プラス株式会社 オフィス家具から衛生用品まで。「プラス」次なる戦略と挑戦 プラス株式会社 代表取締役社長 今泉 忠久   (2021年8月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
そして2005年に当時プラスの子会社であったアスクルに転職。ここでのある苦い経験が、顧客の声に耳を傾ける重要性を学んだと今泉は言う。

【今泉】
伝票って少しなめていた部分がありましたが、実は大変なドキュメントでして。

伝票がないことで、その日に事業を始められないといった問題が起こります。その伝票をお約束の日に届けられなかったことがあり、大きなクレームになってしまいました。今すぐ届けに来いと言われ、東京から神戸に1人で届けに伺いました。

正座してずっと謝っていたら「名刺を出せ」と言われて。名刺を出したら「大阪のどこだ」と言われたので「東京です」と答えると「東京から伝票ひとつ届けに来たのか」と。

客人だということでたくさんの食べ物やお酒が出てきて、そんなことも経験しました。

お客様のご要望をしっかり理解して、そこに対してひとつずつ地味ながらも対応していくことの重要さ。お客様の声にすべてのヒントが隠れているというのが、アスクルで学んだことのひとつですね。

【ナレーター】
顧客の声を大事にすることと共に、自分自身の意思を持ち、発信し続けることの大切さについてもアスクルで学んだ重要な要素の一つだったと今泉は付け加える。

【今泉】
アスクルはこれまで中途採用しかやってきませんでしたが、私は新卒を採用したいと思いました。

なぜなら、中途採用は即戦力として入社しますが、まだ何にも染まっていない新卒社員にアスクルの素晴らしさや、プラスグループの考え方を染み込ませるため新卒採用をしたいと思ったからです。

絶対それは勉強になるし、良いことだと信じていました。その思いが最終的に、当時の社長の耳まで届いたのです。そして「明日から人事部長をやってほしい」と言われ、驚いたことを覚えています。

給与計算どころか、人事の経験もなければ、評価を考えたこともありません。何にもやったことのない自分が、上場企業の人事部長をやって本当に大丈夫なのかと思いました。

その時に意思が最優先だと言われ、納得しました。このエピソードが自分のキャリアの出発点であり、そこからずっと人事の世界にのめり込んでいきましたね。

【ナレーター】
その後、今泉はプラス株式会社へ入社し、順調にキャリアを重ね、現職に至る。

プラスでは現在、「みんなのDXプロジェクト」と題し、今泉自らが陣頭指揮を取り、推進をしているという。同プロジェクトで目指す、プラスの未来像とは。

【今泉】
一言でいうと「アスリート体型の会社になろう」と。

業務は基本減るものではなく、どんどん増えていくもの。これを贅肉というのであれば、そこを一旦整理整頓しようよということです。

必要な投資をしつつ、引き締まったアスリート体型の会社に生まれ変わろうと取り組んでいるのが『みんなのDXプロジェクト』なんですね。

そのために、今いろいろな見直しをしています。来るデジタル時代に備えて、何が起こるかわかりませんから。

即座に変化でき、物をつくり変えることができる。行ったことない市場に即座に入れたり、見たことのない会社と即座に融合できたりする。機敏で柔軟な会社になるためには、社長が指揮を執ったプロジェクトが必要です。それが“DX”だと考えています。

そこに向けて、今あの手この手でやろうとしていることが、今後5年ぐらいの私の仕事になると思っています。

【ナレーター】
その未来像の実現のために求める人物像と、企業理念「新しい価値で、新しい満足を。」に込めた想いに迫った。

【今泉】
これはプラスが大切にしている考え方をとりまとめた冊子です。ここに賛同する方と一緒に働きたいと思います。

重要なポイントだけを言うと、理念の部分は“新しい価値で、新しい満足を”。新しい価値をまずつくらなければならないこと。新しい価値とは、新たな利便性や感動のことです。

「あって良かった」と思ってもらえる仕組みやモノをつくり、新しい満足へつなげること。新しい満足というのは、今お客様が体験している満足ではなく、当社のモノやサービスによって今まで欲しいと思わなかったことに気づかせることだと思っています。

当社は更に「その先にこんなモノがあったら、こういう使われ方をされ、こういう新しい感動が与えられるから、つくってみようよ」という会社です。

だから当社はお客様の声を受け、そこに仮説を振りかけていきます。この声をいかに料理し、できたものを世に出していくかということです。
「なぜ、このようなモノをつくったのか」と言われたら逆にしめたもの。なぜなら他社がつくっていないモノですから。

だから「いいよ失敗して」と。仮説なのだから失敗することもあると思いますが、世の中に絶対、自分たちしかやっていないモノをつくろう、真似をするなと。

-視聴者へのメッセージ-
【今泉】
2つ申し上げたいと思います。1つは私がずっと心がけていることです。今も常に大事にしなければいけないと思っていることなんですけれども“気負わない”“常に謙虚”というのが私のモットーでございます。

常に自分はまだまだ勉強足りないなとか、ここはこの人の良いところで私にはない、不足しているなんていうことを、常に私は人と会うとそればかり考えています。

これが良いか悪いかまだ結果は出ていませんけれども、今までの人生で私はこういう生き方をして、自分で後悔はしていない。良いな、良い生き方だなと思ってやってまいりました。

まだ若干47歳ですが、これからもこの姿勢は貫き通したいというのが1つあります。

それから2つ目。私が20代、30代の時によくやっていたことなんですけれど。もちろん目の前の仕事もとても大事で、そこに忙殺されるんですけれど、なんとか時間をつくって同期や他社の友人とよく飲みに行きました。

これが実は私にとって刺激になったし、生活者視点と言いますか、自分が外部に立った時に、自社を見直すチャンスにもなる。

“自分だったらこうするのに”というのは、非常にリラックスした時に出てくるアイデア。そういうのをすごく大事にしたいなと思って、異業種の同年代の人間と話す、飲みに行く機会を無理やりにでもつくっていた気がします。

それが今でも、いろんな視点を持つということにつながっているのかなと思っています。

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経営者プロフィール

氏名 今泉 忠久
役職 代表取締役社長
生年月日 1973年10月25日
出身地 東京都
座右の銘 私心なき野心
略歴
1999年米国アクロン大学院MBA修了後、2000年プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(株)入社。2005年アスクル(株)に入社、プリント事業の拡充に携わりネット印刷分野を強化。2009年アスクル(株)執行役員就任、人事統括部長兼社長室長。

2013年プラス(株)入社。全国の納品店向け中間流通事業を展開するジョインテックスカンパニーにて執行役員として、新規ビジネスの開発・推進を行う。2015年取締役就任。コーポレート本部人事統括部長として、次世代人事制度の整備ほか企業理念浸透、新オフィスコンセプト策定等各プロジェクトのリーダーとして企業基盤の強化に従事。2017年4月常務取締役就任、2018年1月ジョインテックスカンパニープレジデント就任。2020年7月に代表取締役社長に就任。

会社概要

社名 プラス株式会社
本社所在地 東京都港区虎ノ門4丁目1番28号 虎ノ門タワーズオフィス12階
設立 1948
業種分類 その他製品
代表者名 今泉 忠久
従業員数 単体:1,430名 連結:8,157名 (2022年12月31日現在)
WEBサイト https://www.plus.co.jp/
事業概要 オフィス家具、オフィスインテリア用品の製造・販売 文具、事務用品、OA・PC関連商品、事務機器の製造・販売 オフィス環境のデザイン・施工・内装工事・電気工事・管工事 電子光学機器、教育機器の製造・販売 日用雑貨品、食料品、ソフトウェア、書籍の販売 インターネットを利用した上記商品の販売 上記商品を対象とした海外事業
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