デジタルアーツ株式会社 「安心・安全なインターネット環境を我々がつくる。」創業者が語るセキュリティソフトウェアの未来 デジタルアーツ株式会社 代表取締役社長 道具 登志夫  (2021年11月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
Webやメール、ファイルなどのセキュリティソフトウェアを核に事業展開する、情報セキュリティメーカー・デジタルアーツ株式会社。

「より便利な、より快適な、より安全なインターネットライフに貢献していく」という企業理念のもと、主力製品『i-FILTER』を中心にさまざまなサービスを展開。

近年では、多様化するサイバー攻撃からユーザーを守る新たなセキュリティジャンル「ホワイト運用」を提唱。新サービスの利用実績が累計900万ライセンスを突破するなど、革新的な技術を世に提供し続けている。

革新的な技術を提供し続ける、パイオニア企業立ち上げの軌跡と創業者としての信念、今後の展望に迫る。

【ナレーター】
2021年、デジタルアーツは新たなセキュリティジャンルとして「ホワイト運用」を提唱。ジャンルの確立に込めた想いに迫った。

【道具】
2021年時点で、合計900万ライセンス、年間200万ライセンスを使用いただいております。現段階でサイバー攻撃の被害報告は“ゼロ”です。加えて、国産であり、かつこのような機能を有しているものは他にありません。そのようにして、フィルタリングメーカーからセキュリティメーカーに変化することができました。

残念ながら今まで提供されていたセキュリティ対策にはどうしても「抜け」があり、人への教育が併行して行われないと防げないという状況がありましたが、その課題に対して私たちは「それは違う」と。ソフトウェアで不審なメールを受信しない、という世界が本当あるべき姿だという想いで制作しています。

【ナレーター】
デジタルアーツの原点は創業者である道具の学生時代にまで遡る。起業を意識したのは、偶然見たあるニュースだった。

【道具】
「21世紀はコンピュータが普及してエンジニアが200万人足りなくなる」と。

「ああ、これからそういう時代になっていくんだ」「それだけのニーズが出てくる時代が来るのだ」と思いました。そのニュースを見て、「方向性はこれだな」と。その感覚は今でも覚えています。

ものづくりも好きでしたので、「コンピュータを使っていろいろなものがつくれるのではないか」というところでは、ベースがつながっていったという感じですね。

【ナレーター】
起業に必要な力を身につけるため、プログラムと簿記を習得後は、当時成長中だったOA機器の販売会社へ営業職として就職。

営業の基礎を学んだ後、プロのプログラマーとしての経験を積むために自分を含め従業員数3名の会社へ転職した。当時の経験から得た学びについて、道具は次のように語る。

【道具】
そこで体験しましたのは「お客様が何を求めるか」、あとは「品質」ですね。

何十本のプログラムが固まって、ひとつになって連携をなす。そのひとつの部分を、自分がコーディングする。今私たちがメーカーをしているベースでいうと、十数人のためにそのような苦労をしていましたけれども、やはり自分たちがつくったソフトをもっと多くの人に使ってほしいという想いを強く持ちました。

ただのプログラマーではなく、メーカーとして自分たちのつくったものが広く普及される仕事にしたいな、というのは強く思いました。

【ナレーター】
ソフトメーカーを立ち上げるべく、大手メーカーへと転職し、製品企画やブランディングのノウハウを学び、1995年、満を持してデジタルアーツ株式会社を創業。記念すべき1つ目の製品とその開発秘話に迫った。

【道具】
アルバイトの子と「インターネットで何か課題はないのか」と意見を交わし合いました。議論の中で、学生アルバイトが「先月の電話代がとても高かった」と言ったんです。

当時は、電話代を払ってインターネットをやっていた時代で、今のように使い放題のサービスではありませんでした。

「じゃあ、いくら電話代がかかっているか集計するソフトはどうだ」ということで、インターネットの通信料を集計する『ネットタイマー』というソフトを製作しました。

パッケージをつくり、店頭で売っていただきました。本当に感動しましたね。昨日までワンルームマンションの机の上にあって、このネーミング、このデザイン、このロゴ、このマニュアル、全部自分がつくったものなんですよ。

あまりにうれしくて、自分でも1本買いました(笑)。

【ナレーター】
ソフトウェアメーカーとしての第一歩を踏み出した道具は、学生のアルバイトにもっとクリエイティブになってもらおうと、週に数時間、自由な時間を設けるという、当時では珍しい取り組みを行った。

その中で生まれたのが後の主力製品である『i-FILTER』の原型だった。当時、有害情報の乱立が社会問題になっており、道具はこの製品を見た瞬間に次のように考えたという。

【道具】
「これは子ども向けにできる、このまま製品化しよう」とひらめきました。そこから一年かかりましたが、実はこれが『i-FILTER』の原型です。

1997年に『i-FILTER』の原型をつくり、98年には日本初の国産のWEBフィルタリングソフトの製品化に成功しました。

【ナレーター】
「これは売れる」という確かな手応えを持って販売店に営業へ赴いた道具。しかし投げかけられたのは想定外の言葉だった。

【道具】
「5年後、御社は大丈夫?会社はありますか?」という話をされました。そのときは何を言われたのかよくわからなくて、後からわかりましたが、学校というのは5年間のリースで製品を購入します。

まして当社が提供するのはセキュリティサービスのため、5年の間に会社がなくなってしまうとお客様が困ってしまう。そのため「5年間ちゃんとサポートできますか」という意味で、そのように言われたのだと思います。これは高いハードルでした。

さまざまな方のご紹介をいただき、偶然、学校にフィルタリングソフトを提供したいという販売店さんに出会いました。その担当者の方は「5年後の保証のことはいい、うちが一緒に御社を育てる」と言ってくださったのです。

「その代わり、当社も御社だけを販売ルートとして提供させていただきます」と、販売店と一体になって学校向けの販売をスタートすることができました。本当に、その方がいらっしゃらなかったら、今の当社はもうなかっただろうと思います。

【ナレーター】
道具の執念が実り、販売開始にこぎつけたものの、早々にソフトウェアの不具合が発覚。クレームにつながってしまったのだが、この経験がなければ今のデジタルアーツはなかったと道具は振り返る。

【道具】
最初はその販売店の方にもお客様からも「こんなもの買わなければよかった」というお叱りを受けたのですが、クレームをいただいた翌日に、お客様のもとへ正常に動くように直してご提供しました。

すると、「こんなに早く直せるのはすごい」と、逆にお褒めの言葉をいただきました。お客様対応がすぐにできたことで、販売店を含めて信頼を得られた。これが非常に大きかったですね。

私たちのメーカーとしてのスタンスとして、今でもこのときのことは忘れずにいたいと思っています。まずお客様が困っているのであれば、一度お受けする。

そして当社の製品の問題かどうか確認し、そうでなくても「当社の製品が原因ではないが、この製品が原因でトラブルが起きているのかもしれません」ということを、今でも極力返すようにしています。

今もサービスを継続してご提供できているのは、最初に上手くいかなかったことがよかったのかもしれません。

【ナレーター】
様々な困難を乗り越え、国内有数のセキュリティソフトメーカーへと成長を遂げたデジタルアーツ。道具が見据える次のステージとは。

【道具】
セキュリティソリューションもラインアップを増やして、私たち一社でインターネットユーザーの安心・安全を実現できるメーカーになる、というのがあります。

もうひとつは、セキュリティとは少し違いますが、便利で快適であるという、企業理念のひとつでもありますが、その領域にも進みたいと思っています。

具体的には、既に私たちには『Desk@Cloud』という、オンライン会議やチャットができるツールがあります。

学校や家庭に、例えば学校を出れば先生と保護者の方、生徒さんが、場合によってはPTAですとか教育委員会も、こういったコミュニケーションツールにインターネットの安心・安全をつけた、セキュリティ対策がついたコミュニケーションツールは実はまだありません。

『Desk@Cloud』などのコミュニケーションツールの普及を今後はさらに広げていき、安心・安全な在宅勤務、在宅学習を提供したいと思っております。

【ナレーター】
デジタルアーツで働く人材の特徴について、道具は次のように語る。

【道具】
やはり「社会貢献したい」と強く思っている方が非常に多いです。加えて、「日本のメーカーで物づくりがしたい」という若い人たちの応募が非常に多いです。

「社会貢献したい」という想いを持った社員が多い。当社は社会性を持って、製品を通じて、自分の技術を発揮したいと考えている集団です。

この動画・記事をご覧いただき「そういう会社があるんだ」と当社に興味を持った方はぜひ、いつでもお声がけいただきたいと思います。

-視聴者へのメッセージ-
【道具】
大事なのは「自分がどう生きていきたいか」「何をしたいのか」。

経営者になりたいのか、出世したいのか、それとも自分の時間を重視するのか、一生懸命稼ぎたいのか、どういう業界がいいのか、という「軸」ですよね。

それがある程度「こうやりたい」というのがあれば、迷いは要らない。後は、「そうなりたい」と常に思っていることが大切ですね。

「夢は叶わないもの」と思っている人が多いですが、もし夢が叶わないのであれば、それは「思っていないだけ」なんです。「想い」が足りないんです。

「思っている」ということは、寝る瞬間、食事をしているとき、お風呂に入っているとき、移動中など、常に頭の中にそれがあるんですよ。その状況というのは、自分の身体や思考をその方向に持っていけるんです。

自分で「ああしなきゃ」「こうしなきゃ」と思っているうちは、多分「思っていない」んです。

「しなきゃ」ではないんです。勝手に体が動いている状況まで「それを実現する」と思えることが大事。「想うこと」が大事なんです。そうすれば、100%叶うと思います。

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経営者プロフィール

氏名 道具 登志夫
役職 代表取締役社長
出身地 東京都
座右の銘 想えば叶う
愛読書 ハーバード流交渉術(YESを言わせる方法)
略歴
1995年6月 デジタルアーツ株式会社 設立
2011年4月 Digital Arts America,Inc. Director, President & CEO
2012年6月 Digital Arts Investment,Inc. Director
2014年4月 FinalCode, Inc. Director President & CEO
2016年4月 デジタルアーツコンサルティング株式会社 代表取締役会長
2016年9月 Digital Arts Europe Limited Director

会社概要

社名 デジタルアーツ株式会社
本社所在地 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア ウエストタワー14F
設立 1995
業種分類 情報・通信業
代表者名 道具 登志夫
従業員数 388名(2023年3月31日現在)
WEBサイト https://www.daj.jp/
事業概要 インターネットセキュリティ関連ソフトウェアおよびアプライアンス製品の企画・開発・販売
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