part.4 経営で最も苦労したこと

社長対談 第4回のゲストは、様々なリゾート地の再生を成功させ、日本に新たなリゾートの概念を生み出した“観光業界のカリスマ”星野リゾートの星野 佳路氏と、ライフスタイルブランドの「ショップジャパン」を運営し、『ビリーズブートキャンプ』『ワンダーコア』などのヒット商品を次々と生み出す、株式会社オークローンマーケティングのハリー・A・ヒル氏。
多くの人を感動させる商品・サービスを追求し、大企業へと成長させたお二人が語る経営の極意に迫ります。

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経営で最も苦労したこと

【ヒル】
4代目となるとかなりこの23年間で苦労してきたと思うのですが、どのように変化させてきたんですか?

【星野】
長いタームでのビジョンというのはあるんですけれど、小さな会社だったものですから、目の前の問題を解決するのが大変だったんですね。特に最初の10年は、遠い目標に向かっているという実感があまりなくて、目先の色々な課題を解決することに奔走していました。

特に私の場合は日本の地方なんですよ。東京ではないんですね。ですから、東京にはとても優秀な素晴らしい人材がたくさんいるんですけれど、地方で長らく働いてくれる優秀な人材を探すのは結構難しいんですね。

それがまた、トヨタの工場とかTDKの工場とかたくさんあるんですけど、私たちのような当時無名の旅館で働いてくれるという人を探すのは大変だったんですね。リクルーティングが一番苦労したんです。

【ヒル】
入った時もそうですか?

【星野】
入った時もそうですし、日本の観光産業全体としても未だにリクルーティングというのは、ワンビッグイシューなんですよ。これが今後の地方の観光産業においては一番のボトルネックになると私は思ってますね。

星野リゾートも、今はリクルーティングができるような会社になりましたけれども、当時は大変でしたし、今後もとても大事な分野だと思いますね、優秀な人材、大学を卒業した人を東京でリクルートしても、いきなり地方に連れていくわけですからね。やっぱりみんな東京に居たがるんですよ。

【ヒル】
私は2006年に会社を引き継いだのですが、全く同じでした。今はかなり知名度が上がったんですが、当時は新卒で採用しようすると実際に申し込んでくる人は8人くらいで、全員オッケーオッケーといっていました。

【星野】
全く同じです。僕が初めて新卒リクルーティングしたのは1993年か1994年なんですけども、最初の年は0人で、次の年は2人だったんですよ。2人はもうすぐに、面接に来た時に説得ですよね。名前も聞かないで説得していました。

【ヒル】
もう、営業ですよね(笑)。

【星野】
営業営業(笑)。

【ヒル】
私たちが多様性、柔軟性、やっぱり人が働きたい会社をつくらないと次のステージに行けないと思うんですよ。当時、名古屋ですから『ショップジャパン』という屋号はあるんですけれど、会社名は「オークローンマーケティング」なんですね。「オークローンマーケティング?なに?ローン会社?」なんて言われて。名古屋にはトヨタやデンソー、アイシン精機などがあるので、残念ですが本当に離職率が高くてなかなかレベルが高い人が来ない。

ですので、我々が、どうしてもこの会社で働きたいと思ってもらえる、社風や文化とか色々考えて少しずつ良くなってきたんですけれどね。しかし、やっぱりいい人がいないと始まらない。我々コールセンターもありますけれど、お客様とお話しして悪いサービスをしてしまうと、二度と話してくれないんですよね。

【星野】
よくわかります。意外に課題が似ているんですね。


星野リゾート 代表 星野 佳路

30ヶ所以上でホテル、リゾート施設を運営。困難だと言われていたリゾート地の再生を次々と成功させる“観光業界のカリスマ”。
星野氏は慶應義塾大学卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院へ入学。1989年に星野温泉(現星野リゾート)へ入社。約半年後にシティバンク銀行へ転職し、リゾートやホテル事業の債権回収業務などを担当。1991年に星野温泉(現星野リゾート)に再入社、代表取締役社長に就任。2001年に初めてリゾートの再生案件を受け、2004年に黒字化に成功。その後も困難だと言われていたリゾート地の再生を次々と成功させる。


株式会社オークローンマーケティング(ショップジャパン) 代表取締役社長 ハリー・A・ヒル

ライフスタイルブランド「ショップジャパン」を運営。『ビリーズブートキャンプ』『ワンダーコア』等のヒット商品を次々と生み出す。
ヒル氏は、米国コーネル大学文学部を卒業後、来日。その後、米国へ帰国し証券会社へ就職するも、日本での成功を目指し再来日。1999年にオークローンマーケティングに入社。コールセンター統括を経て、2006年に代表取締役社長に就任。ヒット商品からロングセラーへ育てることで、安定したブランドを確立したことにより、社長就任後6年間で3倍の売上規模にまで成長させた。

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