【ナレーター】
ペットフード業界で国内シェアトップクラスを誇る「ドギーマンハヤシ株式会社」
『紗(さや)』や『ヘルシージャーキー』など、数々のロングヒット商品を世に送り出し、新たな市場を開拓。業界のパイオニア企業としての地位を確立している。
近年では、既存事業に加え、誰もが活躍できる会社を目指した取り組みとして『ドギーマンファーム』をスタートさせた。「人とペットの幸せな共生」を目指し、その事業領域を拡大している。
持続可能な企業の実現に向けた、2代目経営者の挑戦とその想いに迫る。
【ナレーター】
ドギーマンハヤシはSDGsの実現に向け、3つの全社活動を掲げた。各テーマに込めた想いと現在取り組んでいることについて、林は次のように語る。
【林】
1つ目は「品質管理の徹底と環境負荷の低減」です。
社内で一元管理できるような品質管理部隊をつくり、彼らが常時、自社工場や協力工場などとコミュニケーションを取りながら包材の削減などを推進しています。
原材料に関しても環境に配慮したものを探していこうということで、差別化のキーワードのひとつとし、開発部隊がいろいろなところにアンテナを張って動いてくれています。
2つ目の「働きやすい職場環境」ですが、当社はペットの会社ですので、ペットを飼っている従業員にはペット手当を支給しています。
また、この制度は大阪でしか行っていないのですが、独身寮でペットが飼える環境も整えています。ペットをより多くの従業員が飼育できるような環境をつくっていこうとしています。
3つ目の「人とペットの共生」、こちらについては、SNSやホームページを通じて、さまざまな情報発信をしていこうとしています。
たとえば、ペットのお手入れの仕方や、我々の商品を活用した手づくりのペットフードの情報などです。
他にも、保護犬・保護猫の活動に我々が寄与できることはないかということについても考えていますね。
【ナレーター】
自身の原点について、中学時代に当時社長だった父と交わしたある会話を挙げた林。その内容は、今でも鮮明に覚えているという。
【林】
「この会社は自分が苦労して育ててきた会社だ。お前は継ぐ気があるのか」という話を、父からされたことがあります。そのときに、生意気にも「俺が継ぐ」とはっきり話をしたのを覚えていますね。
ただその後、中学生、高校生、大学生、社会人になって仕事を始めるまで、いっさい父とその話をしたことがなかったんです。
それが社会人2年目のお正月に帰省したとき、父のほうから急に「あの話はどうするんだ。若い従業員も育っているから、うちの会社に入るのかどうか、はっきりしてほしい」と言われたんです。
当時は東京で仕事をしていてひとり暮らしも楽しかったのですが、決意を固め、1992年の7月に当社に入社しました。
【ナレーター】
入社後は、企画や商品開発、物流センターでの配送といった業務に従事。順調にキャリアを重ね、2003年に副社長に就任した。
当時は社長で、現在は会長を務めている父から意外な助言をもらったと振り返る。
【林】
「社長と副社長が同じ仕事をしていてはいけない」ということで、役割分担をしていました。
そういう意味では、副社長になって、会長の隣で仕事はしていましたけれども、手取り足取りなにかを教えてもらうようなことはなかったですね。
【ナレーター】
そして2009年に林は代表取締役社長に就任。現在に至るまで『ペットライフのよきパートナー』の理念の下、ペットとのコミュニケーションに役立つ新しい価値を提供し続けながら、社内のコミュニケーションにも気を配っている。
プロジェクトを推進する上で、林が重要だと語る2つのことと、その見極めのために行っていることとは。
【林】
意見の違うメンバーが集まって同じ方向を向くためには、さまざまな意見をぶつけ合ってコミュニケーションをとりながら、方向性を見出して進めていくことが必要だと思っています。
後は、従業員がどれだけの熱意を持って仕事を進めていくのかという部分も重要ですよね。
熱意を持った従業員が仕事を進めていけば、もし失敗したとしてもすぐに軌道修正ができますし、成功するための答えも見つけやすいと思います。ですから私も、社長という立場ですべての意見を言うわけではないんですね。
従業員と打ち合わせをするときには、その従業員の話がどれだけ熱意がこもっているのかを測るため、こちらから質問します。すると、その仕事のことをとても考えている従業員からは、すぐに答えが返ってくるんです。
「いや、私はこう思います」「その意見、いいですよね」というような、意見のキャッチボールができます。
商品の善し悪しや、プロジェクトの進め方についてはやってみないとわからないところもありますが、携わっている従業員がどれだけ熱意を持っているかというところは、そういう質問のやりとりで感じ取りながら進めていますね。