プレミアムウォーター株式会社(旧株式会社ウォーターダイレクト) 富士山の天然水を製造・販売。ボトル回収不要で家庭に浸透 プレミアムウォーター株式会社(旧株式会社ウォーターダイレクト) 前代表取締役 執行役員社長 伊久間 努  (2014年6月取材)

Vol.1 創業秘話

インタビュー内容

―創業秘話―

【伊久間】

私が元々ウォーターダイレクトの創業に携わったという事でありますと、ウォーターダイレクトの母体になる会社がいくつかありまして、その中に株式会社リヴァンプがあります。2005年に創業致しまして、その時の創業者が前のユニクロの社長を務められた玉塚さん、それと副社長だった澤田さん、この二人で作られた会社になります。そのリヴァンプに私も創業時からジョインさせて頂き、その中で色々な事業をやらせて頂いたんですが、その中にウォーターダイレクトの立ち上げというところのお仕事を携わらせて頂いたのが一番初めのきっかけです。

リヴァンプのみならず、創業当初から機関投資家として有名だった藤野英人さん。それがレオスキャピタルという会社で一番創業当初から参画されて頂きましたし、あとは日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口さん、現在でも取締役を務めていただいておりますが、その3社が中心となり立ち上げられたのがこの株式会社ウォーターダイレクトです。

創業当初から私も資金調達の役割のCFOという事で携わらせていただいておりましたが、4年目から本格的に上場ステージに持っていこうということで、社長を務めさせて頂いています。

あと、宅配水というところに、もともとそういう意味では玉塚さんであり、藤野さん、村口さんがこの水の業界はこれからまだまだ伸びるというところでその中でも宅配水で勝負していこう、というコンセプトを彼らに作って頂いたんですね。後は私が実行に移せばいい、というところですね。皆さん色々な事業を手掛けている方々なので、コンセプト作りや方向性を出すのに優れた方々でした。たまたま私はそうやって機会を頂き続けてやっているというところです。

まず商品におきましては、宅配水の業界の先駆者ってなりますと容器を、サービスでいうとリターナブルサービスと我々言っているんですが、宅配水の業界で先駆者となると、リターナブルサービスという、ポリカーボネートという固い素材で使ったもの、これを何度も使ってその空の容器を回収して洗浄してまた使う方式が中心でした。

その場合、例えば我々は富士山のところに工場があるのですが、そこから出荷して、鹿児島のお客様に届けた場合、お水を利用いただいた後空のボトルを富士山まで戻さなきゃいけないんですね、そんな馬鹿な事できませんし、今までのリターナブル業者さんは全国に10カ所ほど工場があり全国カバーできると。なおかつ回収しなければいけないので自社でトラックを持って、ドライバーを持ってそれで回収しなければいけないと。

我々は業界でも後発で、2006年の創業ですから、追いつくのに何年かかるのか、ドライバーを何人雇わなきゃいけないのか、やはり同じモデルではとても戦えないということで、我々は日本にたいへん優秀な宅配便網がありますから、宅配便網を使ったサービスにしたら富士山の工場1カ所から全国展開できるだろうと思いました。

次に容器を回収する事が物理的に不可能なので、経済的にメリットのある形で容器を作る必要がありました。従来の回収する必要のない使い切りボトルはビニールの素材みたいなもので作られたバックインボックスというタイプがありまして、業務用のワインなんかで使う、どちらかというとイメージとしてはビニールの素材みたいなもので作られた物のバックインボックスがワンウェイの中では主体でありましたが、水という素材を扱う中で、今では飲み物の容器はPETが主流です。これはコストや匂いなどの問題の中で最もバランスが取れているのがPETだからです。という事で、やはりPETの素材にいきついているんですね。そこではPETの素材を使った容器を開発したいというのが一番のポイントでありました。

そのPETの素材を使った容器という事でウォーターサーバーにさすのでそれなりに大きいもの、我々の場合は12リットルの容器になるのでそこが一番難しかったです。容器メーカーと試行錯誤しながら開発しました。一番簡単なのは少しPETの素材でも硬くして作るのであれば比較的簡単だったんですね。でも水を飲み終わった後破棄する際に大体奥様になると思うんですけれど女性が足で潰して処分しなきゃいけないと、これ毎回やるの?という事がありましたら、おそらくお客様としてはカスタマーエクスペリエンスとして決していい事ではないと思い、使用と共に潰れてきて最終的にペチャンコになりリサイクルごみとして処分できることにこだわり工夫した点です。穴が開いたりと、完成形ができるまでは1年から1年半がかかりました。そこが非常に厳しかったところではありました。

あと、ウォーターサーバーの部分においても、従来の硬いポリカーボネートの素材を使ったウォーターサーバーは内部の構造が違うので我々ウォーターサーバーにもオリジナルで内部の構造を開発する必要がありました。それもだからやはり時間がかかりました。ただ最終的にそこでオリジナルの商品を開発するという事にこだわった事、従来の硬いボトルこれは汎用品があります。従来のウォーターサーバーも汎用品があります。汎用品ではなく自分達のオリジナル商品にこだわったというところが1つの競争優位性を生み出したきっかけになったので、苦労はしましたが良かったと思っています。

実際に工場が出来て、商品を出荷できる状況になったところで、今までの宅配のお水の業者さんは大体ガスの会社を母体にしている所ですね。ガスの会社さんか、あるいはダスキン等のオフィスサービスやホームサービスをやられている会社が、一事業として宅配水事業をしている所ですがほとんどだったんですね。我々のような水の単独事業として成立させようという会社は皆無に等しかった状況であった時に、じゃあ我々が今まで法人に入っているところに行くというところであったとしても、我々が次にこだわったのが水だったんですね。

なぜ水にこだわったかと言いますと、ほとんどのウォーターサーバーを使った宅配水はRO水と呼ばれる水道水をベースにろ過して人口ミネラルを加えたミネラルウオーター。これが主力商品で天然のお水を扱っている所はほぼ皆無に等しかったです。我々は天然のお水にこだわり、値段はやっぱり天然のお水との差という事でやはり安くして同じ価格で売ろうというところはものすごく安易だと思っているので結局12リットル単位で500円ぐらい価格を高く設定して販売し始めました。まず先程のような形で、容器とウォーターサーバーにオリジナルの所にこだわったというところと、次にお水は天然水にこだわったというのが二点目のところになりますね。

あと、ちょっと先程のお話に戻りますとそういうオフィスサービスをやっているガスの会社の中の商品として扱う会社に比べますと営業コストとして水だけでやっていても合わないんですよ。こんにちはって行って、総務部の人に名刺交換をしてもらって営業をかけてという事であったりしてもとても売り上げ単価的には合わないのである程度違うマーケティングをしない限りは勝てない、価格差もあるものであると例えば総務部の人が1200円で購入していたものを1700円や1750円で買うのだろうかというと、とても法人向けでは勝てないという事があったので、とにかくまず個人にターゲットを絞ろうという事。
個人のところにピンポンをして訪問販売、ウォーターサーバーを持って行くわけにはいかないですからね、どうやってPRするのが一番いいのかなっていうところで色々な代理店さんに協力してもらうんですけど初めの頃は全く売れない。とても資金的に回らないということで、我々がある程度コンセプトとしては持っていたんですけど、こういう売り方がベストではないかと思っていたんですが、街頭でウォーターサーバーを並べて、試飲して頂き、実際にウォーターサーバーを見ていただきウォーターサーバーのレンタル料500円の設定を0円にすることにより機器は無料ということで試してみようかなということで心理的なハードルが下がり、これは初期の携帯電話とかインターネット回線と同じ、機器は無料と。携帯電話も、出始めた頃は機器が無料だからじゃあ試してみようかなという事で市場が広がっていきました。

これをこのお水の業界に持ち込んでウォーターサーバーのレンタル料を無料にしてみて、街頭で試飲でのデモンストレーション販売。これであればもしかしたらお客様がいくつか獲得できるっていう道筋が出来るのではないかなっていう風に漠然とは思っていたのです。でもそれをたまたま、私の知り合いを通してたまたまヨドバシカメラさんでやらせて頂くチャンスを頂いて、その時も誰も雇いませんよ。きれいな女性陣も誰も雇えないです。オヤジたちでで工場もろくに稼働していない中でウォーターサーバーを並べ試飲販売をしました。

その時に月で獲れるのが100件いくかどうかでしたが、1日70件ぐらい獲れたんですね。たまたまき通ったお客さんが「何、販売してるの?」と、試飲して頂いてこのウォーターサーバーを使ってお水の宅配サービスをやっていますと。お水は富士山のお水で柔らかくて美味しいねと。ウォーターサーバーのレンタル料が無料と説明すると「なぜ無料なんですか?」ということで、説明させて頂き、こうやって定期購入して頂く事によってやっていくんです。という事でやったら無料だったら試してみようかなという方たちが居てそこでお客様がいて、こんなレベルで獲れたものですから、これしかないと。これで全国に広げていくしかないというところからは、後は私はお金集めの日々です。
そのデモンストレーション販売でのきついところは、私個人でずっとやっていく訳にはいかないですから、人を雇う人件費が先に出ていく、ウォーターサーバーのコストが出ていく、貸して頂いた場所のお金と、先にどんどんとお金が出ていく。お客様は増えるのはいいんですが、お金が続かない、なので結局、本当に最初の所から大きく資金計画はずれて2年間で10億あつめて、8億損をして、3年目の1年間でようやくトントンに近い形になってきたというのが創業から3年目までの流れですね。


経営者プロフィール

氏名 伊久間 努
役職 前代表取締役 執行役員社長
生年月日 1967年7月3日
座右の銘 『動けば雷電の如く発すれば風雨の如し』 他より秀でる為に最も必要な能力はスピートと思っているので
愛読書 深夜特急

会社概要

社名 プレミアムウォーター株式会社(旧株式会社ウォーターダイレクト)
本社所在地 東京都渋谷区神宮前1-23-26 神宮前123ビル
設立 2006
業種分類 食料品
代表者名 伊久間 努
WEBサイト http://premium-water.co.jp/
事業概要 ミネラルウォーター等の飲料水の製造及び販売
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