4位:2006年【114社】
4位は2006年。第一部・第二部に73社、マザーズに41社と「114社」が上場しました。
この年の主な新規上場企業は、当時SNS『mixi』で急速な成長を遂げた株式会社ミクシィや、中小企業のM&A仲介で最大手の株式会社日本M&Aセンターなどです。2003年から続く好景気の影響により、新規上場も活発でした。
しかし、2006年はITベンチャーとして注目を集めていた株式会社ライブドア(当時)による粉飾決算事件が起こった年でもありました。事件以降、ITを始めとする新興企業への投資にブレーキがかかります。
さらに2007年に米国サブプライム・ローン問題が表面化し、2008年にはリーマン・ショックが発生。世界的な金融危機に発展し、日本の経済も大幅に悪化しました。
2006年までは年間100社前後あった東証の新規上場も、2009年には年間23件まで落ち込んでおり、その影響を大きく受けているといえます。
5位:2015年【110社】
5位は2015年の「110社」で、第一部・第二部に27社、新興市場(マザーズ、ジャスダック)に77社、プロ投資家向け市場のTOKYO PRO Marketに6社が上場しています。
2015年は日経平均株価が15年ぶりに2万円台をつけるなど、世界金融危機による停滞からの回復が鮮明になった時期。
東芝の粉飾決算が明るみとなった年ですが、日本経済はおおむね堅調に推移し、新規上場社数も9年ぶりに100社超を果たしました。
2015年の新規上場企業は、超大型案件と注目された3社同時上場の日本郵政グループや、ニュースアプリを提供する株式会社Gunosyなどです。
ビッグデータを活用した金融サービスを手掛ける株式会社メタップスも、40億円を越える大型資金調達とマザーズ上場を相次ぎ実施したことで話題を集めました。
2013年以降は、それまでと比較して新規上場社数における新興市場の割合が増加し、2015年には約7割を占めています。また、スマートフォンの普及により、新しいサービスを提供する新規上場会社が増加しました。
特に多い業種はサービス業と情報・通信業で、その傾向は3位に登場した2018年まで続き、今後も引き継がれていきそうです。
まとめ
21世紀の東証新規上場社数ランキングはいかがでしたか?
2008年のリーマン・ショック以降、東証一部に直接上場する場合の時価総額基準が500億円以上から250億円以上に引き下げられたという経緯はありますが、やはり新たに上場する企業の数が多い年は、景気に回復の兆しが見られると判断された時期であるといえそうです。
なお、東証は2013年に旧大阪証券取引所の株式市場を統合しており、大証ジャスダックへの新規上場社数を含めた場合は、2001年~2006年がトップ5(2002年と2005年は同数)となります。
これは1999年にマザーズやジャスダックが創設されたため、2000年代前半に新興企業の新規上場が大きく増加したものと考えられます。
好調だった新興市場が2006年を境にしばらく低迷を続けた理由は、ランキング4位の詳細をご覧ください。
資金調達を容易にし、社会的な信用や知名度の向上なども得られる新規上場。今回は2001年から2018年までのデータを用いましたが、2019年も2018年と同程度の新規上場企業があると見込まれています。
過去と同様、当面は景気が上向くことを示唆しているのか、市場の動向にはこれからも目が離せなくなりそうです。