創業35周年を迎えたスタッフ・アクティオは、大手ゼネコンやグループ企業との強い信頼関係を築き「業界トップクラス」と評価される存在へと成長してきました。

今回のインタビューでは、創業当時のエピソードからサービスへのこだわり、採用面での考え方まで幅広く、社長の笹森 利彦氏にお話を伺います。

人と企業をつなぐ要として、実直な取り組みの先に見えてくる信頼の形とは?

まだまだ拡がりを見せる人材ビジネスの世界で、一歩先を行くヒントを探る内容をお届けします。

創業当時の秘話:信頼第一の地道なスタート

-創業当時の秘話などございましたら、ご教示いただけますでしょうか。

笹森社長:
当社は今年で創業35周年を迎え、主に人材派遣サービスを中心に事業を営んでまいりました。
実は創業当初から大手ゼネコンやそのグループ企業とのつながりがあったことが、ここまでの成長を支えてきた大きな要因です。

派遣スタッフの皆さんが現場でしっかりと活躍してくださることで、企業のご担当者様から「この会社は安心して任せられるね」と評価をいただき、それがじわじわと評判となって広がりました。

とはいえ、最初からトントン拍子だったわけではありません。
小さなスタートで競合も多い中、「信頼できる人を紹介してくれる会社だ」という評判をどれだけ積み重ねられるかが勝負でした。

そこで創業当時から地道に「お客様とスタッフの信頼関係を大切にする」というスタンスを守り続けてきたことが、今の基盤を築くうえでの“秘話”かもしれません。

社長になった経緯:銀行員から人材派遣の世界へ

-元々は銀行員だったと伺いました。そこからスタッフ・アクティオの社長になられた経緯をお聞かせいただけますか。

笹森社長:
私は元々、銀行員としてキャリアを積んでいました。
退職後、アクティオに入り、総務部長として10年ほど務めていたのです。
そんなある日、当時の社長から直々に「スタッフ・アクティオで社長をやってみないか」という打診を受けました。

そろそろ引退も近いかなと考えていた時期だったのですが、前任の社長が「会社をよりよい形にしたい」「刷新していきたい」「違う考えを入れることで会社を生まれ変わらせたい」との強い思いを持っておられたのです。
そのなかでありがたいことに私を推薦してくださった。少しでもお役に立てればと思い、社長職をお引き受けすることにしました。

-前職の銀行での経験は、いまの経営にどのように活かされているのでしょうか?

笹森社長:
銀行員時代にはリスクマネジメントの視点を常に鍛えてきました。
その視点や考え方を新しい環境でも活かせるのではないかと思っていました。
さらに、まったく違うカルチャーを持つ私が入ることで、社内に新しい風を吹き込みたいという意識も強くありました。

私の経営スタイルは、一つの結果を生み出すためのプロセスを大事にするところにあります。
銀行員時代の慎重な目線と、人材派遣業界特有の柔軟さを掛け合わせて、社員が働きやすい環境づくりを心がけています。
前向きに挑戦できる文化を育てることで、私自身もまだまだ学びたいと考えています。

強みは“痒いところに手が届く”事務スタッフ

-貴社の商品・サービスの中でも特に強いこだわりがあるという点がございましたら、伺いたいです。

笹森社長:
一番大きいのは、事務スタッフ(いわゆる「現場事務」)の方々に対するこだわりです。
一見すると「一般事務」と変わらないように見えるかもしれませんが、建設工事の現場では想定外のことが頻繁に起こります。

そんな中で、請求書処理や資料作成、総務周りのサポートを臨機応変に行い、「次の段取り」を先回りして準備する姿勢がとても重要なのです。

また、こうした対応力は建設業以外でも重宝されることが分かってきました。
定型業務に切り分けがしづらい企業様ほど「ちょっとした気づかい」が業務効率を高めます。

そこで弊社としては「痒いところに手が届く」スタッフのスキルを、より多くの業界に提供していきたいという強い想いがあります。

15年連続増収増益の秘訣──“当たり前”を徹底する

-貴社がヒットしたその秘訣や、長年増収増益を続けられている要因には何があるのでしょうか。

笹森社長:
当社は15年連続の増収増益を実現していますが、その一番の秘訣は「当たり前を地道にやり続けること」だと考えています。
具体的には、顧客ごとに担当をきちんと置いてコミュニケーションを密にしていることですね。
スタッフの皆さんをしっかりフォローして、働きやすい環境を整えるためのお話を派遣先に交渉するなどです。

派遣スタッフが求められる業務内容にしっかりマッチしているか、何か困っていることはないかなどを常に確認し、「何かあったらスタッフ・アクティオに頼もう」と思い出していただける存在でいるよう努めています。
こうした積み重ねが「トップクラスの会社」という評価につながったと思いますし、今後もこの姿勢は変えません。

“人を介して経済を回す”──人材派遣ビジネスの本質

-「ヒト、モノ、カネは、経済の根本を支える要素」であり、その中でも“ヒト”が特に重要だと伺いました。その考えを伺えますか。

笹森社長:
すべての企業が必要としている大切な資源が“ヒト”だからです。
私たちは人を通じて日本の経済を動かしているともいえると思います。

企業は常に“人材確保”に不安を抱え、スタッフには柔軟な働き方が必要。
その両者をマッチングし、“次を作り出す”ことこそ人材派遣の役割です。

例えば子育て中の方が、限られた期間で短期のプロジェクトに参加できるようにマッチングすれば、社会に大きく貢献できると思います。

-人材派遣の仕組みが、雇用のバリエーションを増やし、スタッフと企業にとってもメリットがあるわけですね。組織体制についてはいかがでしょう?

笹森社長:
私たちは営業職とコーディネーター職を中心とするチームです。
お互いを思いやり、相手の努力をサポートし合うことで仕事が円滑に進むと考えています。
一人が頑張ってもなかなか会社としての成果には繋がり難いものです。
一人が作り上げた成果を他のチーム・仲間に繋いで初めて大きな成果が生まれます。

人を扱うビジネスですから、大変な面も多々あります。
しかし、人を扱うからこそ成長ややりがいを感じられる業界でもあるのです。

たとえば、社会にでて様々な人とコミュニケーションをとるなかで、いろんな価値観や考え方に触れる経験があるでしょう。
そういった経験はすべて、人相手のビジネスだといい形で活かすことができます。

困難な課題も、皆の経験や知恵を振り絞って、営業やコーディネーターがそれぞれの立場で協力し合いながら解決に導いていく。
それが個人の成長につながりますし、会社の成果にもつながっていきます。
これまでの経験がすべて活かせる、類まれな業界ですね。

もちろん、人様の仕事とお金に関わるわけなので相手も真剣です。
耳の痛いことを言われることも当然あります。
でも、そういった話を真摯に受け止めることが、今後の自分の成長や組織の成長につながっていくのです。

様々なできごとやいろんな方の思い、それら全て取り込んで、仕事に活かしていける良い仕事だと思います。

継続と存続こそが企業の要

-経営において意識されていることはありますか。

笹森社長:
経営の要諦は「ゴーイングコンサーン」(Going Concern)です。

私がビジネススクールに通っていたとき、財務の授業で教授から「会社に一番大切なことはなにか」という質問をされました。
生徒から「利益」や「売上」といった意見があがるなか、教授は「ゴーイングコンサーン」だと教えてくれました。

「ゴーイングコンサーン」とは、会社を将来にわたって存続させ、事業を継続していくことです。
私自身もその通りだと心から思っているため、常日頃から社員にも伝えています。

毎日同じことをコツコツと続けるのは地味に見えるかもしれません。
しかし、社員が安心して働き、家族を養える環境を整えられることこそが、何よりも重要です。

人材派遣の現場であればこそ、人の強みを最大限に活かし、周囲と連携しながら事業を継続するための努力を続けること。
“人を大切にする”という基本を貫く理由は、そこにあるのかもしれません。

求める人材は、変化対応力と主体性、そして人への興味

-貴社が求める人材像や社長の右腕として活躍するために必要な『素質』があれば、ご教示いただけますか。

笹森社長:
当社は営業職やコーディネーター職など幅広い人材を求めていますが、共通して大切なのは「変化に柔軟に対応する力」と「人に興味を持ち、関係を築こうとする姿勢」です。
人材サービスの市場は経済状況や企業の動きによって大きく左右されるため、その度にやり方をアップデートしていく必要があります。

また、スタッフの方々や派遣先企業とのマッチングやフォローは、一人では完結しません。
社内外の人たちの意見を取り入れながらも、自分の意見をしっかりと持ち、主体性をもって動ける人が“右腕”として活躍できる素質だと思います。

さらに、当社はまだまだ大企業とは違い「仕組みが整いきっていない部分」もあるので、そこを面白いと感じて改善策を形にできる方にも来ていただきたいですね。

若者へのメッセージ:壁を乗り越えた先にあるもの

-これから社会人になる方、スタッフ・アクティオで働きたいと考えている方に向けて伝えたいことはありますか。

笹森社長:
仕事は楽しいことばかりではありません。
時には辛いこともありますよね。
それでも私は、明るくやることを大切にしています。
困難があったら、まずは挑んでほしいと思います。
乗り越えてみると、それが自分の糧になると信じていますし、一度逃げてしまうと次もまた、逃げやすくなってしまうと思うのです。

どうしても無理だと思ったら、その後に進路を変えるのは決して悪いことではありません。
ただし、目の前の壁を一旦乗り越えてからの方が、「心から納得して次のステップに進めますよ」と、笑顔でお伝えしたく思います。

「人を大切にする」基本を貫き、多分野へ拡大

-最後に、貴社の今後のビジョンをお伺いできますでしょうか。

笹森社長:
コアである建設業界とのお取引を大切にしながら、積極的に他業界にも進出していくことを目指しています。
派遣スタッフの方々のスキルは建設業だけでなく、経理アシスタントや営業事務など、どの業種でも大いに活かせるのだと実感していますので、より多角的にサービスを展開していきたいですね。

また、当社にはアクティオグループ全体で約50社ある強みがあります。
スタッフの皆さんにとっても「自分のキャリアを広げられる環境」が整いつつあります。

結果として、新しいスタッフの方々にも安心・納得して選んでいただけるようにし、さらに既存スタッフとの結びつきを強化することで、より質の高いサービスを提供していきたい。
その連鎖が、お客様・スタッフ双方にとってのメリットにつながると考えています。

私自身も、もともと金融業出身ということもあって数字や経営指標をしっかり見ますが、最終的には「人」を大切にするという基本を変えずに事業を進めていきたい。
当社のスタッフ一人ひとりが誇りを持ち、活躍し続けられる企業をこれからも目指していきます。