※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

1969年の創業以来、半世紀以上にわたり横浜を拠点に電気設備や空調衛生設備など社会インフラを支え続けてきた清進電設株式会社。横浜市庁舎アトリウムやグランモール公園など数々の主要施設の施工実績をもつだけでなく、働きやすさやSDGsへの取り組みが評価され、横浜市の4つの認定・認証をすべて取得した企業にのみ贈られる「横浜グランドスラム」の表彰も受けている。近年は、長年の取引先である既存の大手サブコン企業との強固な信頼関係を基盤としながら、将来的な「総合建築会社化」も見据え、あらゆる工事に対応する総合力を磨き成長を遂げている。外部の総合建設会社での実務経験を経て、今年新たに代表取締役に就任した清原裕之氏。同氏にこれまでの歩みとM&Aを視野に入れた今後の組織展開についてうかがった。

総合建設業での経験と家業への合流直後の試練

ーーまずは、ファーストキャリアについてお聞かせいただけますか。

清原裕之:
大学卒業後すぐには家業に入らず、外部の総合建設会社へ入社しました。「外で広く学んでこい」という先代(現会長)の方針があったためです。そこでは11年間、総務や人事から企画、プロジェクト管理、営業、工事部門まで、建設業界の業務を総合的に経験しました。空港施設などの建設に携わり、さまざまな立場の人々と協働して仕事を進め、その手法を学べたことは、現在の経営においても大きな財産となっています。

ーー家業である貴社へ入社した後は、どのような困難がありましたか。

清原裕之:
2017年、弊社に入社したばかりの頃に社内で大きな試練がありました。前職でのご縁もあり、入社と同時に約3億円規模の大型案件を任せていただいたものの、人員の手配を自力で行わなければならない状況に直面したのです。当時はオリンピック開催前の建設需要によって、業界全体が多忙を極めていた時期です。そこで私は社外のネットワークに協力を仰ぎ、施工や人員の手配も含めてその案件を完遂しました。この実績により、社内からの信頼を少しずつ得ることができたと感じています。

長年の信頼を基盤に、将来の「総合建築会社化」を見据えて進化

ーー社内の信頼を築き上げた現在、事業展開において最大の強みは何だと思われますか。

清原裕之:
電気設備をメインに空調衛生設備や環境事業、アスベスト調査・除去などを展開し、リノベーションを含めた6つの柱で、あらゆる工事にワンストップで対応できる体制を整えつつあることです。

当社は長年、既存の大手サブコン企業様からいただくお仕事を何よりも大切にし、一次下請けとして確かな「施工力」を提供してまいりました。現在も、そうしたお客様との強い信頼関係が当社の最も重要な基盤となっています。

一方で、近年は業界全体で多くの案件が動いている背景もあり、少しずつゼネコン様から直接依頼を受ける機会も増えてきました。材料調達から施工管理までを一貫して担う経験を積む中で、将来的には当社自身が「総合建築会社」としての役割をしっかりと担える会社へと成長していくことを目指しており、お世話になっている既存のお客様のご期待にさらに応えるためにも、より高い技術力と総合力を持った企業へと進化していきたいと考えています。もちろん、今後も大手サブコン企業様との繋がりを大切にし、これまで以上により一層関係を深めてまいります。

ーー会社の規模が拡大する中で、採用や人材育成にはどのように取り組まれていますか。

清原裕之:
実際に手を動かす「職人」と、現場をまとめる「管理」の双方を自社で採用し、育成しています。通常、サブコンと呼ばれる企業は管理職のみを採用するケースが多いのですが、弊社は職人も採っている点が大きな特徴です。入社後は適性や希望に応じて専門性を極めることができ、社員用の寮も完備しているため、地方出身の方でも安心して生活基盤を築くことができます。

ーー未経験者の育成について、さらに具体的な構想はありますか。

清原裕之:
今後の抱負として、研修センターを新設する予定です。ここでは若手社員のほか、中途採用で新たに入社された20代の未経験者の方々も、一からしっかりと育成していくシステムを構築します。電気工事の需要が高まり、ゼネコンからの案件も増えているため、異業種からの人材確保と教育システムの構築は弊社にとって必須であり、誰もが安心して成長できる環境を整えていきます。

ーー現場で働く社員の生産性を高めるための取り組みをお聞かせください。

清原裕之:
本社内部に管制室を設ける構想があります。現場に出てもらっているベテランの職長や代人のITリテラシーを、本社から手厚くサポートする仕組みです。これにより業務の効率化や生産性の向上を図り、若手からベテランまで全社員がそれぞれの強みを活かして働きやすい環境を実現したいと考えています。

共栄の「M&A構想」で描く100億円企業への道

ーー人材育成のほかに、社内体制の強化で注力されていることをお聞かせください。

清原裕之:
現在は、社員の評価制度の変革を進めています。これまでは年功序列の側面がありましたが、新しく入社した方や20代の若手社員が自身の成長を実感し、納得して働ける評価基準が必要です。能力や成果を正当に評価する明確な基準を設けることで、社員のモチベーション向上と定着につなげていきたいと考えています。

ーーこうした体制強化の先に見据える、次なる目標はどのようなものですか。

清原裕之:
売上高100億円企業へと成長することです。そのための重要な戦略の一つとして、「M&A構想」を積極的に推進していきます。弊社には長年のお客様と築き上げてきた盤石な基盤がありますが、30代後半から40代の中間層が不足しているという課題があります。

一方で、優秀な技術者を抱えながらも営業力に課題を持つ同業他社も少なくありません。そうした企業と友好的なM&Aや協業を行うことで、互いの強みを補完し合い、ともに成長していきたいのです。これからも確かな技術力を武器に、社会インフラの未来を創造する次世代の設備工事パートナーとして走り続けていきます。

ーー最後に、これから入社を検討される求職者の方へメッセージをお願いします。

清原裕之:
弊社は現在、社会インフラの構築という大規模でやりがいのある仕事に数多く携わっています。充実した教育体制と、頑張りを正当に評価する明確な基準のもと、未経験からでも着実にプロフェッショナルへと成長できる環境です。確かな技術力を身につけ、ともに社会インフラの未来を創造していく熱意ある方をお待ちしています。

編集後記

現場の最前線を知り尽くした清原社長の言葉には、確かな自信と温かな人間味が溢れていた。とくに印象的だったのは、効率化が優先されがちな現代において、あえて職人と管理の双方を自社で育て上げようとする懐の深さだ。自社の課題を包み隠さず語り、既存の取引先への深い感謝を忘れず、さらに他社との共栄を模索するその姿勢からは、ただ自社の規模を拡大するだけでなく、業界全体を力強く牽引していく覚悟がひしひしと伝わってきた。社長の熱量とともに進化を続ける同社が、これからどのような未来図を描き出すのか非常に楽しみである。

清原裕之/1981年、神奈川県生まれ。桐蔭横浜大学卒業後、株式会社JAL建設(現:株式会社JALみらい建設)に入社し、11年間にわたり実務経験を積む。事業承継のため、2017年に清進電設株式会社へ入社。2019年に専務取締役、2026年に代表取締役に就任。現在は経営全般を統括するとともに、協力会社との関係強化や新規協力会社の開拓を推進し、事業基盤のさらなる強化・拡大に尽力している。趣味はゴルフ、釣り、旅行、温泉巡り。