
2022年の設立以来、車買取専門店「スマイルカーズ」のフランチャイズ(FC)展開を推進する株式会社スマイルカンパニー。無店舗・低コストのビジネスモデルと、「奇跡のフランチャイズ」と称される強固な組織力を背景に、現在約141店舗まで規模を拡大している。同社を率いるのは、ホンダでのトップセールスマンを経て独立した代表取締役の山野俊介氏だ。独自のビジネスモデルの強みや新規BtoB事業、さらには海外展開までを見据えた今後の展望について話を聞いた。
トップセールスからの転身 「圧倒的な実績」を胸に決意した独立
ーーまずは、これまでのご経歴をお聞かせください。
山野俊介:
もともとは製造業やトラックの運転手などさまざまな業種で働いていました。その後結婚を機に「稼げる仕事」を求め、私にとって7社目となるホンダに転職しています。スーツを着たのはこのときが初めてでした。
ホンダに入るまで私は営業と無縁の世界にいましたが、入社後は新人賞を獲得したり、10年で1,000台を販売したり、さらには6年連続で全国表彰を受けるなど、ディーラーとしてがむしゃらに働いていましたね。当時は30代のうちに最年少店長になり、ゆくゆくは役員になるという目標を抱いて、とにかく車を売り続けていたのです。
ところが、その夢に向けて走り続けていたある日、これまで大いに育ててもらい、自身の夢をすべて託すほど尊敬していた上司と、今後の目標やキャリアに対するすれ違いが生じてしまいました。この出来事によって、自分の中で張り詰めていた糸がプツンと切れ、会社に対するモチベーションを一気に失ってしまったのです。目前に迫る40代という節目を前に、自身の人生を見つめ直したとき、これまで20年以上抱えていた「ルールに囲まれパフォーマンスを出し切れない息苦しさ」や「人間関係の悩み」から抜け出したいと強く感じました。
そこでまずは副業として車買取を始めてみたところ、時間的にも金銭的にも充実し、私自身の「幸福度」が劇的に上がったのです。過去の自分と同じように組織の息苦しさに悩む人を仲間に迎え入れ、関わるすべての人の「スマイル」と「幸福度」を高めたい。この思いが、「独立」への決定的な決め手となりました。
ーー独立をするにあたり、車買取事業を選択されたのはどういった背景があったのでしょうか。
山野俊介:
当初はラーメンが好きだったことからラーメン店を開こうか、あるいは学習塾などのFCに加盟しようかなどと柔軟に考え、1年ほどさまざまな説明会に参加して資料を集めていました。
ところがある日、兄から「お前は車屋なんだから車屋をやればいいじゃないか」と言われ、ハッとしたのです。長年の経験から車の売買やお客様対応には自信がありましたし、それならすぐにでも挑戦できると納得しました。そこから1年間、会社員として働きながらオークション会員になるなどの準備を着々と進め、独立を果たしました。
「安心感」と「無店舗型モデル」が生み出す顧客への還元

ーー車買取専門店としての貴社のビジネスモデルや強みをお聞かせください。
山野俊介:
最大の強みは、無店舗運営によるお客様への利益還元と、徹底して安心感を追求する姿勢にあります。加盟店にはご自宅などで開業していただく無店舗運営を基本としているため、店舗維持にかかるコストを大幅に抑えられます。その削減できた経費分を、買取価格としてお客様へ還元できるのが弊社の強みです。
ーー安心感の提供については、具体的にどのような工夫をされているのでしょうか。
山野俊介:
中古車の売却においてお客様が最も懸念されるのは、車を渡した後に本当にお金が振り込まれるのかという点です。中古車買取業界では、車を引き渡した数日後に代金が支払われる仕組みが一般的だからです。私たちは買取専業として事業を展開する上で、こうした業界特有の不安を取り除くため、お支払いを確実に行う体制を構築しました。お客様が不安を感じることなく、安心して車を手放せる環境を提供することが最も重要だと考えています。
「奇跡のフランチャイズ」を生む強固な組織力

ーー店舗数を急速に拡大できた背景には何があるとお考えですか。
山野俊介:
業界の方からたまに「奇跡のフランチャイズ」と呼んでいただくこともあるのですが、その最大の理由は、FCオーナー同士の横のつながりが非常に強い点にあります。具体的な取り組みとして、月に2回の定例会を開催し、成功事例だけでなく失敗事例も包み隠さず共有し合っています。さらに、加盟店オーナー自らがSV(スーパーバイザー)の役割を担ってくださるほど、本部と加盟店との間に良い意味で壁がありません。このように同じ理念に共感した仲間が集まり、全員でブランドを良くしていこうとする組織力こそが、成長を支える強力な推進力になっています。
全都道府県制覇からBtoB そして海外市場へ
ーー今後の店舗展開について、どのようにお考えですか。
山野俊介:
直近では200店舗、将来的には直営も含めて300店舗体制を目指し、全47都道府県の制覇を見据えています。また、新規事業として立ち上げたばかりの「スマイルトラック」というトラックの買取FCも、3年で100店舗まで拡大させる計画です。こちらはBtoB向けの事業となりますが、乗用車で培ったノウハウを存分に活かして成長させていきます。
さらに現在は、より大きな視野で海外輸出事業も本格化させています。すでにマレーシアの企業とパートナー契約を締結しており、日本では需要が少なくなった10年落ちの中古車などを輸出する計画です。まずは東南アジアや、これから先の成長が見込まれるアフリカなどを足がかりとして、ゆくゆくはより広くグローバルな市場への展開を狙っていく考えです。
ーー最後に、組織としての今後の展望をお聞かせください。
山野俊介:
事業展開としては、現在主力である中古乗用車の買取FC「スマイルカーズ」に加え、新たにトラックや重機など“働くクルマ”の買取に特化した「スマイルトラック」のFC展開をさらに加速させていきます。直近の目標として見据えているのは、単に店舗数を増やすのではなく、確固たる絆で結ばれた「強い200店舗」体制を築くことです。「強い」とは、業界から“奇跡のフランチャイズ”と称されるような私たちの強固なコミュニティを広げ、加盟店オーナー様ご自身の「幸福度」をどこまでも追求できるネットワークにしていくという意味です。
社内の組織づくりにおいても、社員がやりがいを持って働き、「純粋にこの会社にいたい」と思ってもらえる強固な土台をつくっていくことが目標です。給与面でしっかりと評価し利益を還元することはもちろんですが、同じ夢や志を共有できる仲間を増やしていきたいですね。そうした組織力とFC加盟店様との輪をもって、まずは売上高100億円、そして最終的には200億円という大きな目標に向かって、ともに邁進していきます。
編集後記
強く印象に残ったのは、山野氏の言葉の端々に滲む顧客への誠実な眼差しと、ともに歩む加盟店オーナーや社員へ寄せる深い信頼である。本部と加盟店という垣根を完全に払い、互いの成長を我がことのように喜び合えるこの温かくも力強いコミュニティこそが、同社最大の推進力なのだと感じた。同じ志を持つ仲間たちと描く壮大なビジョンは、その熱気とともに着実に現実のものとなっていくに違いない。
