デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 目指すは売上高500億円。「カンパニー制」で切り拓く新たな未来 デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 市川 聡  (2022年12月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
幅広い事業領域でITソリューションを提供するプライム上場企業「デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社」。

独自の強みをもつ自社製品を開発している同社は、Excelの自動化プラットフォーム『xoBlos(ゾブロス)』や、Webサイトの改ざんを防止するセキュリティソリューション『WebARGUS(ウェブアルゴス)』など、数多くの製品を展開している。

2021年8月に新たな中期経営計画を発表。「事業基盤の拡大・安定化」と「成長要素の拡大」の二軸から事業の発展を図り、「毎期10%の成長」を実現して2030年に売上300億円の達成を目指す。

更に新規事業の立ち上げとM&Aに注力することで、売上500億円の突破も視野に入れ、挑戦を続けている。

異業種からビジネスパーソンの道を歩むこととなった経営者の軌跡と、描いている成長戦略に迫る。

【ナレーター】
システムの開発・保守を行うビジネスソリューション事業、車載機器、家電などの製品のシステム開発と検証を行うエンベデッドソリューション事業、自社商品事業の3つの軸で事業を展開しているデジタル・インフォメーション・テクノロジー。

なかでも、強みを生かして展開を加速させているのが自社商品事業だと市川は語る。

【市川】
自社商品事業に、セキュリティー及び業務効率化につながるような、そういった製品・サービスを持っております。


セキュリティーについては、不正なサイトに誘導されて大事な個人情報が抜かれるというようなパターンがあると思います。

当社の場合、Webサイトの改ざんを防御するのではなく、それを変化と捉え、変化があった際に、それを瞬間で検知して、元の正しい状態に戻す。

そういったことが行われることで、どんな攻撃に対しても100%対応できますし、検知から復旧まで0.1秒未満で対応できますので、実害をほぼゼロにできるという製品なんですね。

他社が追従できないような強みを持っていますので、このセキュリティー製品を最終的にIoTという機器側のセキュリティーへも転用することも考えております。

もう一つは業務効率化につながること。Excel業務や帳票出力といった、基幹システムとExcel業務をつなぎ合わせた業務などに強みを持った製品『xoBlos』です。

『xoBlos』を中心としたプラットフォーム化のようなことを今進めています。そうすることで、お客様はより便利にご利用いただけますし、当社の収益向上にもつながってくるのではないかと思っております。

【ナレーター】
デジタル・インフォメーション・テクノロジーをけん引する市川は、学生時代から手に職をつける仕事に就きたいと思っており、選択したのは鍼灸師の道だった。

大学卒業後、すでにオーナーがいる鍼灸治療院の院長を務めることになるのだが、早々に洗礼を浴びることとなる。

【市川】
3カ月~半年で、患者さんが約半分に減ってしまったんです。

しかし、いきなり知識や技術が身につくわけではないので、今までは大体40分サイクルで1つのパターンで治療をしていたのですが、これを3つのパターンを繰り返す形に変えました。

1つ目のパターンが終わったら患者さんに「どうでしたか」と聞く。すると「全然効いてない」と言われ、2つ目のパターンで「半分程度になった」と。3つ目のパターンで「大分良くなった」という反応だったんですね。

しっかり患者さんとコミュニケーションを取りながら状況を把握して、幾つも施術を試して、結果を出す。これを繰り返した結果、半年後、患者さんの数が元に戻りました。

この経験から、やはり自分勝手に判断することなく、ちゃんとコミュニケーションを取って、その状況や施術の結果を確認していくことの積み重ねが大事なんだと分かりました。

コミュニケーションを重ねる過程で信頼関係も生まれてきますので、コミュニケーションをしっかり取る。ここが一番学んだところですかね。

【ナレーター】
キャリアを重ねていった市川だったが、自身の治療技術は理想とするレベルに到達せず、苦悩の日々を過ごす。

その悩みを、創業者である父に相談したところ、意外な助言を受けた。

【市川】
父が「いい解決方法がある」と。

「何ですか」と聞くと、「お前は、治療している患者さんの絶対数が足りない。当社には400人の、心も体も疲れているスタッフがたくさんいる。この人たちを全員、治療することでお前は壁を抜けることができる」という言葉をかけてもらいました。

そして、私は、鍼灸師として会社の福利厚生の一部を担当する人間として入社しました。

【ナレーター】
鍼灸師として入社するも、面識がない人の施術を受けるのは抵抗があると、社員は全く訪れなかったという。

その後、父から経営に参画しないかと持ちかけられ、市川は心機一転、ビジネスパーソンとしてのキャリアをスタート。当時の仕事について、こう振り返る。

【ナレーター】
当時はホールディングス化しており、事業子会社がたくさんありましたので、まずこれらの業績の数字をウォッチしていく。

そこに問題や課題があれば、しっかり彼らに対して「改善しなさい」と言わなければいけませんので、父は実際の現場感覚で指導する。

私は裏側にある数字を紐解いて、この両面からしっかり経営指導していこうという形で運営していました。

父の印象は、入社前は怖いということしかなかったのですが、入社後は、こんなに会社や従業員のことを想って経営をやっているんだ、怖いのではなく気持ちが強いんだと、一緒に仕事をして初めて気づきましたね。

【ナレーター】
その後、経営企画部長として上場準備に関わり、2015年のJASDAQ上場、2017年の東証一部への市場変更などに寄与。

順調にキャリアを重ね、2018年7月に代表取締役社長に就任した。社長就任時の印象深いエピソードとは。

【市川】
当時会長だった父は、絶対に私のことを従業員の前では否定しませんでした。

従業員は父に直接、エスカレーションを上げる場合もあるんですけれども、「それは自分ではなく、全て社長に言いなさい」と、しっかりそういう話をされていて。

その後、私は別室に呼ばれて、「お前は従業員にこう思われている。だから、こういうことを改善しよう」と一つひとつ指導してくれて。

一枚岩で取り組んでくれたからこそ、スムーズな継承ができたのかなと思います。

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経営者プロフィール

氏名 市川 聡
役職 代表取締役社長
生年月日 1972年4月14日
座右の銘 変化対応力
愛読書 池波正太郎等の歴史書
尊敬する人物 創業者である父
略歴
2000年3月 明治鍼灸大学(現明治国際医療大学)卒業
2000年4月 明治鍼灸大学附属病院鍼灸センター(現明治国際医療大学付属鍼灸センター)勤務
2001年4月 光泉なかたけ治療院勤務
2004年3月 東洋アイティーホールディングス株式会社(現当社)入社
<平成18年1月 デジタル・インフォメーション・テクノロジーへ商号変更>
2007年7月 当社執行役員就任
2012年9月 当社取締役執行役員就任
2014年7月 当社常務取締役就任
2016年7月 当社代表取締役専務就任
2018年7月 当社代表取締役社長就任(現任)

会社概要

社名 デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社
本社所在地 東京都中央区八丁堀4-5-4 FORECAST桜橋5F
設立 2002
業種分類 情報通信業
代表者名 市川 聡
従業員数 1,499名
WEBサイト https://www.ditgroup.jp/
事業概要 《ソフトウェア開発事業》・ビジネスソリューション事業(例:銀行などの金融系ソフトウェア開発、ECサイトなどの流通系ソフトウェアetc.)  ・エンベデッドソリューション事業 (例:車載の自動運転、コネクテッドカーの開発etc.)  ・自社製品の開発・販売  ①ウェブサイトの改ざんを瞬間検知・瞬間復旧するWebARGUS(ウェブアルゴス)→サイバーセキュリティ対策のための製品。②働き方改革に貢献するxoBlos(ゾブロス)→Excel®業務の複雑な処理を高速・安全・正確に自動化するツールで、1クリックで帳票等を作成可能。③電子契約のアウトソーシングサービス「DD-CONNECT(ディ・ディ・コネクト)」の提供を開始→印鑑が不要となる電子契約サービス。コロナ禍により重要度が増してきた商品。④どこよりもセキュアでデザイン自由度の高いホームページ作成プラットフォーム(shieldcms)→セキュリティ対策としてWebARGUSが搭載されたホームページ作成プラットフォーム。 《システム販売事業》他社の「中小企業向け業務支援及び経営支援の基幹システム」の販売を主としています。
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