プラス株式会社 オフィス家具から衛生用品まで。「プラス」次なる戦略と挑戦 プラス株式会社 代表取締役社長 今泉 忠久   (2021年8月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
オフィス家具や文具・事務用品を始め、デザインにこだわった独創的な製品を開発・販売する「プラス株式会社」。

コロナ禍の2020年には主力製品の他に感染予防のための衛生用品や飛沫防止パーテーションなど、「新しい価値で、新しい満足を。」の企業理念のもと、既存の枠組みに囚われない製品づくりを行なう。

近年では「みんなのDXプロジェクト」と題し、会社全体でデジタルトランスフォーメーションの推進に取り組んでおり、より多くのユーザーニーズに応えるべく進化を続けている。

コロナ禍に代表へ就任した経営者の、新時代を見据えた次なる戦略と挑戦の全貌に迫る。

【ナレーター】
2020年7月に代表へ就任した今泉。これまでにはない状況下で経営を推し進める中、プラスという会社の強さを感じたある出来事とは。

【今泉】
2020年7月に社長に就任したときは当然、新型コロナウイルスの流行中。当時の思考の半分は、社員の安全をどうやって確保し、どうやって感染対策するかでした。

もう半分は、次にどういうビジネスをやっていかないといけないか。このままの状態が続いたらどうなるのかという心配で埋まっていました。

そんな状況の中で、自分が指示を出さずとも、今お客様に求められているものは文房具ではなく、衛生用品だと現場の従業員が自ら舵を切っていたんです。

当社は変われる会社なので、生業にあまりこだわらない。昔から文具を取り扱っているからこの先も文具を取り扱うとは言わないし、オフィス家具の工場を持っているから家具を作り続けるんだとも言わない。

その時々に、お客様に求められるものをいかにスピーディーにつくって販売できるか、お役に立てるかということをやってきた会社です。なので、現場をものすごく頼れたんですよ。

これは逆にいうとラッキーなこと。会社の強さを、このコロナ・ショックを機に最初に真正面で体験できました。うちの社員はすごいと思いましたね。

【ナレーター】
小学校の頃からすでに会社を継ぐ意識を持っていた今泉。しかし、現会長の父からは会社を継ぐべきというような言葉は一度もかけられたことはなかったという。

その行動の真意について、こう振り返る。

【今泉】
「会社を継がせるから。長男だからお前が既定路線だ」とは1度も言われたことがありません。

自分で社長というのはどういう職業なのかしっかりと考えて、何をしなければいけないのかをわかった上で、自分でやれる自信がついて、初めて「やろう」と言った時の本気度を見たかったんだと思います。

【ナレーター】
大学卒業後は英語を手段にマーケティングを学ぼうとアメリカへ留学し、MBAを取得。語学以外で得たある経験が今にも生きているという。

【今泉】
アメリカに留学してから、日本を客観的に見るようになりましたね。アメリカがどう日本を見ているのか。自分がアメリカの留学生として日本人の、たとえば友達や家族をどう見るのか。日本を離れて初めてわかるようなことがたくさんありました。

普段は考えなかったようなことが頭をよぎって、もっと早くアメリカに行けばよかったと思いました。留学を経て、語学以外の学びで日本を客観視して考えることができたのは、とても良い体験でしたね。

【ナレーター】
その後、様々な経験を積もうと外資系コンサルティング会社へ入社。今もなお鮮明に覚えているという当時の厳しい上司とのエピソードとは。

【今泉】
当時の上司はプレゼンの鬼みたいな人でした。とある会社の社長や役員を招き、自社でプレゼンをしたときのこと。プレゼンの一部を自分が担当し、その上司がプレゼンの全部を監修していました。

上司が全員のプレゼンの内容を全部チェックすると、自分の担当した部分だけ絶対にOKを出してくれなかったんです。徹夜で資料を仕上げて、プレゼン当日に提出したところ、上司からNGが出てしまい、とても焦りました。

最終的には及第点をもらえましたが、まだ修正が必要で、それを直した後に資料を送り直す指示を受けました。「これでは対価はもらえない」と叱責された記憶があります。ここで話しているだけでも鳥肌が立ったぐらいの記憶です。その上司は未だにお付き合いがありますが、会うと萎縮しますね。

当時の会社を辞める際、上司にそのことを伝えると「もうわかっている」と。「お前を強く叱責したのは、プラスグループに行ったら誰もお前のことを叱責しなくなる。だから一生分の“ゲキ”を飛ばしていたのをわかっていたか」と言われました。

「まったくわかりませんでした。なんて怖い人だと思っていました」と答えると「そうじゃない、お前はなにもわかっていないな」と。その話は未だにしますね(笑)。

誰も叱責しなくなるという言葉は、今でも印象深く残っています。

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経営者プロフィール

氏名 今泉 忠久
役職 代表取締役社長
生年月日 1973年10月25日
出身地 東京都
座右の銘 私心なき野心
略歴
1999年米国アクロン大学院MBA修了後、2000年プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(株)入社。2005年アスクル(株)に入社、プリント事業の拡充に携わりネット印刷分野を強化。2009年アスクル(株)執行役員就任、人事統括部長兼社長室長。

2013年プラス(株)入社。全国の納品店向け中間流通事業を展開するジョインテックスカンパニーにて執行役員として、新規ビジネスの開発・推進を行う。2015年取締役就任。コーポレート本部人事統括部長として、次世代人事制度の整備ほか企業理念浸透、新オフィスコンセプト策定等各プロジェクトのリーダーとして企業基盤の強化に従事。2017年4月常務取締役就任、2018年1月ジョインテックスカンパニープレジデント就任。2020年7月に代表取締役社長に就任。

会社概要

社名 プラス株式会社
本社所在地 東京都港区虎ノ門4丁目1番28号 虎ノ門タワーズオフィス12階
設立 1948
業種分類 その他の製造業
代表者名 今泉 忠久
従業員数 単体:1,457名 連結:8,108名 (2023年12月31日現在)
WEBサイト https://www.plus.co.jp/
事業概要 オフィス家具、オフィスインテリア用品の製造・販売 文具、事務用品、OA・PC関連商品、事務機器の製造・販売 オフィス環境のデザイン・施工・内装工事・電気工事・管工事 電子光学機器、教育機器の製造・販売 日用雑貨品、食料品、ソフトウェア、書籍の販売 インターネットを利用した上記商品の販売 上記商品を対象とした海外事業
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