アートグリーン株式会社 ~胡蝶蘭ビジネス成功から紐解く、ビジネスチャンス発掘のヒント~

Vol.3 アートグリーンを変えた大きな転機

アートグリーン株式会社 代表取締役 田中 豊 (2017年7月取材)

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―アートグリーンを変えた大きな転機―

【田中】

沖縄にたまたま僕らが仕入れをしていた大きな建設会社がありました。その会社の新規事業として、胡蝶蘭ビジネスを興しましょう、ということで、南国から全国に胡蝶蘭を販売していた会社でした。

うちはそこから仕入れをしていたのですが、時代の流れとともにその会社も景気が悪化し、本業であるゼネコンの事業も不調な中、胡蝶蘭をはじめとする新規事業は全て撤退する、という話になりました。その時、建設会社さんから「うちはもう胡蝶蘭事業を辞めるので、申し訳ないからうちの事業をそっくりそのままやるか?」と言われたのですね。当時はM&Aなどという言葉もなく、そんなに大きな事業を引き受けるのは難しいと思っていたのですが、「顧客も農場も、このプロジェクトの中で必要なものを無償で提供し、不要なものはこちらで処理する。花も田中さんの好きなところから仕入れていいから、お客様に迷惑がかからないように花を出荷してあげてくれないか」、という話をいただきました。

当時、うちは2、3人の規模でありながら代理店の中では一番売っていたので、そういったチャンスをいただけたのだと思います。そうして、真剣に業務に取り組んでいる農場の方、営業の方を迎え入れました。また、三越さんや東京ガスさんといった大手企業が取引先に並ぶ、沖縄の巨大企業グループだったので、それを一気にもらえて、一瞬のうちにメーカーになることができました。

【聞き手】

その時のビジネスというのは、今の御社の独自のモデルとは異なるものですよね。

【田中】

そうですね。その時は胡蝶蘭のメーカー、卸売会社として花屋さんに商品を卸すことで売り上げを上げていたのですが、当時ユニバーサル証券という会社があって、そこは僕がSTTでゴルフの事業をしていた時に担当していた会社でした。その縁もあって秘書室長さんとすごく懇意にしていただいて、そこの年間注文は私たちが全部もらっていたのですね。

するとある日、その秘書室長さんから呼び出されて、「田中くんの所に注文ができなくなりそうだ」と言われました。ある神戸の花屋さんで、すごく多くの証券を買ってくれた企業があり、神戸支店からの要請でユニバーサル証券の社内全体で贈答品はその花屋さんに依頼せよ、という命令が来た。だから田中くんには頼めなくなりそうだ、と言われたのですね。その時、私たちにとってユニバーサル証券さんはすごく大きなお客様だったので、これは大変なことになる、と思っていました。すると、その秘書室長さんが苦肉の策で考えてくれたのですが、「1、2年神戸の花屋さんに発注したら田中くんの所に戻す。けれど、自分がその時に秘書室長であるとは限らないから、ユニバーサル証券の子会社に10%くらい(資金を)落とせないか?」と聞かれました。

大丈夫ですよ、ということで、つばさ証券という子会社に、紹介を受けて行きました。そこの社長さんが「これは面白い」と。「うちは、取引先が上場すると必ずお花を出している。すごい金額だけれど、よくよく調べてみると、どこに頼むのかという明確な規定はない。神戸の花屋さんに取引先が変わった時もお願いされたからそうしただけで、中核に入って注文を取るような会社がない。だからそれを自分がやってあげるよ」と、その社長さんが言ってくれました。すると、その社長さんが全部一網打尽にするので、今までの秘書室からもらっていた注文より多くの注文を受けるようになりました。こういう関連会社は世の中にたくさんあるのかもしれない、と思い調べてみると、3,800社ほどある上場企業のうち、2,000社は商事系の関連子会社を持たれているのですね。

そこで方向を転換しまして、そういった関連会社にマージンを落として、お花のビジネスをしませんか、と持ちかける営業を展開していきました。そうすると、大きい会社の子会社にはそういう関連会社が必ずあるので、そこにたどり着くまでの方法論は難しいのですが、そういう提案をすると、在庫管理、配達といった工程を全てうちが担当しますから、こういう生ものであっても、リスクがゼロなのですね。さらに、親会社に商品を売るので、売り上げの未回収が発生することもなく、労せずして利益が上がるので皆さんにも喜んでいただきました。そこから1社1社取引先が広がっていき、ステージが変わった、というのが今のうちの状態ですね。

【聞き手】

外に払うお金も、売り上げに立ててしまおう、という発想ですよね。

【田中】

子会社に出てくる利益というのは、連結ベースで考えた時に、外に現金が出ていませんから、グループ全体から見ると経費削減モデルになります。

一方、関連会社から見ると親会社のマーケットを使うことで売り上げと利益を上げているので、そこに一つの新しいビジネスが興ります。グループから見ると、例えば3万円で買っていたものを、払うのは3万円ですが、うちから請求するのは2万円ですので、1万円の現金は外に出ていない、ということになり、経費削減モデルなのですね。大手メガバンクで言いますと、年間1億円ほどをお花の購入に使いますから、それがそっくりそのまま経費削減につながりますし、関連会社としては、今までになかったビジネスにリスクなしで参入できるということで、非常にWin-Win-Winで、皆さんに喜んでいただけるようなビジネスモデルになっています。

社長プロフィール

President's profile
氏名 田中 豊
役職 代表取締役

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