【ナレーター】
空気調和・給排水衛生・電気設備工事を中心に手がける大成温調株式会社。
2021年の創業80周年を見据え、2020年4月に新ブランド「LIVZON(リブゾン)」を発表。ブランドコンセプトとして「たてものを、いきものに」を掲げ、インフラ工事という仕事の付加価値向上による地域社会への一層の貢献と、次の時代も選ばれ続ける会社を目指している。
「総合たてものサービス企業」へ進化すべく、大成温調株式会社が見据える未来とは。
【ナレーター】
新ブランド『LIVZON』立ち上げの経緯とこのブランドに込めた想いに迫った。
【水谷】
空調システムや給排水システムなど、建物の設備は人々の生活や産業の下支えをするものです。必要不可欠ですが、なかなか目立たないものですよね。よって、良い形で認知をしていただきたいと思っています。
当社の仕事の価値をブランディングに落とし込み、従業員のやりがいなどにもつなげたかったのと、投資家を含めた対外的な認知をもう少し深めたいと思い、ブランディングの刷新を決めました。
そして「たてものを、いきものに」というブランドコンセプトができ上がりました。
たとえば産業用の施設や生活に密着した商業施設、オフィスビルなどはそのままだとただの構造物です。当社は人々により快適な生活を提供したり、モノの生産をより円滑にしたりするため、構造物に命を吹き込んでいるというのを「たてものを、いきものに」という言葉で表現しています。
ひいては、その建物を利用する人々をはじめ、地域社会に貢献しているということも含んでいます。
今度はコンセプトのほうに、会社のあり方をどんどんこれから寄せていく必要があります。そのために、今回『LIVZON DREAM 2030』というビジョンをつくりました。
10年後をターゲットに“総合たてものサービス企業“になっていくために、会社の総合力をより高めていくという方向性で策定したビジョンです。
スタートするにあたり、外部のファンド会社とも提携をして、ビジョンの実行に移っています。
【ナレーター】
大成温調を牽引する水谷は、中学時代、海外の学校へ行きたいという思いから、アメリカの高校へ進学。当時の苦労や文化の違いについて次のように語る。
【水谷】
「やっちまったなこれは」と思いましたね。
留学に対して、そのときまでは軽いものとして考えていました。アメリカに到着してみて、これは夢ではなく現実なんだと。最初は苦労しましたけれど、徐々に友達ができました。
アメリカで通っていた高校では、どの授業を受けるか自分で決めなければなりませんでした。ただ、最低評価を何回も続けて取ってしまうと、自動的に退学になってしまうような制度もあります。日本の文化とは違うなと感じましたね。
【ナレーター】
その後、日本の大学へ進み、食品の輸入商社を経て、2003年に大成温調へ入社。順調にキャリアを重ねた水谷は、海外グループの統括を任されることとなる。
最も苦難だったと語る2011年に起こったあることとは。
【水谷】
東日本大震災が起きてから、ちょうど1週間後の土曜日でした。朝起きたら、着信履歴が約20件入っており、これは何かあったのではないかと思いましたね。
確認すると、当時インドに行っていた当社の社員が交通事故に遭ったと。電話で話を聞いた段階では、1人はすでに死亡し、ほかの社員も全員ICUに入っていますと報告がありました。
事故が起きたのが大きなプロジェクトを受注した直後で、準備段階に入っており大変重要な時期でした。誰がどの情報を持っているかわからない。さらに1人亡くなってしまったということもあり、ご遺族の方との連絡や、現地へのアテンドもしました。
この事故により、プロジェクトがいきなり暗礁に乗り上げ、潜在的な危険性が高まっていきました。
交通事故があっても納期は変わりません。当社にはプロジェクトを請負った責任があるため、納期を守るために急遽、特別部隊を現地に連れて行きました。その方々にも大変苦労をかけてしまいました。
その対応が落ち着いたと思ったら、今度はフィリピンでも当時、大型の案件を受注しており、今度はこちらが火を吹いてしまったんです。それまで日本で仕事していた方々も特別部隊として送り込むこととなり、迷惑をかけてしまいましたね。
ただ、こういった経験をするとあまり怖いものがなくなりました。気持ちの整理というよりも、毎日どうこなしていくか。トラブルをどう抑えるかで現場にずっと入りこんでやっていたんです。
当時の取締役メンバーにトラブルの報告を逐一する中で、厳しいお言葉をいただきながらも会社全体で取り組むというような激励もいただいたのを覚えていますね。