株式会社デコルテ・ホールディングス “写真”を通じて新たな感動体験を。創業者が語る躍進の軌跡と次なる挑戦 株式会社デコルテ・ホールディングス 元取締役会長 小林 健一郎　 (2022年5月取材)

【ナレーター】
リーズナブルな価格での結婚式を実現させるために、当時購入すると高額だったウエディングドレスの自社製造に挑戦した小林。

その製造拠点の候補としてアジア諸国を巡る中で出会った光景が今でも印象に残っているという。

【小林】
現地ではウエディングドレスを着て撮影しているというシーンを見ることが多かったんです。場所によっては、その撮影のために人がずらっと並んでいました。

現地の方に「これはどういう文化なのか」と聞いたところ、披露宴前にプレウエディング（前撮り）をしているところで、この地域では必ず行うというものでした。

その体験を大事にされていたり、写真を大きく引き伸ばして家に飾ったりされているそうで、アジアでは写真がウエディングの軸として力を持っているということが分かったんです。

我々も、このアジアの文化を見て「素晴らしいな」と思いましたし、やはりその時、写真を撮られて楽しそうにしている風景が印象に残りました。

とはいえ、日本で広がるかどうかはわかりませんので、いろいろなロケーション撮影を自分たちでやってみました。

そうすると、撮影をする方も、モデル役になる社員も「この1日、楽しいよね」と言い始めたのです。「こんなに楽しいんだ」「素敵なんだ」と。実際にやってみたことでフォトウエディングの魅力に気づきました。

フォトウエディングが日本の文化として定着することの社会的意義は大きいと感じ「頑張ろう」と思いました。

【ナレーター】
2008年の参入以降、事業は順調に推移し、フォトウエディングの撮影組数が国内シェアトップにまで成長したデコルテ・ホールディングス。

小林が語る、挑戦を結実させるために意識していることとは。

【小林】
何かやり始めても、最初からうまくいくということはなかったんですね。ですので、うまくいかない中でも諦めずに、思いついたことは全てやり切る。

どんなに行き詰まっても、まだまだ打つ手は100も200もあるはずだと考えて、とにかくうまくいくまでやり続ける。いろいろなアイデアを出してチャレンジしてきました。

また、あまりこだわりが強すぎて変化を嫌うとサービス業としては停滞してしまうため、お客様に合わせるなど柔軟な発想が必要なのではないかと思っています。

【ナレーター】
高品質、低コストを維持するために注力している取り組みのひとつが社員教育だ。その中で、小林が社員に伝えている大事な要素とは。

【小林】
“お客様に選んでいただくこと”ですね。「この人の感性が好きだから、この人にお願いしたい」とお客様からおっしゃっていただく。

弊社では指名料を払っていただきますが、スタッフが自分の個性を出していくことによって、お客様の選択肢は広がります。

「かわいい系が好き」「キレイ系の得意な人がいいな」と思っているお客様もいらっしゃいますし、ヘアメイクアーティストが150人、カメラマンも150人ほどいますので、いろいろな人にお客様が出会えるという状況にしています。

【ナレーター】
今後は、フォトウエディング以外でも高度なフォト技術をコアにしつつ、写真撮影を通じて一人ひとりの心に残る感動体験を提供していきたいと考える小林。見据える展望とは。

【小林】
結婚式を検討している9割以上の方にフォトウエディングを選んでいただけるような文化づくりに貢献したいですね。

我々を通して、“写真を撮る”ということをひとつの目的とした1日を過ごしていただく。

それは結婚式であったり、旅であったり、ご家族での記念撮影であったりとさまざまですが、写真を撮るという目的のもと準備をしたり、集まったりするのは非常に有意義であり、一生の中でも忘れられない思い出の1日になるだろうと感じています。

写真をひとつの軸として、新たな体験や思い出づくりというものをどんどん広げていきたいと考えています。

－大事にしている価値観－

【小林】
いいことがあっても、結論としていいことだったのか。悪いことがあっても、それが人生にとって本当に悪いことだったのか。それは人生が終わってみないとわからない。

目の前のことだけを見ずに過ごす。自分の人生を重ねてみても、そのときは「ツイていないな」と思いましたが、後で振り返ると「あのときに前向きに頑張れたからいい転機になったかもしれないな」ということがあるため、そこはこれからも大事にしていきたいと思います。