【ナレーター】
人材育成について、「従業員のエンゲージメントをさらに高めていきたい」と語る大堀。その実現に向けて現在、注力していることとは。
【大堀】
社員は、インナーブランディング研修などを通じて、会社がこれから中長期でどういうことを目指しているのか、という考え方をしっかり共有しています。そのうえで、自分の役割を進めていくことが大事だと思っています。
さらに、1年目、2年目、3年目の人たちを、どういうプランでキャリア開発していくかを今、真剣に考えて見直している最中です。
パートナー社員(パートタイマー)の方に対しては、いろいろな取り組みを表彰する「褒賞制度」を確立しています。我々も現場に行き、実際に賞状をお渡しする取り組みを行っていますし、ランチミーティングを通じて、素晴らしい取り組み事例を皆さんと共有したり、お互いを褒め合ったりしています。
従業員の皆さんには、「本当にこの会社で働いていてよかった」と思ってもらえるような会社にしていきたいと考えています。
やはり働く従業員の声を聞くことが、非常に重要だと思っています。頻繁に従業員アンケートやコンプライアンスに関するアンケートをとり、時には我々が現場に出向いてヒアリングするなど、いろいろなことを通じて従業員の声を聞き、何を望んでいるのかを把握するように努めています。
その上で、その声に寄り添っていろいろな制度を作っていきたいと思っています。
もう1つ、人材育成で考えなければならないのは、女性活躍の推進です。働く女性がいろいろなライフイベントを乗り越えながら、どうやってキャリア形成していくのか、研修などを充実させたいと考えています。
さらに、子育て支援制度など、いろいろな制度を拡充し、子育てしながらでも弊社に勤め続け、活躍できるような体制にしていきたいと思っています。
【ナレーター】
東急ストアでは、2024年から3カ年の中期経営計画を推進している。その中の根幹をなしているのが、「シン・デリカプロジェクト」だ。
【大堀】
我々はこれからデリカを成長の基軸として勝負していきたいと考えています。生鮮部門からもデリカ用の素材の提供をするなど、いろいろな面でデリカを支えていくために「シン・デリカプロジェクト」を立ち上げました。
そこで話し合ってきたことを具現化しようと、昨年12月に「東急ストア 三軒茶屋店」を改装しました。ここでシン・デリカの集大成のような店舗を作り、これをモデル店舗として、いろいろなところに水平展開をしていくというプランを進めています。
現代は、働いている主婦の方も非常に多く、お料理する時間も限られている状況です。今は簡易食や即食型商品が、我々のエリアでは非常に大きな需要があるので、そのニーズに応えるデリカを基軸に取り組んでいるところです。
【ナレーター】
目指す姿は「食の文化的価値を通じ、地域とともに豊かさや幸せをもたらす、なくてはならない存在になる」ことだと語る大堀。具体的に推進している3つの施策に迫った。
【大堀】
1つは「食を極める」ことです。これは、鮮度・品質・健康価値の提供を東急ストアの強みとし、これを徹底的に磨き上げることです。
先ほど申し上げたシン・デリカプロジェクトも立ち上げましたので、デリカを基軸とした食の簡便化の提供によって、弊社が成長を遂げるということが1つ。
2つ目は「土台を固める」こと。CX(カスタマー・エクスペリエンス)戦略の一環として、ファンサイトを立ち上げ、顧客起点で販売戦略を進めていきます。土台を固めるためには、お客様のエンゲージメントの向上やDXの推進、製造現場の改善などを通じた、生産性の向上などに注力したいと考えています。
3点目は「周辺に染み出す」というテーマです。シャトレーゼFCを中心としたステーションリテール事業の進化や、さらに環境政策にも配慮したサステナブル経営も推進していきたいと考えています。食文化の価値を通して、地域社会に豊かさや幸せをもたらしたい、という思いです。
【ナレーター】
求める人材像について、大堀は次のように語る。
【大堀】
基本的には前向きに物事を考えられて、行動力を持っている方が非常に強いだろうと思っています。さらに、コミュニケーション力は本当に大事で、現場でのコミュニケーションや、本社内でのコミュニケーション、これらは会社を動かす原動力となります。そういったスキルを持った人がいっぱい来てくれるといいなと考えています。
■大事にしている言葉
「不易流行」という言葉です。物事の本質を追求しながらも、変化にしっかり適応していくという意味があります。
弊社でいえば、「鮮度・品質・健康価値の追求を東急ストアの強みにする」ことを不変のテーマとして追求しながら、起こってくる社会情勢の変化などに合わせて対応できる企業になりたいという思いを込めています。