【ナレーター】
土岐が選択した保育というテーマは、手間をかけるべき要素と効率化できる要素の境目が難しく、多くの考え方が混在している。この問題について土岐は次のように語る。
【土岐】
将来、保育園・幼稚園・こども園がロボットだけになって、子どもを受け入れるということは絶対にないと思います。子どもを抱きしめる、声をかけるというのは人間にしかできないですから。
一方、子どもの連絡帳やお昼寝中の体の傾きのチェックは手書きでないとダメなのか。もう少し現場に入り込んで、この業務の本質は何だろうか?そこをしっかりと見極めていきたいですね。
たとえば、連絡帳は手書きよりもアプリで写真や動画を添付できた方がいい。状況を可視化して、更にそれを伝えていくことです。
業務の本質が見えれば、アナログかデジタルではなく、アナログ・デジタルのハイブリッドがベストであると。ハイブリッドのさせ方が、当社のソリューションにおいて非常に大事なことだと思っています。
保育士の思いや保育園経営の本質を見極めながら、デジタルテクノロジーの本質もわかっていないとダメだと思います。
これを合わせ技にすることで、更に状況を良くする。保育園経営とテクノロジーの本質を見極めることで、新たな保育現場の日常が生まれると思います。
当社はそういうことを一つひとつ積み重ねてきたと思っています。
【ナレーター】
今後は、子どもたちの声なき声を世界中で最も可視化できる存在になっていきたいと語る土岐。描いている展望とは。
【土岐】
現代の子どもたちが、一日の間で最も長い時間を過ごしている保育園・幼稚園・こども園は、地域の子育てのステーションに変わっていくと思います。
子どもたちが安心して自分の好きなものに没頭して日常を過ごしているとデータがどんどんたまっていき、保育士はもっと子どもと向き合うってことだけに集中ができていく。その結果、連絡帳には今日の子どものデータがあふれていく。
保育と家庭がつながることで地域の小児科医やベビーシッター、小学校とつながっていくなど、そのような形の中で“子どもの声なき声”を可視化した上で、子どもを起点としたまち作りをしていくというようなことが、当社がこの5年以内の中でやっていくべき大きな挑戦だと捉えています。
【ナレーター】
海外展開についてもアジアを中心に加速させていく方針だ。
【土岐】
東南アジアにチャンスがありそうだと思っています。日本の保育園に学びたいというリスペクトもありますし、子どもに対して投資しようという動きが本当に増えているからです。
実際、我々の体動センサーをシンガポールで実証実験に使っていただいたこともあります。
これから数年の間で、まずは日本でもうスマート保育園構想というのをしっかりやり切ってその後はシンガポールやタイ、ベトナムやインドネシアなどでこのスマート保育園構想をその地に根付かせていきたいですね。
【ナレーター】
求める人材像について「自身の夢をしっかり持っていること」を挙げた土岐。その真意とは。
【土岐】
ユニファで頑張ることや全力で挑戦することが、その方の夢の実現につながるかどうかということ。当社の方向性とその方の夢の実現に向けたベクトルが合っていることがとても大事です。
ユニファが世界ナンバーワンになることが、その方の夢の実現につながりそうだということ。このような生々しい実感がある方だと、お互い頑張れると思います。
当社は何でもやる会社ではなく「家族の幸せを見出す新しい社会インフラ」をつくろうとしてる会社です。そこに対して本音のところで志を共有できるか。
当社が掲げた志ではなく「あなたの人生の夢は何ですか?」ということを掘り下げて共有できるかがとても大事だと思いますね。
―大事にしている言葉―
【土岐】
「困難は分割せよ」という言葉が大好きです。
これは、高校時代の現代文の先生が教えてくださった言葉で、今でもとても自分の中で大事にしています。
保育園を変えていこうとしても、いきなり全部を変えることはできません。まずは写真のあり方から、次は連絡帳へ、と。最終的には、つなげていくことで一つのプラットフォームになっていきます。
ビジネスモデルも保育園だけでなく、最終的にはtoBだけでなくtoCもやっていこうということ。それらの課題を全て分割することで、最終的に何らかの解決の手段が必ずあると思っています。
人間にとって登れないのではないかと思える山に対しても、結局は一歩一歩の積み重ねであり、即ち「困難を分割している」ことだと思っているためです。ですので、この言葉は自分にとって、とても重要だと思います。