※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

SBIグループにおいて、対面での証券や保険、住宅ローンなどの金融ワンストップサービスを提供するSBIマネープラザ株式会社。代表取締役執行役員社長の太田智彦氏は、新卒でSBIホールディングス株式会社に入社後、グループ会社にて数々の新規事業に関わり、31歳で現在のポジションに就任した。変化の激しい環境を駆け抜け、SBIグループが掲げる「顧客中心主義」を現場で体現し続けてきた太田氏。その歩みを振り返りながら、日本の家計金融資産を「貯蓄から資産形成へ」と導く同社の使命に迫った。

手づくりの「白黒チラシ」に魅せられて 金融ベンチャーへの挑戦

ーーSBIグループとの出会いは、一枚のチラシがきっかけだったとうかがいました。

太田智彦:
学生時代、ある企業の会社説明会に参加した帰り際、長机に置かれていた一枚の白黒チラシが目に留まりました。そこには「◯年で◯社上場させた男」という言葉とともに、現在のSBIグループトップである北尾吉孝の顔写真が載っており、SBIグループ初の新卒募集が告知されていたのです。当時、金融業界におけるベンチャーの存在は珍しく、既存の金融機関を追い越そうとする勢いと、新しい事業を次々と生み出すSBIグループの姿勢に強く惹かれました。

ーー入社後はどのようなマインドで仕事と向き合ってこられたのでしょうか。

太田智彦:
常識にとらわれず、失敗を恐れずに新しいことへ挑戦し続けることを大切にしてきました。入社後は非常に変化が激しく、1年目から新規事業の立ち上げなどに関わり、多くの経験を積む機会に恵まれました。私自身、好奇心が旺盛で、未経験の課題に挑むことへの抵抗感がなかったため、毎日が新鮮で楽しく、前向きな気持ちで仕事に向き合うことができました。

前社長の背中から学んだ徹底した「顧客中心主義」の覚悟

ーー若くして社長に就任されましたが、大切にしている信念についてお聞かせください。

太田智彦:
SBIグループが創業時から掲げている「顧客中心主義」の徹底です。これは決してきれいごとではなく、北尾が自ら実践する確固たる信念であり、言行が一致しています。私自身も、前社長の姿から、仕事への情熱と、本当にお客様のためになることを追求する覚悟を学びました。

ーー前社長から学ばれたという「仕事への情熱と覚悟」について教えていただけますか。

太田智彦:
前社長は、大病を患い体調を崩された時期であっても、お客様と向き合う姿勢を変えることはありませんでした。あるとき、ご来社いただいたお客様をエレベーターホールで見送り、その直後に足元がふらつかれ、私がとっさに体を支えたことがありました。

ご自身の状況よりも常にお客様を優先に考え抜く、その仕事への並々ならぬ情熱と覚悟を間近で見てきたからこそ、私自身もその姿勢を次世代へと引き継いでいかなければならないと強く感じています。

対面サービスならではの価値で「貯蓄から資産形成へ」を後押しする

ーーその覚悟を受け継ぐからこそ提供できる、対面サービスの強みを教えてください。

太田智彦:
インターネットやAIが普及する現代においても、金融というお客様の大切なお金をお預かりする領域では、ネットだけでは補いきれないきめ細やかなサポートと、人間力に基づく信頼関係が不可欠です。従来の金融機関ではカバーしきれないニーズを持つお客様に対し、私たちがお客様に適した金融サービスを直接対面でご提案することで、安心感という独自の価値を生み出しています。

ーーその強みを通じて、社会に対してどのような使命を果たしていきたいとお考えですか。

太田智彦:
「貯蓄から資産形成へ」という流れを確実に推進し、日本で暮らす方々が将来にわたって豊かに暮らせる社会を実現することです。日本の家計金融資産の多くは依然として預金にとどまっていますが、これらを資産形成へとつなげていくためには、インターネットの力だけでは限界があります。SBIグループの対面部門を担う会社として、私たちがしっかりとお客様をサポートし、日本を豊かにするという使命を果たしていきたいと考えています。

ーー最後に、次世代のビジネスパーソンへ向けたメッセージをお願いします。

太田智彦:
失敗を恐れず、常にチャレンジする「アントレプレナーシップ」を持ってほしいと思います。この言葉はSBIグループの企業DNAにも掲げられていますが、私自身も一枚の白黒チラシから始まったご縁の中で、新しいビジネスや価値をどんどん生み出す姿勢に惹かれて歩んできました。自ら新しい事業をつくり出し、社会に価値を提供しようとする気概を持つ人が増えなければ、日本の未来は明るくなりません。そうした挑戦心を持つ方々とともに、これからも前進していきたいですね。

編集後記

最も心に残ったのは、太田社長の言葉の端々に滲む、仕事にかける情熱とお客様への真摯な思いだ。社長室にベッドを持ち込むほど命懸けで職務を全うしようとした前社長の生き様。その背中から受け継いだ確固たる覚悟が、今の同社を力強く牽引している。AI時代において効率化が叫ばれる中、あえて人間力と対面の価値を信じ抜く姿勢こそが、これからの日本の未来を明るく照らす確かな光になるはずだ。

太田智彦/1983年生まれ、岐阜県出身。2006年、SBIホールディングス株式会社に新卒第一期生として入社。SBIモーゲージ株式会社(現SBIアルヒ株式会社)での企画部長、執行役員などを経て、2012年にSBIマネープラザ株式会社の発足とともに取締役に就任。2015年、同社代表取締役執行役員社長に就任。