ーベンチャーキャピタル時代ー
【聞き手】
景気で言いますと、非常に厳しい環境の中で、いわゆるベンチャーキャピタリストとして、投資に値する、これから成長していく可能性のある会社を見つけていく訳ですよね。
【五十嵐】
そうですね。逆に言うと不景気の時というのは2つ良い点があって、1つはいわゆる投資をする時、企業評価した際にバリュエーションという言葉がありますけども、それが非常に低く提示できるということで、投資のリターンが上がりやすいということですね、後は、不景気だからこそ逆に新規事業であるとか、そういうことをやっていかなきゃいけないケースが出ていたりとかしますので、そういう面では逆に投資して欲しいという企業が多くなってくると思います。
【聞き手】
確かに景気が悪い時だからこそ、力のある体力のある会社が残るというか、見えてくるところはあるかも知れないですね。
【五十嵐】
ありますし、真剣に仕事もしていきますし、たまたまということがなくなってきますので、本当に良い経営者が登場する良いタイミングだと思います。
【聞き手】
いらっしゃった期間は3年間と伺っておるのですが、その3年間の中で、今思い出しても背筋が凍るような失敗とか、そういったエピソードはございますか?
【五十嵐】
ベンチャーキャピタル自体、数ある失敗を乗り越えてやっていく訳で、やはり投資と言いましても10社投資をして1、2社うまくいけばいい方だと思います。従って90%、もしくは80%の会社が何らかの形で資金回収をされるか、もしくは本当に会社が20~30%の割合で潰れますので、そうすると資金回収しなくてはいけなくなるんですね。ですので、私のお客さんでもアポイントの約束がありまして、会社に行ってみた時に張り紙がされてると。この会社は破産しましたということで、こちらにご連絡をという形で弁護士事務所が書いてあるんですね。そういったケースも数多く経験してますし、債権者が来られていて、みんなで資金回収の順番を競って、みたいなこともあります。
【聞き手】
でもまだ、20代前半の若いビジネスマンでいらっしゃって、そういうドラマの中で起こるようなことを目の当たりにした時って、初めての時の心情としてはいかがでしたか?
【五十嵐】
やはりこれがリアルなんだなということの実感値は増したということですね。ですので、ベンチャーキャピタルに勤めて良かったのは、1つは夢の部分もありますし、実際のビジネスの現場でのリアル感ですね。当然、成功していく人の裏側には失敗があって、失敗量の方が圧倒的に多いんだという現実を知れたことが非常に良かったと思います。
【聞き手】
ちなみに、逆に手掛けられたお仕事の中で、ここはすごくうまくいったなというようなエピソードはごさいますか?
【五十嵐】
業種的に面白く、良かったと思っていますのは、今、いわゆる日本のカルチャーということで、アニメだとか、そういうのがもてはやされていますけども、実際そういう産業は1990年代後半から出始めていて、今の秋葉原にそういうお店が増えているじゃないですか。その走りの会社があったんですね。
やはり自分達でトレーディングカードであったりとか、アニメのキャラクターをつくって世の中に普及させていくということで、爆発的に成長していた頃がありました。今のアニメ産業をつくってきたような会社に投資をした時は、そもそもニッチカテゴリーな産業があるんだということと、それに対していわゆる大人買いみたいな形で、ある意味、いい大人の方が結構なお金を使っていただけるんだという面白い業種があるなと分かった時は非常に面白かったですね。
【聞き手】
いらっしゃったのは短い期間ではありますけども、1,000人を超えるような経営者にお会いになった経験があって、たくさんの成功や失敗を見てこられたと思います。そういった中で、元々起業したいということで会社も選ばれているのですが、逆にリアルが見えたところで、変な質問をしますけど、怖くなって起業は止めようかなと思われたことはないのでしょうか?
【五十嵐】
やはり心をよぎる瞬間というのはあると思うんですね。実際目の前で倒産危機が起きる訳ですから。やはりビジネスは実際リスクは高いんだという実感値はありますので、辞めるんだったら早く辞めようと思っていたということですね。ですので、僕自身も30歳までに辞めようと思っていましたので、やはり再チャレンジするのであれば、20代で一回失敗してから、もしくは30歳前半だったらやり直しが効くかなということで、早く独立しようと思いました。ですので、逆の発想ですね。
【聞き手】
確かに、若い時であればまだ取り返しがつくといいますか、やはりサポートするより自分が舞台に上がってやりたいという気持ちが強かった。
【五十嵐】
元々、自分が社長をやるために来ているので、逆に言うと活躍されている、もしくは成功されている方がいる以上、実際やれるんだという実感値にもなってきますよね。今までは本の中である成功者であるとか、テレビの向こう側にいた人達が目の前にいらっしゃる訳ですから。逆に言うと、目の前で見たからこそ追いかけてみようということも出てくるということですね。
経営者プロフィール
氏名 | 五十嵐 幹 |
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役職 | 代表取締役社長兼CEO |
生年月日 | 1973年5月10日 |
出身地 | 東京都 |
座右の銘 | 一生懸命 |
愛読書 | ピーター・ドラッカー |
尊敬する人物 | 松下幸之助、稲盛和夫 |
会社概要
社名 | 株式会社クロス・マーケティンググループ |
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本社所在地 | 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F |
設立 | 2013 |
業種分類 | 情報・通信業 |
代表者名 |
五十嵐 幹
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従業員数 | 1530名(内、臨時従業員数261名)※2023年6月末時点(2021年6月末時点) |
WEBサイト | https://www.cm-group.co.jp/ |
事業概要 | デジタルマーケティング事業、データマーケティング事業及びインサイト事業を行う子会社等の経営管理及びそれに付帯または関連する事業 |