【ナレーター】
その後、バイオメディカル事業の拡大や医療用コラーゲン・ゼラチンの特許を活用した医療用素材の開発・市場開拓など、さまざまな挑戦を続けている新田ゼラチン。
挑戦を成功させるために意識しているのは、「周りを意識しすぎない」ことだと尾形は語る。
【尾形】
自分の好きなことをやっているときは、一番いい仕事ができます。一方、上からやらされているとか、嫌々やっていると、多くの場合はうまくいかないと思います。
何かを成功させようと思ったら、まずは「成功したあかつきにはこんないいことがある」と思い描くことが大事で、思い描いたところに行くために、自分はどうすればいいかと考えることが重要ではないでしょうか。
もちろん、やっていく中で苦しいこともありますが、やはり最終的には好きなこと、楽しいと感じることに、社員のみなさんにも特化して向き合ってほしいと思っています。
20代くらいの社員には「入社当初は上から仕事を与えられ業務を行うことが多いけれど、いつまでもそれだったら面白くないでしょう」という話をしています。そして「会社の方向性から大きく逸脱していない限りは、やりたいことをやりなさい」と伝えています。
やりたいことをやって結果を出すのはすごく大事ですし、私自身もそれでやってきました。そのためにも、あまり周りに左右されず、周りを意識しすぎないことが大事ですね。
【ナレーター】
今後、新田ゼラチンをより社会の役に立つ会社にしていきたいと語る尾形。見据えている展望とは。
【尾形】
ゼラチンはバイオ医療の領域では、優れた素材として知られています。
たとえば、先端医療において培養した細胞を人体に移植したときに、拒絶反応が起きにくく体内に吸収されやすいという特徴が有利に働きます。また、投薬時の媒介としても使われています。
人体はほとんどが水なので、薬品を注射で打っても分散してしまい、患部に届くころには濃度が100分の1、1000分の1になってしまうそうです。そのため、患部に十分な薬品を届けるためにはたくさんの量を打たなければならず、そうすると副作用が出てしまうという問題がありました。
それを我々のゼラチンやコラーゲンと一緒に体に入れると、拡散せずに、届けたいところにピンポイントで打ち込めることが、かなり前から分かっていました。
今、まさに実用化される段階に来ているので、これからの先端医療に弊社の素材が役立つように、バイオメディカルの分野を伸ばしていきたいと思っています。
まだまだ弊社の全体的な営業規模からいえば、バイオ分野の規模は小さいのですが、これを伸ばしていくことで、早い段階で今の10倍くらいの売上にし、新田ゼラチンのバイオの素材について広く知ってもらえるようにしたいと取り組んでいます。
【ナレーター】
求める人材像について、尾形は次のように語る。
【尾形】
自分でやりたいことはとことんやるという、気持ちの強い人に来ていただきたいですね。
自分のやりたいことは何かということを、心の芯として持っておいてほしいと思うんです。いわれたことをやりますというのも、仕事の進め方としては一つのやり方ですが、自分はこれをやりたいから新田ゼラチンに来るのだという、信念を持った人にぜひ来てほしいですし、採用していきたいと考えています。
―大事にしている言葉―
【尾形】
幕末の長州藩の武士であり、思想家でもある吉田松陰の言葉に「夢なき者に成功なし」というのがあります。
夢を持つということが全ての始まりであり、成功の秘訣であると彼は言っているんですね。
その言葉を始めて見たときに現実も大事ですが、何かを成し遂げるために、まずはやはり夢が大切だと共感しました。
私の夢は新田ゼラチンを、世界中の誰もが「あの会社は我々の役に立つものをつくっている」と言ってもらえる会社にしたいということです。その夢を捨ててはいけないと思っています。
それが大事にしている言葉ですね。