【ナレーター】
挑戦を成功させるために意識していることは「必要とされるサービスを見つける努力」だと中村は言い切る。その真意に迫った。
【中村】
挑戦というと、大改革や新規事業、新サービスなどをイメージするかもしれませんが、私は「こういうサービスがあったらいいな」と、半歩先のものを実現していく積み重ねが一番重要だと思っています。
ドーミーインに泊まっていて、夜帰ってきたときに「なんか小腹が空いたな」と。そのとき、「ラーメンがあったらいいね」「夜鳴きそばがあったらいいね」と思うじゃないですか。
サウナも大浴場もそうですが、「あったらいいな」をやりきることが、共立メンテナンスの壮大なるジャーニーなのです。
しかし、そのサービスは自らで見つけなければなりません。お客様の「あったらいいな」の声を聞いて、どのようなサービスを求めているのかを見つける努力が必要です。
【ナレーター】
今後は、寮やホテル事業の海外展開を積極的にしていきたいと語る中村。見据える展望とは。
【中村】
去年、長期ビジョンと中期計画をリリースして、2030年のあるべき姿を発表しました。定量的に言うと、「3&3&3(トリプルスリー)」です。2030年の3、売上3000億円の3、営業利益300億円の3、で「3&3&3」としました。
まずは国内で、寮・ホテル・高齢者向け住宅・フーズ事業、これらを中心に各領域でサービスを提供しようと考えています。
一方で、「ドミトリーとドーミーインを海外展開しよう」という話は10年前からあり、まずは北米から始めます。
スチューデントドミトリー(学生寮)事業や、マイクロホテル事業というカテゴリーは海外にもすでにあります。具体的に何件か相談を受けているのですが、これができるようになったらまた違うステージにいけると思っています。
たとえば、ハワイ大学のマノアキャンパスの隣に680室のベッドの寮があるとすると、当社の国内における寮一軒の平均スケールが80〜100ベッドのため、約5倍違います。
また、日本での部屋の平均単価は食事付きで約10万円ですが、ハワイは食事なしでその約3倍の室料です。つまり、スケールで5倍、単価で3倍の違いがあるので、1つの物件での収益のトップラインが約15倍変わります。
中期計画期間にあたる今後5年間で、海外進出が可能かどうかを導き出したいと思っています。
【ナレーター】
求める人材像について中村は次のように語る。
【中村】
当社は「お客様第一」を掲げているので、「お客様はどうやったら喜ぶだろう」と常に考え、「どうやったら効率良くできるか」など仕事の目的を理解し、当事者意識を持てる人を求めています。
「これは私の仕事だ」と意識して、目的を達成するために取り組む努力を常に惜しまない。そのために、情報を得ることにも時間を惜しまない。
たとえば、人と会う、用地を探す、他ではどのようないいサービスをやっているのかリサーチするために足を運ぶ、などです。
そういう循環で物事を考えて必要な情報を得て、目標に向かってにチャレンジできる人こそ、圧倒的に当事者意識の高い人だと考えています。そういう人が当社に増えてくれると、会社やサービスが変わると思っています。
ー大事にしている言葉ー
【中村】
「臨機応変」です。小さい頃から筆箱にこの言葉を書いていましたし、今でも大事だと思っています。
環境の変化が激しい時代ですから、物事に対する準備は非常に大胆に、用意周到にする必要があります。しかし、それに拘泥するのではなく、臨機応変に自分の考えを最適解へとアップデートしなければなりません。
そのため、この言葉が一番のキーワードになると思っています。