3.外食・中食領域

「外食・中食領域」とは、飲食業界のオペレーション領域に関わる分野です。アメリカではすでに全自動調理器が搭載されたAIロボットが実用化されており、世界初の無人ファーストフード店が登場するなど注目を集めています。

また、近年では、共働き世帯の増加、晩婚・未婚化などの社会的背景に伴い、調理済みの食品を気軽にテイクアウトする“中食産業”が急成長しています。

アメリカで配車サービスを展開する「Uber Technologies Inc(ウーバー・テクノロジーズ)」が提供する『UberEATS』は、人気レストランの宅配メニューをアプリ一つで注文・配達・支払いまで完結できるサービスです。

サービスに登録した一般人がユーザーの元へ配達業務を行うという斬新さが魅力のひとつで、提携する飲食店の中には、売り上げが増加したとの声も多く、パートナーの配達員はすきま時間を活用できるというメリットもあります。

国内においても2016年から注目を集め、2019年10月から適用された軽減税率の影響もあり、全国で導入が進んでいます。

4.調理技術領域

「調理技術領域」とは、IoT技術を取り入れた調理機器などを開発する分野です。すでに海外では「調理を自動で行うロボット」の実用化に向けて開発が進んでいます。

2015年に英・ロンドンのベンチャー企業「Moley Robotics Ltd.」が、調理から後片付けまでを行うAIを搭載した調理ロボット『Moley』を開発し、そのパフォーマンス映像を発信したことで話題になりました。

『Moley』は、2,000種以上のレシピをインターネットからダウンロードして、一流シェフが作る味を再現するサービスを提供するというものです。実用化されれば、自宅の食卓に世界中の一流シェフが作る料理が並ぶという夢のような光景が現実になるかもしれません。

一方国内では、料理レシピサイトを運営するクックパッド株式会社が、料理を通じて出会う「おいしい」体験と調理機器をつなぐスマートキッチンサービス「OiCy」を発表しました。

クックパッドに投稿されたレシピをMRR(Machine Readable Recipe)に変換し、調理器具に提供させるという試みで、人数調整や味付けのアレンジも可能になります。現在、各メーカーが開発を進めており、今後の動向に注目です。

5.農業生産領域

「農業生産領域」とは、農業にIT技術を取り入れ、良質な食材を生産する分野です。

現在、日本の農業は、就農者の人口減少・高齢化などの大きな課題解決に向けて、農業に最新テクノロジーを投入する“スマート農業”の取り組みが進められています。

その代表として挙げられるのが、ICTやロボット技術を活用した、無人走行トラクターや除草ロボット、ドローンなどです。

酪農IoTソリューション事業を展開する株式会社ファームノートホールディングスは、24時間365日牛を監視する牛用IoTセンサーなどのサービスを提供しています。

その功績が評価され、2019年12月に共立ホールディングス株式会社や株式会社マイナビなどから総額約8.5億円の資金調達を実施。

また、同年の第5回「日本ベンチャー大賞・農林水産大臣賞」や第17回「日本イノベーター大賞・日経ビジネスRaise賞」も受賞しており、その事業の可能性に期待を寄せられています。

まとめ

先進国のみならず、世界中から注目を浴びるフードテック。

消費者をターゲットとした身近な技術開発を実現させ、食の需要と供給のバランスを維持することが、今後の課題となりそうです。

その課題をクリアし、私たちをさらに驚かすようなイノベーションが生まれるのか。今後の取り組みにも離せません。

参考サイト:
・【IT特集 - フードテック】市場規模は700兆円? 食のIT革命「フードテック」が注目されている理由とは|NECネクサソリューションズ
・世界初となる「食べられる培養フォアグラ」の生産に成功|インテグリカルチャー株式会社のプレスリリース
・インテグリカルチャー、食肉業界最大手の日本ハムと共に細胞培養肉の基盤技術開発を開始|インテグリカルチャー株式会社のプレスリリース
・デイブレイク株式会社|FoodTech(フードテック)で食品流通の課題を解決する
・【 フードテックとは? 】 注目企業12事例に学ぶ、テクノロジーで「食」にイノベーションは起こるのか? | マーケティングリサーチキャンプ|市場の旬を調査で切る!
・株式会社ファームノート|世界の農業の頭脳を創る