※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

フードテック企業の立ち上げに共同創業者として参画し、何もない状態からの事業推進とIPOを牽引した後に、Bluefield Energy株式会社を創業した島田孝文氏。テクノロジー化が遅れる巨大なエネルギー業界において、「エネルギーの制約から人と社会を解き放つ」というミッションを掲げて事業を展開している。現場の熱量や顧客との対話を重視する同氏に、エネルギー領域へ参入した背景や組織のあり方についてうかがった。

異業種での経験からエネルギー業界の最前線へ

ーーまずは、これまでのご経歴と起業に至った背景を教えていただけますか。

島田孝文:
新卒で大手IT企業に入社した後、数社のスタートアップを経験し、フードテック企業「ベースフード株式会社」に当時の代表に誘って頂き、共同創業メンバーとして参画しました。そこでは商品開発から工場探し、原料調達など、何もない状態から事業立ち上げを推進してきました。

現在の事業に至った契機は、前職で直面した食品の廃棄問題から地球温暖化やCO2排出に関心を持ち、環境負荷に最もインパクトを与えうるエネルギー業界に着目するに至りました。

ーー数ある社会課題の中からエネルギー業界を選んだ理由を聞かせてください。

島田孝文:
エネルギー業界は巨大マーケットでありながら、長らく地域独占という特有の構造のもとで安定的に運営されてきた業界です。だからこそ、他産業と比べてテクノロジーの活用余地がまだ大きく残されていると感じました。長い歴史の中で培われてきた産業だからこそ、そこに新しい仕組みを掛け合わせることで、大きなインパクトを生み出せると考えました。また、AIの普及による電力需要の爆発的増加を見据えていることも大きな理由です。電力を安く効率的に使えるようにする価値が、今後ますます高まると確信しています。

電力構造を変革し電気の流れそのものをつくり出す

ーーそのような将来性を見据えた上で、現在どのような事業に注力していますか。

島田孝文:
大きなテーマとして、電力の「発電から小売まで」の構造を変えるチャレンジを掲げています。具体的には、太陽光などでつくり出された電力をただ市場に流すのではなく、蓄電池などを制御し、「電気の流れそのものをつくりにいく」ことに取り組んでいます。現在は電力の需給バランスが大きく崩れる状況が発生しており、電力の余る時間帯と足りない時間帯で価格が極端に変動します。私たちは蓄電池などを制御し、電力が余る時間帯に蓄え、足りない時間帯に放出することで、この需給のギャップを埋める事業を展開しています。現在、そうした需給のギャップを埋めるために必要なサービスやシステムを、発電や小売を担う事業者様へ提供しています。

ーー多くの事業者様からパートナーとして選ばれている強みはどこにあるとお考えですか。

島田孝文:
柔軟性とスピード、そしてシステム開発力と確かな専門知識を掛け合わせている点です。大手電力会社様は社会インフラを守るという大きな責任を負っている側面もあるため、我々として品質をないがしろにせず、トラブル時の対応体制も含めてしっかりとした信頼を築くよう心がけてきました。また、短期的な利益より長期的な志を重視しており、一過性の利益ではなく、事業として継続的に取り組む意志のある方々とパートナーシップを結ぶことを何よりも大切にしています。

組織の熱量と顧客の信頼を生み出す 「直接会うこと」の価値

ーー組織の熱量を高めるために工夫していることを教えてください。

島田孝文:
現在、システムエンジニアを除いて原則リモートワークなしの方針を採用しています。優秀で熱意ある人たちが集まる「ホットスポット」をつくることが、ベンチャーには不可欠だと考え、偶発的なアイデアや組織の熱量を高めるためにオフィスへの出社を基本としています。人が集まることで得られるものや共有できる熱量には、オンラインでは代替できない部分が大きいと感じています。当社のValueに「縦横無尽(制約や固定観念に縛られず果敢に挑戦する)」を掲げていますが、そうした枠にとらわれない柔軟な発想や行動力も、顔を突き合わせた密なコミュニケーションから生まれると考えています。

ーーお客様との関係構築において、特に心がけていることは何でしょうか。

島田孝文:
もう一つのValueである「誠心誠意」を体現し、お客様に対しても直接お会いして関係を築くことを意識しています。オンラインで完結できる時代ですが、日帰りで地方へ足を運ぶことも多いですね。海外企業との取引においても直接お会いする機会を設けるなど、「誠実な関係性づくり」と、そこから生まれる確かな信頼を非常に大切にしています。

信用残高を積み重ね頼られるインフラ企業へ

ーー確かな信頼を築く上で、経営者として軸となっている価値観をお聞かせ願えますか。

島田孝文:
お客様を含めすべてのビジネスパートナー様との関係はお互いに信用がおけるという前提となっているものが多く、我々として「信用残高」をどう積み重ねていくかが重要だと考えています。自分がやろうとしていることに対してしっかり進捗を出しているか。社長自身が率先して働いているか。そうした日々の積み重ねが、従業員や取引先からの信頼につながります。社会に与える良い影響を大きくしていくためには、この各パートナー様との信用残高を積み重ねていき、大きなチャレンジを皆様と一緒になって進めていくことが必要不可欠だと思っています。

ーー信用残高を積み重ねた先に、どのような未来の展望を描いていますか。

島田孝文:
電力やエネルギーの領域で困ったことがあれば、まずはBluefield Energyに相談してみようと言われるような会社になることです。そのために、技術力の向上はもちろん、人と人との信頼関係をしっかりと築き上げ、私たちが提供できる事業領域の幅をさらに広げていきたいですね。

編集後記

最先端のテクノロジーを駆使しながらも、取材を通じて最も強く感じたのは、島田氏の人間味あふれる温かさと現場への熱量だった。どれほど技術が進化し、オンライン化が進んだとしても、事業の根幹を支えるのは人と人との確かな「信用残高」に他ならない。効率化の波に逆行するようにも思える対面でのコミュニケーションや、オフィスに集うことの価値を真っ直ぐに語る姿に、強い感銘を受けた。ブレない信念を胸に前進を続ける同社が、これからどのような未来を描いていくのか、期待が高まるばかりだ。

島田孝文/一橋大学経済学部卒業​。DeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)にて広告営業、新規事業開発を担当、会計系スタートアップにてソフトウェアエンジニアとしてプロダクト開発。​ベースフードに3人目の共同創業者として参画し、プロダクト開発責任者として組織を牽引。2022年11月、IPOを達成後退職。現Bluefield Energy取締役の野田と出会い、24年11月共同創業。

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