【ナレーター】
壁を乗り越えたヤマシンフィルタはその後、順調に成長。その原動力となっているのは、『仕濾過事(ろかじにつかふる)』という企業理念だ。
この理念の意味と、そのもとでつくられた新素材『YAMASHIN NANO FILTER®』への想いに迫った。
【山崎】
「フィルタビジネスで社会のお役に立つ」は先代が作った社是で、私もこれを踏襲しています。
当社では、SDGs制定前の80・90年代あたりから、環境保護の観点でフィルタを開発してきました。
そして3年ほど前に、『ナノファイバー』という新ろ材を開発しました。蜘蛛の巣の糸レベルである0.2~0.8ミクロンで、おそらく世界で一番細い素材です。
ナノファイバーは安いコストで量産できることも特徴で、これこそが次の時代のろ材なのです。
建機メーカー各社も、次のモデルチェンジではナノファイバーのろ材を使います。これを使うことで、交換までの期間を3倍に伸ばすことが可能なんですね。
また、ナノファイバーは土に還るプラスチックという、環境に優しい素材でできていることも特徴です。
【ナレーター】
新たに環境に配慮した商品として現在開発中なのが、フィルタの交換時期を事前に知らせるセンサと、ナノファイバーろ材によるエアフィルタだ。これらの商品で実現できることとは。
【山崎】
オンかオフかではなく、たとえば「35%目詰まりしている」などの細かい数値がわかり、使用用途によってフィルタを最大限活用できるようなセンサを、現在開発しています。
今までは全社一律「1000時間で交換」と言ってきましたが、センサがあることで、フィルタを最大のパフォーマンスで使うことができます。
とてもきれいな環境で使っているお客様は1200~1300時間使っても問題ないかもしれませんし、逆にヘビーな使い方なら800時間で交換しなければならないかもしれません。
これをセンサによって明確にすることで、途中で捨てることなくフィルタを最後まで使い切ることができるのです。
現在は、『NanoWHELP®』という新しいエアフィルタ用のろ材をナノファイバーで開発し、これを使ってビル空調のエアフィルタをつくっています。
本製品を使うことで電気代が節約できるため、CO2削減に直接貢献できます。
また、SDGsに完全にマッチしているだけでなく、きれいな空気を供給することもできます。これは、まさに『仕濾過事(ろかじにつかふる)』そのものですね。
【ナレーター】
2020年、ヤマシンフィルタはコロナ・ショックによるマスク不足を解消するため、同社初となるマスクの開発・販売を開始。
BtoC向け商品の販売ノウハウがない中で立ち上がったのは、『仕濾過事』の精神ゆえだったと山崎は振り返る。
【山崎】
手元にはナノファイバーのろ材があるのに、世の中にはマスクがない。それなら、損得ではなく『仕濾過事』、社会のお役に立つという意味で、ヤマシンとしてマスクをつくろうということになりました。
今後は、インターネット販売を軸にマスクを継続的に販売していく予定です。
【ナレーター】
挑戦に際し、意識していることについて、山崎はあるキーワードを挙げた。
【山崎】
やはり、「ポジティブでいること」です。
挑戦にのめり込み、どう取り組んでいくかを考えるなど、ポジティブな思考を持つことは大事だと思います。
「塞翁が馬」というように、いいと思えばいいし、悪いと思えば悪い。考え方次第なんですよね。
【ナレーター】
現在、山崎は建設機械向け油圧フィルタ、エアフィルタ事業と並ぶ「第3の柱」を模索しているという。
【山崎】
「これだ!」というものは、残念ながらまだ見つかっていません。柱が3つあることで、非常に安定した経営ができます。
油圧だけでなく様々な分野のフィルタに挑戦するために「総合フィルタメーカー」と言っていますが、第3の柱が欲しいというのが今の心情です。
【ナレーター】
求める人材像について、山崎は次のように語る。
【山崎】
ポジティブに、しぶとくしつこく頑張る、たくましいタフな人材ですね。
雑草のように、踏まれても負けずに花が咲く人、麦のように踏まれて強くなる人。苦労の中でこそ人材は育つと思うので、こういった人を求めています。
当社は従業員全員にチャンスが平等にあり、やりがいのある会社です。このような方がいれば、是非ご応募いただきたいと思います。
-大事にしている言葉-
【山崎】
「夢への挑戦」を、キーワードにしています。
しぶとく明るくポジティブに、夢に挑戦することが大事です。これは仕事だけの話ではなく、生きる上でのテーマではないかと思っています。