part.2 愛される商品・サービスの生み出し方

社長対談 第4回のゲストは、様々なリゾート地の再生を成功させ、日本に新たなリゾートの概念を生み出した“観光業界のカリスマ”星野リゾートの星野 佳路氏と、ライフスタイルブランドの「ショップジャパン」を運営し、『ビリーズブートキャンプ』『ワンダーコア』などのヒット商品を次々と生み出す、株式会社オークローンマーケティングのハリー・A・ヒル氏。
多くの人を感動させる商品・サービスを追求し、大企業へと成長させたお二人が語る経営の極意に迫ります。

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愛される商品・サービスの生み出し方

【星野】
(ショップジャパンの商品『ワンダーコア』を見て)
ヒルさん、さっきから目の前に置いてあるこの道具、キックボクシングの道具かなんかだと思って見ていたんですけれど、これはなんですか?

【ヒル】
こちらはショップジャパンの『ワンダーコア』といって、健康器具なんですけれども、特に腹筋と背筋をつくる、誰でも使える、簡単に鍛えることができる器具です。

~星野代表『ワンダーコア』体験~

【ヒル】
(星野代表が体験している様子を見て)
大体皆さん、最初はこういう感じでいいんですけれども、一回ゆっくり5秒数えて後ろにいって5秒数えて戻ることを意識してみてください。

【星野】
1,2,3,4,5、こんな感じですか?1,2,3,4,5。なるほど。

【ヒル】
私たちの基本的な自分のドメインは日常生活を良くすることです。そのための5つのキーワードがあるとすると、1つは「Innovation」。日常生活にはなかなか「Innovation」がないというんですけれど、ちょっとした「Innovation」で人はハッピーになる。

2つ目の大きなことは「Wow!」。先程、星野さんがワンダーコアを体験した時、思ったより違うということを感じた。この少しの「Wow!」を感じさせるということが大事。

3つめは「Fun」。「Fun」は単なる楽しい「Fun」ではなくて、充実感、達成感。「あっ、これだったら継続できる」、これが「Fun」です。この3つがあれば、少し「Life Style」、日常生活が良くなってきます。

最後は「Happy」。結局自信がつくと自分でも楽しめるなということで、私たちが商品をつくる時、この5つのキーワードを盛り込めるかどうかを見ています。それ(盛り込めるの)だったらやりますし、そうでなければ必要ないと。 

【星野】
継続ってなかなか難しいですからね。さっき僕が『ワンダーコア』をやった時の驚きというのは、支えてもらっているんで、意外に辛くないといいますか、辛くないから続けられるというのは感覚としてわかりました。

【ヒル】
私はお客様の声をたくさん聞きますけれども、やはり、健康に対する意識は高いんです。90%の人は健康を意識していますけれども、日頃、健康に過ごすための行動がなかなかできていない。そうすると、何か最初にやって「あっ、痛い」となってしまうと、それはもう止めます。ですから、私たちが皆さんの健康を毎日継続できるように、少しお手伝いをしています。

【星野】
売っているものの中で、こういうものはどのくらいの種類があるんですか?

【ヒル】
こういった健康器具は、メインで5種類あります。

【星野】
僕の場合は、さっき「日常生活のイノベーション」っておっしゃっていたんだけど、僕らはどっちかっていうと非日常といいますか、人間はみんな旅に出たがるんですけれど、それは日常から離れたいからなんですよね。その日常から離れたい時のサービスを提供しているというのが私たちの仕事なんですよね。

【ヒル】
私も星野さんなど色々見て、最近非常に上手だなと思うのですが、その形のない「Experience(経験)」を提供する。金額がいくらだということではなく、いくらでもいいからこういうエクスペリエンスをして変えたい、そういうこと(顧客のニーズ)をかなり意識してつくっているような気がします。

【星野】
そうですね。意識してつくっていますが、面白いことに、僕らは意外にマーケティングという顧客のニーズを聞くとか、顧客の要望を聞くということをあまりしていないんですよね。顧客に聞いてもなかなか出てこないんです。

やっぱり旅というのは発見だし、行ってみて気づくということがたくさんあるので、それは聞いてもなかなか出てこないんですよね。だから、自分たちがどういう世界を紹介したいかとか、各地域には地域らしい魅力とか地域らしい違いってありますから、そのローカルな魅力を探して顧客に演出するというのは、どっちらかというとアーティストに近い感覚ですよね。


星野リゾート 代表 星野 佳路

30ヶ所以上でホテル、リゾート施設を運営。困難だと言われていたリゾート地の再生を次々と成功させる“観光業界のカリスマ”。
星野氏は慶應義塾大学卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院へ入学。1989年に星野温泉(現星野リゾート)へ入社。約半年後にシティバンク銀行へ転職し、リゾートやホテル事業の債権回収業務などを担当。1991年に星野温泉(現星野リゾート)に再入社、代表取締役社長に就任。2001年に初めてリゾートの再生案件を受け、2004年に黒字化に成功。その後も困難だと言われていたリゾート地の再生を次々と成功させる。


株式会社オークローンマーケティング(ショップジャパン) 代表取締役社長 ハリー・A・ヒル

ライフスタイルブランド「ショップジャパン」を運営。『ビリーズブートキャンプ』『ワンダーコア』等のヒット商品を次々と生み出す。
ヒル氏は、米国コーネル大学文学部を卒業後、来日。その後、米国へ帰国し証券会社へ就職するも、日本での成功を目指し再来日。1999年にオークローンマーケティングに入社。コールセンター統括を経て、2006年に代表取締役社長に就任。ヒット商品からロングセラーへ育てることで、安定したブランドを確立したことにより、社長就任後6年間で3倍の売上規模にまで成長させた。

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