【ナレーター】
自身の想いを実現するべく、企業再生支援機構に移籍。当時再建問題で揺れていた日本航空の経営再建に参画した。初めて経験することが多い中で最も苦労したこととは。
【水留】
やっぱり色々な意味でしんどいのは人を減らすことですよね。
それは本当に好きで今の仕事をやっていらっしゃる方だとか、そういう方々に自発的、もしくはある意味強制力を持って辞めていただくといったことは非常に心苦しい部分もあるし。厳しい作業であることは確かですよね。
マネジメントはある程度意思決定をしていく辛さはあるけれども、現場にはそれを実行する辛さというのがあって。
実行させることの辛さみたいなも当然ありますし、そこはやっぱり非常に厳しい世界だったなと思いますね。
【ナレーター】
誇りを持って仕事をしている従業員へ退職を促す。辛いと感じながらも、再建のためにはやらざるを得ないと、自身の役割を全うし続けた水留。そんな中でも、唯一息抜きになったあることとは。
【水留】
ちょうど当時息子が生まれたんですよね。
やっぱり小さい子どもがいると、当時生まれたばかりですけれど家に帰って赤ん坊がいるといいですよね。
【ナレーター】
2010年、日本航空の取締役副社長に就任し、当時代表取締役会長兼グループCEOを担っていた稲盛和夫氏の右腕として経営に従事。稲盛氏の印象について、次のように語る。
【水留】
やっぱり想いだとか真面目に本当に一心不乱にこれに取り組まないといけないんだというふうに、人をちゃんとまっすぐ向けさせる、そこの色々なやり方というかコミュニケーションのあり方が非常に素晴らしいなと思いました。
もうひとつあるのは人とうまく競争させるというか、人の気持ちがどう動くかを非常に繊細に理解されながら物事を進められるというのはすごいと思いますね。
どうやってこの人をうまく一生懸命働いてもらうかという時には、あえて人前で怒って、要はプライドに火をつけるみたいなことをされるときもあるし。非常に厳しく叱責した後にうまくフォローされるようなこともされるし。
そういったところはやっぱり本当にベンチャーというか、ゼロから今の色々な会社をつくられてきた方なので。そこの人に対するコミュニケーションのされ方というのはすごいですね。
【ナレーター】
その後、大手アパレルメーカーのワールドを経て、2015年にあきんどスシローへ入社。代表取締役社長に就任した。スシローを選んだ決め手について、水留は次のように語る。
【水留】
僕は会社に入る時、入った後も含めてこの海外で勝負できる日本の会社をつくりたいと思っているんですよね。
そういう思いも引き続き持ちながらスシローのお話をいただいた時にすしは戦えるかもしれないなと思って、スシローを選んだという感じですね。
僕が決める決め手というのは面白そうかどうかだけです。
ある程度伸びるとか成長するとか、これをやったらこういうふうになると見えているところって面白くないんですよね。自分が入って、もしくはチームで色々なことをする中で未来が不透明なところのほうがよっぽど面白さがあって。
よくなるも悪くなるも自分たち次第みたいな、そういったところのほうが単純に面白いなと思うだけですね。
【ナレーター】
求める人材像について、水留は次のように語る。
【水留】
一番は我々が生業としているこの外食であったりとか、お客様に対して美味しい、そして価格としてもカジュアルなゾーンの食事を提供してお客様に喜んでもらう。
そこにこう思いであるとか意義であるとか、自分が本当にそれをやることに喜びを持ってもらえるようなそういう方を我々としては一番欲していて。
自分のキャリアのために入ってくる人はもう一切求めていませんと。自分のためにやりたい人は外でやってくださいと。やっぱり会社というか一緒に仲間としてやりたいというふうに思っていただける方を必要としていますね。
【ナレーター】
今後の展望について、3つの方向軸を示した水留。社名を新たにして見据える、FOOD &LIFE COMPANIESの未来像とは。
【水留】
1つ目は今もやっていますけれども、やっぱり既存事業をより海外に展開をしていくということで、先日タイのバンコクに1号店を開きましたし、今メインは中国本土にお店を出そうということで色々準備を進めているところです。
この先のどこかのタイミングではアメリカというのもあるかもしれないし、ヨーロッパっていうのもあるかもしれないし。要は世界に皆さんが行かれたときに「ここにもスシローあるよね」と言っていただけるような、そういう世界展開というのはしっかりしていきたいというのがまず一つ目ですね。
2つ目はやっぱりスシローという業態だけではカバーできないシーンっていうのがあって。
色々なシーンでおいしいすしであったり、すし以外も含めて美味しくて非常に価格的にも手頃な、そういうものを提供していくようなそういう業態っていうのを増やしていきたいというのがもうひとつの流れですね。
3つ目が我々食の色々な素材を使ってお客様に食事を提供してますので、自分たちが使いたい素材、もしくは自分たちだからこそつくれる素材。
そういう素材をしっかりと良いものに変えていく。これはもう本当にサステイナビリティーの世界も含めてこれからの資源だとか環境だとかそういったところにも配慮もできる。
自分たちの素材づくりを進めていきたいなと思っていて。
今も専門にやっていらっしゃる生産者さんたちがいますので、どういう形でそういう方々とパートナーシップを組んで素材や自分のグループ、カンパニーならではの素材づくりができるかというのは、もうひとつ大きな今後の取り組みとしてやってきたいなと思っています。
-視聴者へのメッセージ-
【水留】
私自身は実はあまりキャリアを意識して今まで生きてきたことはありません。
今ある仕事をどれだけ一生懸命やって、どれだけ結果を残せるか。それが場合によっては次のキャリアにつながると思っています。
ですので、将来のために今の仕事をするのではなくて今ある仕事を一生懸命やる。これがまず皆さんが一番大事なことだと思っていますので今ある仕事を頑張ってください。ありがとうございました。