株式会社ノバレーゼ 国内外に70以上の結婚式場を展開。ブライダル事業を中心としたビジネスを幅広く手掛けるスタンダード上場企業 株式会社ノバレーゼ 代表取締役社長 荻野 洋基  (2024年2月取材)

インタビュー内容

価値観

【浅田】

業界全体という単位でみると、業界全体が1組1組の結婚式に対して、真面目に真摯にとらえて、そこできちっと感動を生み出すサービスを提供して、参列される方々が本当に共感して、将来自分もそういう結婚式がしたいと思ってもらえて、それが連鎖してつながっていくことができれば、この結婚式のスタイルも長く残るのだろうなと考えています。

ただそれが、自分が参列したけれども、つまらなかったとか、それなのにお金だけは非常にかかっていると、私はこんなのやりたくないと、そういう方がどんどん増えていくと、より結婚式の魅力がなくなってしまいます。

そういう意味でも業界全体が本当にまじめに将来のことを考えて、やっていかないといけないのかなと、いう風に考えています。

【浅田】

当初、この会社を設立したときから、この業界に対して恩返しすると同時に、この業界を常にリードするソフトウェア、および人材を提供する会社であり続けるべきだろうなと思っています。

当社が発信するサービスであったり、そういったものがこの業界に影響を与えていって、次の世代の結婚式の道しるべになるという、そういう存在であり続けるべきかなと考えています。

ノバレーゼで働く人たちが、ブライダルという仕事に誇りを持てて、ブライダルを愛すると、そういう人たちが少しでも増える事によって、この業界の魅力がいろいろな人に伝播する、ブライダル業界ではたらきたい、より夢のある会社に転職したいと思ってもらえるような、指標的な存在になりたいです。

だからノバレーゼというのは、オンリーワンの存在でなければいけないと思っているのです。当社が発信源になって、この業界に対していろいろな意味で良いインパクトを与えていく、そういうことを当社はやっていく義務があると認識しています。

今流行っているものを単純にやって、今もうかればいいよね、という考えでやるつもりはまったくありません。

事業

【浅田】

当社は今、ウェディングの領域の中で、特に力を入れてやっているのがハウスウェディングという新しいスタイルのウェディングに力を入れてやっています。

ハウスウェディングのなかでも、世の中には、ヨーロッパ風の建物が多い中で、モダンコンテンポラリーというコンセプトで建物の建設をやっていて、それが他社とデザイン的にも大きく違うところです。

また採用にも力を入れていまして、ホスピタリティーの高い人材を入れることによって、お客様とのリレーションシップを強めていける、そのことによってお客様のファンが増えていく、企画力、コーディネート力といったものも、ソフト力に含まれますけれど、総合的な人材の力があるという点が私どもの強みでもあります。

【浅田】

もう一つは企画力です。これはお客様に対する企画力ではなくて、ブライダル会場を創る、この世に誕生させる上での企画力です。例えば今あるホテルですとか、結婚式場、ハウスウェディングという会場が今非常に苦しんでいるという現状があります。

どういう物件で、どういう投資をして、どういうソフトウェアをそこに組み込めば(コンセプトメイキングをすれば)現在のお客様にうけるのか、これを当社はマーケットを熟知しているなかでやれていると考えています。

そこが他社との違いでして、新規で建物を建てるだけではなくて、既存の建物を上手くカスタマイズして行きながら、今の世の中に合った現代風にアレンジしていくというノウハウがあります。これは当社の大きな強みであると考えています。

【浅田】

もともと私自身が環境保護という、エコと言われる以前からとても興味がありまして、まず何ができるだろうなと、いろいろな社会貢献はありますけれども、一番温暖化対策ということでいうと、森林の植林が目に見えてわかりやすいということと、将来にわたって当社が育てていく木がどんどん育っていくことです。

そして結婚式をやられたお客様が自分たちの結婚式に植えた木がちゃんと植えられているんだと、例えば銀婚式とか金婚式などで、その節目節目を迎えるまでずっと育っているのだと、これが新郎新婦様にたいしても非常に共感を得るのではないかというところで、「未来の森プロジェクト」というのを今年からはじめることになったのです。

新郎新婦様にはノバレーゼが植えたのではなくて、自分が植えたのだと、そういうふうに思っていただきたいです。そうすると愛着が湧いたり環境について新郎新婦様も考えていただけるのではないかなと思います。

キャリア

【浅田】

前職のリクルートで先輩方や上司の方は、自分が経営者の意識をもって会社を支えているのだというところが強かったのです。そこで組織の強さというのを学んで父の会社に入って、ものすごく父は中央集権主義というか、いわゆる鍋蓋型という、一人の決裁者がいて、周囲の人間は決裁者に聞かないと何も物事が進まないという状況でした。

カリスマ経営者がいる時はそれでいいと思うのですが、そうでなかった時のことを考えて、私は私自身がカリスマ経営者になろうとは全く考えていなくて、やはり「個」が強い組織であるべきだなと考えています。

父の会社を追い出されたのも、ここが1つの原因なのですけれども、家族経営から脱皮して、いかに家業から企業への脱皮を図るか、これが私の創業時のテーマなのです。企業化するために大切なことは何か、これは優秀な人材が育っているかどうか、またきちんと現場で判断をして、決裁をして行動をすることができているのか。

組織化への道の中で私自身、父からすべてを任されて、自分は経営の右も左も分からない中で会社のかじ取りをやってきて、その時に非常に自分のためになった経験があるのです。

誰かが何かを言ってくるのではなくて、自分で考えて自分で決めて、自分で行動しなければいけないと、これは大変だったのですが、ものすごくやりがいがありました。だから今の社員にも、できるだけそういうやりがいを感じてもらいたい、やりがいを感じるためには自分で考えろ、自分で行動しろと、イエスマンは必要ありません。

そういうふうな組織作りがしていきたいなと思っていて、それができる、醍醐味が味わえる、それも人に責任転嫁できないので大変なのですが、それを良しとする人たちが集まって、思い切り戦える風土でありたい、それが私が社員に求めることえもあるし、提供したいことでもあります。

プライベート

【浅田】

よく言っているのは「日々是戦場」という言葉です。人生なにが起こるかわからないので、毎日毎日、当然気を抜くときもあってもいいと思うのですけれども、気を抜いても真摯にいろいろな事物、人に対してもそうです。

例えば、自分は今日は休みだからと、コーヒーショップにコーヒーを買いに行って、「こいつは店員だから俺は態度を悪くしても、お金払うのだからいいんだ」みたいな、それではダメだと思うのです。

だから、いつ、いかなる場所でも、会った人にとても気持ちの良い感じを常に与える、それがまた次につながっていく、相手に悪い感じを与えないで、この人感じいいなと、雰囲気いいなというふうに思ってもらえて、周囲にファンと言いますか、良い空気を醸すこと、これが大事かなと思います。

【浅田】

将来、私はハワイに住みたいなと思っています。半分くらいハワイに住んで、半分くらい日本に住んで、当社で結婚式をやるお客様がハワイに来られたときに、自分はリムジンの運転手をやって、ハワイの結婚式を今度はご案内する役目をやれれば、幸せだな素敵だなと思います。

また、ハワイに来る日本人向けに、なにかいろいろなサービスが提供できれば素敵かなと思っています。

【浅田】

私はオーストリアのザルツブルクで結婚式をやりました。私がこの仕事をしていて、当時海外ウェディングが流行り始めていて、自分がやらないと、人にしゃべれないと思ったのです。「海外ウェディングはこうでしたよ」と、お客様にしゃべれるようにするためには、自分がまず海外ウェディングの現場を見ないといけません。

ちょうどその時が自分が結婚する時だったので、では自分が海外でウェディングをしようということで、海外でやることにしたのです。私自身がクラシック音楽が好きでして、クラシック音楽といえばやはりモーツァルトが殿堂入りしていると思うのですけれども、モーツァルトが昔ピアノを弾いていたという「ミラベル宮殿」という宮殿があるのです。「サウンドオブミュージック」という映画にもでてくるのですけれど。

「ミラベル宮殿」の部屋で、モーツァルトにちなんだところで結婚式をやりたいというので、そこでやったのです。姉の旦那さんがクラシックが好きで私が高校生の時に「フィガロの結婚」というモーツァルトのオペラを貰ったのですが、これをきっかけにクラシック音楽を聴き始めて、聴いていくとどんどんはまっていきました。

ある意味、非常に表現もオペラは言葉がありますけれど、音だけでも人を感動させる、背景とか、そういうことを知るとすごく感動します。

【ナレーター】
ブライダル事業を中心としたビジネスを多岐にわたり展開する「株式会社ノバレーゼ」。

国内外に約70店舗を運営し、都市型や郊外型など、顧客のニーズに合った結婚式を企画・提案している。

2023年6月にスタンダード市場へと上場を果たし、現在、福島県や富山県など、地方への新規出店を加速させており、その存在感を際立たせている。

“Rock your life~世の中に元気を与え続ける会社でありたい~”という経営理念のもと、成長を続ける企業と、経営者の軌跡に迫る。

【ナレーター】
自社の強みは人にありと、荻野は言い切る。

【荻野】
ブライダル業界って、どこの会社も私は素敵だと思っているんです。商品も素晴らしいものがたくさんありますし。でも、当社唯一の差別化のポイントは“人”でありたいと思っています。

「ノバレーゼの強みって何ですか?」と聞かれたときは、これだけのシェアがあるとか、これだけの売り上げがあるとかではなく、「社員が財産です」って言い続けられるような会社でありたいと思います。

ビジネス的な強みでいうと、やはり周辺事業(結婚式・式場・ドレス・引き出物・装花・写真・映像)を全て内製化していることでしょう。

また、競合他社があまりいない地方に出店戦略をとっているのも当社の強みの一つです。ブライダル業界の中でも、開拓が進んでいない領域で勝負していますから、勝ちパターンをしっかりとつくれますし、広告宣伝費も最小限に抑えられます。

地方はテレビCMに広告を出す費用が安いため、様々な広告戦略が取れるんです。当社では1店舗の出店にあたり、8億円ほど初期投資を行うのですが、地方だと5年くらいで回収できます。投資回収期間が短いのもメリットのひとつといえるでしょう。

【ナレーター】
荻野の原点は就職活動にある。当時「どんな会社で働くか」よりも「どんな人と働きたいか」を重要視していた荻野は、ノバレーゼの説明会で出会った魅力的な社員の姿に強い衝撃を受け入社を決める。当時についてこう振り返る。

【荻野】
就職活動中、友人に誘われて行ったノバレーゼの説明会にて、先輩社員や当時の社長の話を聞いている中で、「自分が将来こんな大人になれるんだ!」と思ったらすごくワクワクしたことを今でも覚えています。

「こんな人と一緒に仕事したいな」と、就職活動中に初めて思えたのがノバレーゼでした。そんな経緯があり、「ここだな」と思い、最終的に就職希望先をノバレーゼに決めました。

入社してからは毎日本当に刺激的で、やはり強く印象に残っているのは同じ会社で働く“人”との関わりです。

“人”の良さに魅力を感じてこの会社を選んだのは間違いではなく、特に入社して間もないころは「多くの人に助けてもらえたな」というのを今でもありがたく思っています。

入社後は縁もゆかりもない名古屋に配属されて、右も左も分からない状況だったのですが、先輩だったり、同期だったり、仲間だったりと一緒に仕事して、仕事が終われば飲みに行って。そこで夢をみんなで語り合うこともありました。

もう朝から晩までずっとノバレーゼの仲間とずっと一緒にいたことを鮮明に覚えています。むしろ、その記憶しかないですね(笑)。

失敗したことや、いろいろなことがたくさんありましたが、結局仲間やお客様に支えられて。多くの人との出会いが、今の自分をつくってくれたと感じています。

【ナレーター】
荻野は全国各地でゼネラルマネージャーを経験した後、2016年に代表取締役社長に就任。前社長から社長就任を打診された時のエピソードは、今でも鮮明に覚えているという。

【荻野】
全国のGMが集まる会議があったんですけれども、みなとみらいの美しい夜景が一望できるビルの17階で、会議が終わった後、当時の社長に「チャペルに来い」と言われたんです。

そこで、突然「お前(社長)やるか?」と言われました。なぜ私なのかは聞いていませんし、社長も特に言いませんでした。

内心、とても驚きましたが、これまでたくさんの仲間に支えられてきたことを思い返すと、社長になっても大丈夫だと思えたのです。

私自身、ノバレーゼという会社がすごく大好きで、ほとんど社員の顔や名前はもちろん、一人ひとりの活躍ぶりも分かっていたので、「これだけ素晴らしい社員がいるのであれば、私が社長でも何とかなるかな」と思えました。

社長になる決心がついたのは、やはりこれまで一緒に働いてきたメンバーのおかげですね。最後、自分が「(社長を)やります」と答えた大きな理由になったと思います。

【ナレーター】
2020年以降のコロナ禍において大きな打撃を受けたブライダル業界。ノバレーゼも直面したその危機を乗り越えるため、荻野の頭に浮かんだのは会社の理念、原点に立ち返ることだった。

【荻野】
コロナ禍は、あらためて会社の理念・文化に立ち戻った時期でした。

全てのお客様が延期やキャンセルになり、売上が入ってこないうえに、キャッシュもなくなっていく……。そんな中で、やはり会社の未来について不安になるときもありました。「このままだとスタッフにお金を払えなくなる」と。

今までノバレーゼがこれだけ成長してこられた経緯や、これからも同じスタイルで企業として成長していくためには、やはりもう一回、原点に立ち返らなければいけないと思ったのです。

そんなときに救ってくれたのが、“Rock your life~世の中に元気を与え続ける会社でありたい~”という当社の会社の理念でした。

当社では、スタッフに説明できないことは絶対にしないよう心掛けており、“陽のあたる道を歩いていこう”という言葉を大切にしているので、コロナ禍でもそのスタイルは貫きたいと考えました。

例えば、会社が決めたことを最終的にお客様に伝えるのは現場のスタッフです。だからこそ、スタッフが納得してお客様に説明できることようにしなければならない。そういった理念を軸にいろいろなことを考えていくと、物事がスムーズに進んだのです。

今まで私たちが大事にしてきたことは、やっぱりこういった不測の事態にもすごく助けてくれる。だからこそ、これからも会社の理念を大切にしていかなければならない、と改めて感じました。

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経営者プロフィール

氏名 荻野 洋基
役職 代表取締役社長
生年月日 1979年8月2日
略歴
2004年
株式会社ノバレーゼ入社
2008年
中部支社浜松地区ゼネラルマネージャー
2009年 中部支社ノバレーゼ名古屋ゼネラルマネージャー
2010年
営業本部鎌倉地区ゼネラルマネージャー
2014年
営業本部横浜地区ゼネラルマネージャー
2016年
代表取締役社長(現任)

会社概要

社名 株式会社ノバレーゼ
本社所在地 東京都中央区銀座1-8-14 銀座YOMIKOビル4F
設立 2000
業種分類 サービス業
代表者名 荻野 洋基
従業員数 連結2,578人/単体2,098人(2023年12月31日現在)
WEBサイト http://www.novarese.co.jp
事業概要 ブライダル事業 (婚礼プロデュース部門・婚礼衣裳部門・レストラン部門)
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