【ナレーター】
保育、療育、教育を主軸に事業を展開するAIAIグループ株式会社。
関東を中心に、認可保育園「AIAI NURSERY」をはじめとした保育施設86カ所、発達に課題のある子どもたちの療育を行う『AIAI PLUS』を18施設、「AIAI MAISON」をはじめとする介護施設3カ所を運営している。
また、業界内では発達障害児の支援や幼児教材の提供、保育園内のDXにもいち早く着手し、時代のニーズに応える総合的な保育サービスを提供し続けている。
社会課題に一石を投じるべく、躍動する創業者の軌跡と挑戦に迫る。
【ナレーター】
自社の強みについて、子どもの発達に対して多角的な教育を提供できることだと貞松は語る。
【貞松】
認可保育所や小規模保育、児童発達支援、訪問支援など、多様な角度からお子様に対して発達のケアを提供可能なことが当社の強みの1つです。
また教育施設でもある保育園で使う教材やプログラムを自社でそろえている点も当社の強みだといえます。
当社ではそれら全てのサービスやソフトをグループ内で作成し、包括的かつ一体的にお子様に提供できます。
そのため、仮にお子様の発達に偏りがあったとしても、適切な療育や保育を提供することが可能です。つまり、当社のサービスをご利用いただければ、どのようなお子様であっても小学校就学まで安心してお過ごしいただけることが我々の強みになっています。
【ナレーター】
貞松の原点は学生時代にある。当時のアルバイト先の経営者に言われたある一言が、今でも印象に残っており、後の運命を大きく変える転機にもなった。
【貞松】
ある時、アルバイト先の経営者に「何のために働いているの?」と尋ねられました。「生活のためです」「お金がないと生きていけないので」などと答えたところ、「じゃあ、この仕事じゃなくていいじゃない?」「何のために今のこの仕事をしているんだという目的を聞いているんだよ」と突き詰めるように重ねて質問されました。
でも私自身は当時、そのようなことを考えていなかったし、考えようとも思っていなかったので、何と答えていいか分かりませんでした。
その日一日だけでは、この質問に対する確信めいた答えは自分の中で出なかったものの、「今のままじゃいけないんだ」ということは強く思いました。この方のように目的意識を持って働いている人にはそれまで出会ったことがありませんでしたので、アルバイトに来た道と帰る道で景色が違って見えるぐらい価値観が変わった出来事でした。
そして、その時に目的意識というものがしっかりと私に芽生えました。その時点での私の結論としては「基本的には世の中の役に立つような仕事をしないといけない」と思ったんです。
当時、ちょうど2000年ごろは、「介護保険制度」ができたり、「待機児童」という言葉が少しずつ出てきて東京都で「東京都認証保育所」という制度ができたりと、いろいろな面で社会の1つの節目となるような時期でした。
そこで私は「介護と保育は今後困る人がさらに増える業界だろう」と考え、介護や保育関連の事業へと意識が向かい始めました。
【ナレーター】
大学卒業後、マネジメント経験を積むため、貞松は居酒屋チェーン大手に就職した。ある日先輩が独立するという話を耳にして、貞松も起業への思いが強くなり2007年にAIAIグループの前身である会社を設立した。
同年に保育施設「あい・あい保育園幕張園」を開設したが、そこには株式会社であるがゆえの苦悩があったという。
【貞松】
当時、株式会社が保育園を創業するとなると、まだ無認可保育園しかつくることができませんでした。認可保育園設立の認可がおりる民間法人は、基本的には社会福祉法人か、学校法人か、その他法人という、基本的に公益性のある法人だったんです。
そのために原則、保護者から頂く保育料だけで保育園を運営していかなければならず、それだと収支が全く合わないんですね。
とはいえ、無認可保育園に対してもわずかながら補助金が出る制度もありました。補助金が出るまでには(創業から)1年、場合によっては数年かかるのですが、それまでは本当に収支が厳しく、大赤字でした。1年後に補助を受けられるようになって、一応黒字化はしたものの、本格的な認可保育園になるまではさらに数年かかったため、その間は常に厳しい経営状況でした。
【ナレーター】
ひとつの苦境を乗り越えた貞松はその後、保育事業のほか、介護、療育と事業領域を拡大。AIAIグループは2019年に東証マザーズ(現東証グロース)市場へと上場を果たし、現在、関東を中心に106施設を展開するまでに成長を遂げた。幾多の挑戦を重ねてきた貞松が、事業を成功に導くために大切にしていることとは。
【貞松】
「時流に乗る」ということが一番重要だと思いますし、時代の流れに合わせて事業を行うことを意識しています。
待機児童問題そのものは戦後ずっとありましたが、世の中がそこに注目し始め、社会問題化した時期と当社の創業が重なったことが非常に良かったと思います。
そういった意味で、当社の児童発達支援事業所の展開は、まさに今の時流に乗っていると思います。家庭的な問題を抱えているお子様には発達段階で大きな偏りが見られる場合が多く、そのような家庭やお子様が現在、急増しています。
そのようなお子様を含め、お預かりしているお子様を全て、自社内のサービスでケアできるということは非常に合理的な仕組みだと思います。