【ナレーター】
2024年5月、「こころに響くアイデアで、ふとした瞬間を、ふふっと笑顔に。」というパーパスを制定した。また、中期経営計画を策定し、これに基づき、エステーはウェルネス・カンパニーとして再成長を目指す方針を示した。
もともと弊社には『消臭力』など、強い商品があります。ただ、何を目指しているのかとか、世の中のために何の役に立っているのかというところを、もう一回パーパスとしてきちんと打ち立てる必要がありました。
そこで全社員にアンケートを取ったり、20年弊社を担当していただいている仕入れ先の方などに「エステーの強みって何だと思う?」「うちって何を目指すどんなチーム?」と聞いて回ったりしたのです。
パーパスの最後の「ふふっと笑顔に。」については、商品やサービスを介して弊社はお客様が笑顔になれることを目指しているのだと気付き、掲げたものです。例えば「これ使うと便利だよ」だとか、「冷蔵庫の匂いが消えますよ」、「いい香りでちょっといい気持ちになりますよ」というように、お客様の笑顔に繋げていることが、パーパスを制定する上で大切なキーワードになると考えた結果です。
【ナレーター】
防虫剤のトップシェアを誇る『ムシューダ』や、除湿剤の『ドライペット』など、ニッチな日用品市場で数多くのヒット商品を生み出し、いずれも高いシェアを獲得しているエステー。上月が、挑戦を成功させるために意識していることとは。
【上月】
自分では「絶対にいつか成功するんじゃないか」と思っているんですね。根が楽天的というか。「今うまくいってないけど、こう変えたら絶対うまくいくんじゃないの?」っていうのを、都度都度チャレンジしていくことの積み重ねだと思っています。実際にはほとんどうまくいっていないのですが。
でも、「最終的にはうまくいく方向性っていうのが見つかるんじゃないかな」と思っています。そんな自分の考え方を私は大事にしています。
“自分が考えて、自分で行動した”ということが重要なので。人から言われてやったことって失敗しても「いや、この上司に言われた。あの考えがいけなかった」などと考えがちで、なかなかポジティブになれないじゃないですか。
だから、社員には「自分で考えて、自分でどんどん提案して」と言っています。
【ナレーター】
今後は「ウェルネス」をキーワードにした2つの事業に注力すると語る上月。見据えている展望とは。
弊社が中長期の成長テーマに掲げているのは“かおり×ウェルネス×グローバル”。ウェルネスの領域を我々が今持っているブランドや技術で実現していくことを柱にしています。
我々はずっと香りのビジネスをやっていたので、その分野で色々なエビデンスを取り販路も構築して、技術も身に付けました。これらを活用して、世の中の人々をもっと笑顔にしたいという思いが、骨子になっています。
香りには効能がいっぱいあります。例えば睡眠に効果があったり、リラックスできたり、リフレッシュできたり、ストレスの解消になったり。でも、現状そういった香りの効能をきちんとしたエビデンスを持って商品化もしくは、サービスにしている企業があまりありません。
その点、弊社はエビデンスや技術の蓄積もありますし、様々な研究をしたりもしていますので、香りを使ってウェルネスの領域をどんどんどんどん開拓していこうと考えています。それが今のビジョンです。
あとは、ペット事業ですね。ちょうど花王の『ニャンとも清潔トイレ』という商品を我々は譲り受けたので、まずここを軸にしていきたいと考えています。猫ちゃんの幸せは飼い主の幸せに直結しますからね。
ペットを飼っている方は「健康寿命が長い」、「認知症になる率が低い」などと言われています。ウェルネスの領域に通じるところがあるため、この領域でペットとの共生を我々の技術やブランドで実現できるのではないかと考えているところです。
■大事にしている言葉
【上月】
社是は“誠実”。ビジネスをやる上で一番重要なのは、やっぱり誠実に商売することでしょう。「儲かりそうだ」といった観点よりも、正しいことの方が大事です。
利益よりお客様の利便性や幸せが本当に重要だと、心の底から思っています。