戸建て住宅を中心にリフォームや増改築を手がけ、50年以上にわたり地域の「暮らし」に寄り添ってきました。創業当初は無名の存在ながらも、現場での丁寧な挨拶回り、心を込めた折込チラシといった地道な努力が少しずつ実を結び、地元の人々からの信頼を獲得していきます。

転機となったのは、苫小牧駅の大型商業施設「サンプラザ」(現egao)へのテナント出店。施設のネームバリューと現場力に裏打ちされたサービス品質が相まって、株式会社トマトの名は地域に浸透しました。

時代の流れとともにニーズが多様化する中でも、「お客様第一」の姿勢は変わることなく、確かな技術と信頼で多くの家庭のリフォームを支え続けています。

地域の未来を見据え、さらに進化を続ける株式会社トマト。その成長の背景と、今後を描くビジョンについて伺いました。

創業の原点は、現場に根ざした信念と仲間との絆

ー創業当時の秘話などございましたら、ご教示いただけますでしょうか。

江島社長:
株式会社トマトの創業は1971年。現在の代表の実父である先代が立ち上げたリフォーム専門会社です。
もともと大手ハウスメーカー系のリフォーム会社に勤めていた先代は、当時の待遇や働き方に疑問を感じていました。独立を決意したのは、もっとお客様に寄り添い、現場での声を大切にする企業を作りたいという想いが胸にあったからです。

その志に共感し、創業時には多くの同僚が同じ志を持って集まりました。しかし、大手の看板がないなかで、自らの力で実績を築くというのは決して簡単なことではなく、次第に残る人材は限られていきます。

最終的に残った3名の営業担当こそが、現在のトマトを支える常務取締役たちです。彼らは創業当初から現場第一の姿勢を貫き、会社の礎を築いてきました。

当時はまだ「株式会社トマト」という名前もほとんど知られておらず、営業活動は施工現場周辺への丁寧なご挨拶や折込チラシの配布といった、非常に地道な方法に頼ってきました。それでも一人ひとりのお客様とのつながりを大切にし、少しずつ信頼を積み重ねていったのです。

そんななか、大きな転機がありました。苫小牧駅前にあった大型商業施設「サンプラザ」へのテナント出店です。無名だったトマトの名前ではなく、施設の名前を冠した「サンプラザリフォーム」として営業したことで、地域の方から認知度が一気に高まりました。

商業施設の知名度とアクセスの良さが後押しとなり、次第に地元での信頼も広がったことで、株式会社トマトは地域に根ざすリフォーム会社として確かな存在感を築き上げることができました。今では多くの方に選ばれる企業へと成長を遂げています。

当時の挑戦と現場での努力が、今のトマトを支える強い原点です。そしてこの原点を、現在のトマトも大切にしています。

現場を何より重視する姿勢は今も変わりません。地域のお客様一人ひとりの暮らしに寄り添う提案や対応を心がけています。こうした積み重ねが、長年にわたって信頼され続けてきた理由であり、成長にもつながる礎となるのです。

人材こそが株式会社トマトの最大の財産

ー貴社の商品・サービスの中でも特に強いこだわりがあるという点がございましたら、伺いたいです。

江島社長:
弊社の強みは、商品力や価格設定にとどまりません。弊社の最大の武器は、50年以上にわたって地域のリフォームに向き合ってきた中で生まれた「人の力」です。特に、豊富な経験と高い専門性を備えた社員一人ひとりのスキルの高さは誇りに思っています。

リフォーム業界は、建物ごとの状態やお客様の要望によって対応が大きく変わる、正解のない仕事です。そのため商品知識や施工技術に加え、ヒアリング力や提案力、課題解決能力が求められます。

私たちは、そうした複雑で個別性の高い仕事を数多く手がけてきたことで、確かなノウハウと実績を積み上げてきました。結果として、社員の提案力は高く、お客様からも高い評価をいただいております。

こうした強みを次の世代に繋ぐため、社内では定期的な勉強会も開催しています。毎週、役員が講師となり、中堅・若手社員を対象にディスカッション形式の学びの場を設けることで、施工事例の共有や対応スキルの伝承を行っています。

この取り組みは本社・支社といった拠点の垣根を超えて実施されており、全社的に業務品質の平準化と向上に寄与しています。

人の育成に終わりはありません。だからこそ、私たちはこれからも「人の力」を磨き続け、変化の激しい時代の中でも変わらぬ価値を提供し続けていきます。

また、そうしたスキルや知識の蓄積は、お客様との接点だけでなく、社内の風土作りにも好影響を与えています。ベテランと若手が自然に学び合い、誰もが意見を交わせる雰囲気が、組織としての柔軟性と成長力を高めているのです。

今後もこの文化を大切にしながら、さらに強いチームを目指してまいります。

信頼の連鎖が生んだ実績

ー貴社がヒットしたその秘訣をご教授くださいませ。

江島社長:
特別なマーケティング戦略や大規模な広告戦略は行っていません。

私たちは地域に根付き、金額の大小を問わず、お客様の必要と期待に応える仕事を地道に続けてきたことが、弊社が必要とされ続けている秘訣だと考えています。

リフォームはほとんどの場合、お客様が住みながら行われるため、第三者がご自宅に出入りすることに抵抗や不安を感じる方も少なくありません。

だからこそ、私たちは工事の内容だけでなく、お客様との接し方、現場での振る舞い、清掃やマナーに至るまで、誠実な対応を心がけています。

一度信頼をいただければ、そこから継続的なお付き合いが生まれます。「次もお願いしたい」とリピートいただくことや、ご家族やご友人をご紹介いただくことも多くあります。こうした信頼の積み重ねとご縁が、事業の成長を後押ししてくれたのです。

その結果、現在では年間700件を超える工事を任せていただき、累計工事件数は18,000件を超えるまでに成長しました。

この数字は、私たちの努力だけで得られたものではなく、地域の皆様に育てていただいた証だと感じています。

これからも地に足をつけ、一つひとつの仕事に真摯に向き合いながら、必要とされる企業であり続けたいと思っています。

誠実さこそが信頼を築く土台

ー視点を変えて採用に関する質問です。貴社が求める人材像や社長の右腕として活躍するために必要な「素質」をご教授くださいませ。

江島社長:
株式会社トマトで働くうえで、最も重要な価値観のひとつが「誠実」です。私たちが手掛けるリフォームという仕事は、一人で完結できるものではありません。

お客様の要望を正確にくみ取り、最適な提案を行い、質の高い施工へとつなげていくためには、営業・設計・現場監督・職人・協力会社など、多くの人との連携が欠かせません。そのすべての場面において求められるのが、誠実な姿勢です。

どれだけ経験や知識を持っていても、誠実さに欠ける人材は信頼を得ることはできません。実際にこれまでの中でも、高いスキルを持っていながら、誠実な姿勢を持ち続けられなかったがゆえに、結果として現場を離れていった仲間もいました。

逆に、誠実に人と向き合える人材は、チームの中で信頼を集め、仲間と助け合いながら自然と結果を出せる存在へと成長していきます。

また、誠実さはお客様に対してだけでなく、社員同士や職人、協力業者との関係性にも直結します。現場での小さなトラブルも、誠実な対応を積み重ねることで未然に防げることが多々あります。

日々のひとつひとつのやり取りの中で誠実であることが、結果的にチームワークを高めて、リフォーム品質の向上へとつながっていくのです。

経営層としても、この「誠実であること」を何よりも重視しています。自らが模範となり、言葉ではなく行動で示すことで、組織全体の信頼感が生まれるのです。

そして、部下に対しても、単に指示を出すだけではなく、自分のレベルにまで引き上げていく覚悟と責任を持って接することが求められます。

誠実であることは、当たり前のようでいて、実はとても難しいことです。でもだからこそ、それを積み重ねる姿勢が、50年以上にわたって地域の信頼を得てきた株式会社トマトの根幹を支えています。

だからこそ、私たち社員一人ひとりが、「誠実であること」に真剣に向き合える環境づくりを大切にしているのです。評価の軸としても、単なる成果だけではなく、その過程でどれだけ誠実に真摯に関わり、信頼を築いてきたかを重視しています。

企業としての成長と社員個々の人間的な成長の両輪を回しながら、これからも人に選ばれる会社であり続けたいと考えています。

北海道全域への飛躍を目指して

ー最後に、貴社の今後のビジョンはどのように考えていますか?

江島社長:
私が株式会社トマトの代表に就任したのは、令和3年のことです。先代より事業を引き継ぎ、これまで築き上げてきたブランドや信頼を守ると同時に、さらに高みを目指す責任を強く感じています。

創業から50年以上、トマトは地元・日胆陸を中心に地域に根差したリフォーム会社として歩んできました。私はその歴史に敬意を表しつつも、今後は日胆地区にとどまらず、北海道全域へと影響力を広げていくべきだと考えています。

この想いを実現するために、私の就任時に「20ヵ年計画」を策定し、全社員および協力業者の皆様に向けて、トマトを北海道のリーディングカンパニーへと成長させることを誓いました。

良き伝統はしっかりと継承し、時代にそぐわない仕組みや非効率な部分は徹底的に見直します。そして全社一丸となって、「より強い組織へと生まれ変わる」それが私の掲げるビジョンです。

私は前職において、業種は異なるものの、北海道を代表する地方銀行に10年間勤務しておりました。業界トップに身を置くことで、日々集まる情報の質と量、他では得られない経験や達成感、そして自社に誇りを持つことの重要性を実感しました。

そうした経験を通じて、「環境が人を育てる」という実感を得たのです。だからこそ、今度は私が経営する株式会社トマトにおいて、社員一人ひとりが同じような誇りを持ち、やりがいを感じながら働ける環境を整えたいと考えています。

私たちはこれからも「地域に根ざしながら、広く信頼される企業」を目指し、確かな品質と誠実な姿勢でお客様に向き合い続けます。

そして北海道リフォーム業界をけん引する存在として、トマトという社名に、より一層の価値と信頼を宿していけるよう、日々精進してまいります。

編集後記

代表就任以前は地方銀行に勤務し、北海道の経済を広く見渡してきた江島社長。その経験を経て事業を継承し、「誠実さ」を軸にした組織作りや、20年先を見据えたビジョンを力強く描いている姿が印象的だった。長年にわたり地域に寄り添ってきたトマトが、次のステージへと進もうとしている今、その挑戦を社員や協力業者と共に支え合いながら、一歩一歩着実に歩みを進めている。北海道全体に、株式会社トマトの品質が広がる未来を楽しみにしたい。