株式会社シーズメン カジュアルウェア『METHOD』や和柄の服飾・雑貨『流儀圧搾』等の小売店を展開 株式会社シーズメン 元代表取締役会長兼社長 椛島 正司  (2014年6月取材)

Vol.1 事業承継秘話

インタビュー内容

事業承継秘話(入社時の心境、社長就任後に最初に行ったこと、社長就任時に行ったコスト構造改革、経営理念について、展開エリア拡大について、今後の目標)

【椛島】

経営者としてやるというのは初めてですね。本音のところどうやって良いか、わからないというのがありますけれども、まず一番最初に何から始めたかというと「人」。どんな人材が揃っているだろうかというところだったですね。

まあこの会社は、メンズカジュアルをやっていたんですけれども、人をみたら結構優秀な人間が揃っていたんですね。そのメンバーは、今全員まだ残っていますけれども、こいつらとだったら小売業だったら、何をやってもうまくいくんじゃないか。というような感じがしましてね。

【椛島】

しっかりと小売業のできる会社を、どうやって作ろうかということが一番。最初に考えましたね。そのためには、やっぱり市場に受け入れられる品揃えをどうするかということと、プロの販売員とプロのバイヤー、仕入れの担当者をしっかり作らなきゃいけないということで、まずは実際に商品を、本社に展示場として並べましてね。それをきっちりセレクトするというところから、訓練を始めましてね。現場から店長を呼んできて、直接自分の目で商品を選んで、それを並べてどういう売れ方をするかということ、これがこの会社のスタートだったんですね。

もちろん、そういうことが嫌な連中もいましたし、社長として来たばっかりでしたから、どうせこんなことやったって、すぐにこういうことはなくなるよ」という姿勢で来ている人間も、確かにおりましたけれども、そのときに私は、みんなの前で行ったことは「この会は大きくすることはあっても、絶対やめることはないよ」とみんなの前で申しましてね。

もう20数年前の話になりますけれども、ずっと継続して、今は商品戦略会ということで、今も続いております。ですから、各メーカーさんの商品を、一同に社内に展示して、それを現場の店長が毎日本社にきて、自分の目で見て仕入れるというような手法をとっている会社は、自分の目で見て仕入れるというような手法をとっている会社は、多分当社だけじゃないでしょうかね。その手始めになるのを、社長になって一番最初に始めました。

【椛島】

商品検討会を、まず始めたときに、これはなんとしても成功させる、と。その信念のひとつで、私は始めたんです。ただ、成功させるにはまず、小グループから始めて、成功の連続、成功を重ねて、それを拡大させる手法をとったんですね。

ですから、まずはどちらかというと不振店の店長を、6店舗くらい集めまして、そしてそこを集中的に商品を仕入れさせましてね。そこで、商品検討会をやって、その店の業績が変わるかということを見ながら、拡大していったんです。そしたら、そのうちに格段に差がつきましたね、やっている店とやっていない店が。そのうちにやっていない店が「うちもぜひやらせてくれ」ということで、各店長が頼んでくるような、そういう状況になりましたね。

ですから、最初からこの会は絶対に続けるし拡大するぞ、と会社の歴史として残すぞ、ということで、信念を持っておりましたから、第1回目の議事録というのは、私のファイルの中に、紙っぺらほんの数枚ですけれども、誰が参加してどんな話をしたかという、本来、展示会ですから、議事録なんてあるわけがないんですよ。商品をセレクトする会ですから。でも、ぜひとも記録に残したいということでね、今も時々振りかって、もっと良い商品戦略会にしなくてはいけないな、というふうな自分なりにそういう思いをする。

振り返るために、時々眺めたりすることもありますけれども、おかげさまで20数年それが続いて、今本当に盛況に。各メーカーさんも毎回30社くらい参加していただいて、店からは今は30名くらい参加して、商品を現場の目で見て仕入れるということをやっております。

【椛島】

私の就任時期は、実質赤字の会社だったんですね。ですから、そんなにお金を使える状態ではなかったんです。ですから、コスト構造といってもそんなにお金を使っている会社では、なかったんですね。

むしろ考えたのは、どこにお金を使おうかと、お金をないんだけれども、ないお金をどこに使おうかということだったんですわ。で、これだけはケチるまいと思ったのが、コミュニケーションコストは、絶対削るまいと思いました。これはもう利益のあるいは売上の源泉ですから、ミーティングなり本社に来ていろいろやる交通費なり、どんどん使っていこうと、その分売上をあげれば良いじゃないかという考えでしたね。

ですから、格段に本部と現場、社長と店長間のコミュニケーションというのは増えました。今でも自負しているんですけれども、たぶん世の中で社長と店長、あるいは社長と店舗のアルバイトの距離が一番短い部類の会社だと思うんですね。

【椛島】

当社の経営理念というのは、さほど立派な経営理念が、あるわけじゃないんですけれども社員のみんなが理解して、そのための行動を起こさないと経営理念って掲げていくだけでは、しょうがないものですからね。理念といえるものに。シーズメンはこういう会社を目指します、というこの目指す先を5つ決めましてね。そこに向かって全員でやっていこうということで、今進んでおります。

その1番目には「マナーに優れた会社」みんなでしっかりしたマナーを持って、世の中からきちんと評価される会社にしなければいけないね、ということなんですね。我々が目指すその先というのは、どういう会社にしたいかというのは、当たり前がたくさん、当たり前にできる会社。「あそこはあれが優れているね」ということではなくて、本当に常識的な社会にしていきたいんですね。

常識的というのは、人を大切にするとか、お客さんを大切にするとか、良い商品を扱うとか、いろんなことがありますけれども、ゴミが落ちていたら拾わなければいけないし、それも普通にわざとらしくゴミを拾ったり、そういうことではなくて、普通にできるような常識的な人材が、この会社を運営しているという。そして、社員はみんなで家族という感覚でやっていこうということなんですね。

ですから、よそに誇れるような理念があるわけじゃないんですけれども、このシーズメンをみんなで自慢できる、ちゃんとした一番普通の会社だよというふうに、自慢できるような会社を、みんなで作り上げていこうよというのが、うちの会社のみんなの共通した向かう先なんですね。

【椛島】

私どもの出店エリアとしましては、東京を基点に九州の太平洋側に、もう少し店をつなげていきたいんですね。それぞれの大都市といわれる、東京、次に名古屋、そして大阪、広島、福岡と、それぞれの大都市にドミナント出店して、密度を濃くしまして、その間をつなげるという手法をとっていきたいと考えております。

今現在、先ほどいった地域には、もう何店舗か店はありますけれども、まだまだ出店可能ですしね。その間をつなぐ、例えば静岡だとか、関西の方だったら姫路とか、そういうところに出店しながら太平洋側をきちんとつなげていきたいということを考えております。

【椛島】

当社の一番の目標は、100年、200年続く長寿企業に。どうやったら潰れにくい会社を作れるかというのが、一番の目標ですけれども、そのためには今期しっかりやっていくということが、まずはスタートになっていきますよね。

まあ昨年あまりよくなかったこともありまして、今期はなんとしてもみんなでV字回復を果たすぞということで、全員一致協力して、今頑張っている最中なんですけれでも、まずそれには少し沈滞していたムードを、元気付けるためにも、大きなテーマとして「勢い」と、まあ一般にはテーマにもなりそうもない言葉ですけれども、「勢い」ということと「前進」ということを、全員で共有しましてね、どうやったら勢いが作れるか、と。どうすることでその勢いが、お客さんに伝わっていくか、と。その勢いが、どうやって売上に結びつくかということを、みんなで日々検証しながら、自分たちの行動を確認しながら、毎月毎月、毎週毎週の業績に当たっております。


経営者プロフィール

氏名 椛島 正司
役職 元代表取締役会長兼社長

会社概要

社名 株式会社シーズメン
本社所在地 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目5番4号
設立 1989
業種分類 小売業
代表者名 椛島 正司
従業員数 119名
WEBサイト http://www.csmen.co.jp/
事業概要 カジュアルウェアを主に扱う小売専門店。大都市圏を中心に全国規模で直営ショップを展開。
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