むからこそ面白い」という人生哲学に迫った。

インフラなのに買い叩かれる 原動力は「下請け扱い」への憤り

ーーまずは、これまでのご経歴をお聞かせください。

橋本直行:
私は1997年に株式会社船井総合研究所に入社しました。当初はスーパーマーケット支援の部門に配属され、そこで2年弱ほどコンサルタントを経験しました。その後、当時の物流チームのリーダーから声をかけられ、物流分野へ異動することになったのです。スーパーマーケットは一般消費者向けのBtoCビジネスですが、物流会社は対法人のBtoBビジネスですので、社風も含めて全く異なる環境への挑戦でした。

ーー異動後、物流業界の支援に本気で取り組むようになったのはなぜですか。

橋本直行:
異動して実際の現場を目の当たりにし、物流会社が買い叩かれる下請け業者扱いだったことに、強い憤りを感じたからです。当時は現在のような人手不足の時代ではなく、荷主企業が物流会社を自由に選べる状況にありました。社会のインフラであり、止まれば世の中が回らなくなるほど重要な物流が、過度な価格競争のなかで非常に厳しい環境に置かれていたわけです。そうした状況を目の当たりにし、物流業界の地位向上を実現したいと強く思い、本気で取り組む覚悟を決めました。

ーーそれが、どのようにして現在の事業展開へと結びついていったのでしょうか。

橋本直行:
「物流業界の生成発展と地位向上」というビジョンを掲げ、物流会社の提案力を高める支援を続けてきました。このビジョンは、2000年に社内ベンチャーとして物流コンサル会社(船井総研ロジ株式会社)を立ち上げた前代表が掲げていたものです。人手不足ではない時代から提案力をつけることで、荷主企業と対等に渡り合えるよう支援を行ってきました。

現在では業界を取り巻く環境も大きく変わり、私たちが少しでも貢献できた部分もあると考えています。今後は物流領域にとどまらず、中堅や中小企業向けのサプライチェーンコンサルティングにも注力し、より広い領域でお客様のお役に立てるよう事業を拡大していく方針です。

物流の「現場力」を武器に サプライチェーン全体を最適化する

ーー物流改善にとどまらず、サプライチェーン領域へと事業を拡大した背景は何ですか。

橋本直行:
時代の要請に応え、より広くお客様のお役に立ちたいという思いです。近年、深刻な人手不足に加えて、気候変動による大規模な自然災害の頻発や地政学的なリスクなど、企業を取り巻く環境は激変しています。もはや単に「モノを運ぶ」という物流改善だけでは対応しきれず、調達から生産、販売に至る全体の流れを見直さなければなりません。適切な供給網の仕組みをつくらなければ生き残れない時代において、物流はサプライチェーンのハブとして機能する必要があります。そうした環境の変化に合わせ、サプライチェーン全体を強固にする仕組みづくりへと私たちの役割を広げるべく、2026年には社名も株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティングへ変更いたしました。

ーー数あるコンサルティング会社の中で、貴社ならではの強みは何でしょうか。

橋本直行:
最大の武器は、20年以上にわたり物流の最前線で地道に培ってきた「現場力(物流)」にほかなりません。戦略を描くだけにとどまらず、現場の実行支援まで深く入り込んでいくのが私たちの特徴です。サプライチェーン領域では後発ですが、リソースが不足しがちな中堅・中小企業に対し、物流に強いサプライチェーンコンサルティング会社として確固たるポジションを築くことを目指しています。食品メーカーなど、今後のサプライチェーン強化が期待される領域の企業様にもしっかりと伴走していく考えです。

若手の成長を支える「船井流」のDNA

ーー新たな領域に挑む上で不可欠な、若手社員の育成環境について教えてください。

橋本直行:
業績を伸ばすための実行支援まで踏み込み、実際の現場で数多くの実務を経験させる環境を備えています。弊社では約1カ月の研修期間を終えると、すぐにお客様の前に出る機会を設けます。先輩に同行しながら現場のコンサルティングを肌で学び、代行業務も含めた細かな実務をこなすことで、若手は飛躍的なスピードで成長していくのです。

ーー困難な現場を乗り越えるマインドセットはどのように培われているのでしょうか。

橋本直行:
船井総研グループの社員にDNAとして受け継がれている「船井流」の考え方が大きく影響しています。その一つが、成功の3条件である「素直、プラス発想、勉強好き」です。情報を否定せず前向きに受け入れ、実現可能な夢を持って楽観的に行動し、常に新しいことを学ぶ姿勢を重んじています。

また、世の中で起きる出来事はすべて「必要、必然、ベスト」であると捉えます。他者を認め、過去を肯定して前進するマインドが根付いているからこそ、困難な現場でも折れずに挑戦し続ける強さが生まれるのです。これら船井流の考え方にご興味がありましたら、ぜひ書籍「法則」をお読みいただければと思います。

「全力で挑むからこそ面白い」 走り続ける人生哲学

ーー長年にわたり業界の最前線を走り続けられる原動力となるものは何ですか。

橋本直行:
「全力で挑むからこそ面白い」という人生哲学と、日々の現場の熱量が私の原動力です。以前、社員からモチベーションを保つ秘訣を聞かれた際、「どうせ死んだらゆっくりできるのに、今ゆっくりする必要ある?」と答えました。仕事でもスポーツでも、頑張らないと面白くありません。しんどいことを避けて暇を持て余すより、忙しい環境で全力で取り組む方がはるかに充実しています。これからも、この熱意を持って業界の変革に挑み続けます。

ーー最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

橋本直行:
これから物流やサプライチェーンをより強固なものにしていくことが、企業経営において最も重要なポイントになると考えています。私たちもこれまでに培ってきたノウハウやスキルにさらに磨きをかけ、中堅・中小企業をはじめとする多くの皆様のお役に立てるよう全力でサポートしてまいりますので、何かお困りごとがあれば、ぜひお気軽にお声掛けください。

編集後記

インタビューを通して、限りある時間を全力で駆け抜ける橋本氏の覚悟を感じた。かつて下請け扱いされていた物流業界の地位向上を志し、同社は今また、複雑化する社会課題を解決するためにサプライチェーンという広大な領域へ挑んでいる。現場で培われた力と、脈々と受け継がれる「船井流」のDNAを武器に、同社はこれからも日本のインフラを支え、中堅・中小企業に新たな希望をもたらすだろう。全力で楽しむトップの姿勢こそが、次なる変革への揺るぎない原動力となっている。

橋本直行/1972年、兵庫県生まれ。1995年に関西学院大学法学部政治学科を卒業。1997年に株式会社船井総合研究所(現・株式会社船井総研ホールディングス)へ中途入社。物流企業向け経営コンサルタントやBtoB企業コンサルティング部門の責任者を歴任する。2016年に船井総研ロジ株式会社の非常勤取締役に就任。2018年には同社へ転籍して常勤取締役となり、2024年に代表取締役社長に就任。2026年の社名変更に伴い、株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティング代表取締役社長となり、現在に至る。