【ナレーター】
東京・神奈川の東急線沿線を中心に「食」を支える総合小売業「株式会社東急ストア」。
地域ごとに異なる顧客の嗜好やニーズに応える店舗づくりを推進しており、現在、スーパーマーケット91店舗、駅売店 26店舗に加え、フランチャイズ事業としてコンビニエンスストア37店舗、ドラッグストア6店舗を展開している。
近年では、『東急ストア 三軒茶屋店』のリニューアルにおいて店舗デザインを刷新。最新の厨房機器の導入をはじめ、商品の鮮度・品質向上に向けた挑戦を続けている。
「共存共栄」の企業理念のもと、躍動する企業を率いる経営者の軌跡と、思い描く成長ビジョンとは。
【ナレーター】
自社の特徴と差別化要素について、大堀は次のように語る。
【大堀】
3年前に、「東急ステーションリテールサービス」と合併しました。これにより、コンビニエンスやドラックストア、駅の売店、自販機など多彩な小売業の引き出しを持つことができたので、それが1つの大きな特徴かと思っています。
駅前立地には、物件の大きなスペースが取りにくいのですが、我々はいろいろなフォーマットを持っていますので、いろいろなところにアジャストして出店できるのが1つの強みになっていると思います。
【ナレーター】
大堀の経営者としての原点は、当時の同社社長が主催していた「社長塾」へ参加したことにある。新卒で入社後、順調にキャリアを重ね、100名以上の従業員が在籍する店舗の店長へ就任。その後、「社長塾」の参加メンバーに選ばれた。当時について、大堀はこう振り返る。
【大堀】
社長塾は、会社の現状分析から入り、課題を抽出し、さらに今後起こり得る世の中の変化などのいろいろな予見を加えて、会社のこれからの方向性を導き出していくという塾でした。
私は当時、部門長だったので、その部門のことだけを意識しながら働いてきましたが、社長塾で教わったのを機に、会社全体について考えるようになりました。
スーパーマーケットではどうしても日々の売上や、月の売上というスパンで物事を考えてしまいがちなのですが、社長塾でこの会社を今後どうしていくのか、という中長期視点での考え方を教わったことが非常に大きな転機になったと思っています。
【ナレーター】
勉強会での学びを活かしながら、その後もキャリアを積み、2022年3月に代表取締役社長に就任。当時、どのような会社にしていきたいと考えたのか。
【大堀】
従業員が「本当に働いていてよかった」と思える会社にしたいと思いました。この会社には40年も働いている方がいらっしゃるんですね。これは本当にすごいことじゃないかなと思うんです。
そういう方が人生を振り返ったときに、「私、東急ストアで働いていてよかったわ」って思ってもらえるような会社にしたいんです。社長に就任したときには、「本当に働きがいのある会社にしたい」と真っ先に思いましたし、それを実行しているつもりです。
私自身、「働く仲間の一人でいたい」という思いが非常に強いので、社長という肩書きをいただいていますけども、一緒に働く仲間だと思ってもらえればいいなと思っています。
【ナレーター】
挑戦を成功させるためには「提案のハードルを下げること」が重要だと言う。
【大堀】
誰でも会社に対して改善点を提案できるような雰囲気を醸成できれば非常にいいですね。また、提案してくれたことを実行してもらうことが重要だと思っています。
ただし、その実行はPoC(プルーフ・オブ・コンセプト:アイデアの実現性を検証するプロセス)をしっかり回して、GOするべきか、中止するべきか、きちんと判断しなければいけないと思っています。
また、GOサインを出したものが、これから拡大できると判断したときには、スピード感を持って、そこに原資を投入して成功に導くことが大事だと思います。
大勢の人間が、自分の担当だけに限定せず、いろいろなことに携わることは非常に重要です。提案するのは年齢に関係なく、若手も年配者も、いろいろな人に参画してもらいたいので、そこは分け隔てなく、いい案であれば誰のものでも採用するよう積極的に取り組んでいます。