※本ページ内の情報は2023年11月時点のものです。

2015年、デジタルを通して何気ない隙間時間を楽しく過ごしてほしい、という思いから、無料のスマホアプリゲームを主軸にサービスの提供を始めた東京通信グループ。

2020年に東証グロース市場に上場し、現在はメディア事業・プラットフォーム事業のほかにもM&Aや投資など幅広く事業を展開している。

2021年〜2022年連続で、日本市場におけるゲームダウンロード数ランキングにて第1位を獲得。さらに2023年9月、芸能ファンクラブの有料アプリの運営をスタート。話題となった秋元康氏総合プロデュースの新アイドルグループ「WHITE SCORPION」向けのファンクラブサービスも提供している。

次々と新規事業に取り組む、同社の代表取締役社長CEOの古屋佑樹氏に話を聞いた。

学生時代と前職の経験が活かされている

ーーどのような学生時代を過ごされていましたか?

古屋佑樹:
中学校から大学までの学生時代は、体育会系の部活動の主将を務めていました。中学校から高校までは部活動の強豪校であったため、同じ目標や志を持った仲間たちをまとめていました。

大学ではその部活が盛んではなかったため、部員の中には、初心者だったりモチベーションが低かったりする部員もいる状態でした。主将として、バラバラな部員たちをまとめることに努めていましたね。

このように学生時代に部活の主将をしていた経験が、現在の組織をまとめて牽引していく立場に活かされていると思っています。

ーー大学卒業後は株式会社シーエー・モバイルに入社されますが、就職先をIT企業に決めた理由は何だったのでしょうか?

古屋佑樹:
大学のOBが就職イベントに来たとき、IT企業のOBが、他の大手企業のOBよりも若い人だったのです。気になったので質問してみると、IT業界は若い人でも重要なポジションを担うことができると教えてもらいました。大手金融企業等では、50〜60代で重要な役職に就くことが一般的ですよね。その若くてかっこいいOBを見て、IT業界で活躍したいと思ったのです。

それから就職活動では、あらゆるIT企業を受けました。そしてメディア・コンテンツや広告媒体などのさまざまな事業を展開していた株式会社サイバーエージェントの子会社であるシーエー・モバイル(現:CAM)に入社を決めました。

ーーシーエー・モバイルではどのような仕事をされていたのでしょうか?

古屋佑樹:
入社当時はガラケーの時代で、営業の仕事をしていました。おもにインターネット広告にモバイル広告をセットで提案するといった営業です。その後は、1年〜1年半ごとに業務が変わっていき、さまざまな業務に携わりました。

スマホの時代に入ると、私がマネージャーとしてチームを率いながらアプリの企画・作成を進めていきました。私のチームは時流に乗り、大きな利益を生み出すことができたので、自由にメディアやゲームアプリの企画・作成を任せてもらえるようになりました。そこからさらに、ソーシャルゲームやツールなどのさまざまなアプリをリリースしていきました。

再会から創業へ

ーー貴社の取締役会長である外川穣さんとの出会いから創業に至るまでの経緯を教えてください。

古屋佑樹:
外川氏は、シーエー・モバイルの代表取締役社長を務めていました。私が採用面接に行ったときが最初の出会いです。しかし、新卒と社長の関係でしたので、在籍当時は接点があまりない状態でした。

しかし2015年、私が退職し、フリーランスで活躍していたときに、外川氏から連絡をもらい、一緒にビジネスをしようと意気投合したことがきっかけで創業することになりました。前職の社長と新卒入社の私が、共に一緒に創業するのはとても珍しいケースなのではないでしょうか。

仲間を大切にしながら何回もチャレンジできる環境

ーー創業されて初めて着手した事業は、無料スマホゲームアプリでしたね。

古屋佑樹:
そうですね。やはり前職の経験から、マーケティングを得意としていたため、スマホアプリ事業を成功させる自信がありました。

また、チームビルディングを大切にしたい想いもありました。ソーシャルゲームの運営の場合、プロジェクトのために人が集められても、失敗してしまうとサービスは終了し、そのチームも解散させられてしまうといったことが多いです。チームが解散するたびに転職を繰り返す人もいます。

しかし、せっかく会社を設立したのですから、同じ目標や志を持った仲間を失いたくないと思い、プロジェクトが失敗してもすぐに次のプロジェクトに挑戦できるような環境を整えようと思ったのです。高速回転するようにプロジェクトのPDCAを繰り返しおこない、アプリを量産できる体制を構築することで、手軽に無料で楽しめるカジュアルゲームのスマホアプリの配信事業を始めました。

ーーその後はプラットフォーム事業に着手されていますね。

古屋佑樹:
はい。相談サービスやヘルステック、エンタメテックですね。相談サービスでは、サイバーエージェントからM&Aによって「電話占い」事業を買収しました。文字通り電話で占いができるサービスです。10月には恋愛相談サービスもリリースしています。さらに将来的には、資格を要するような士業へ相談ができるサービスも企画できればと思っています。

ーー貴社は独自のスタイルを築いていらっしゃるように思います。

古屋佑樹:
特に主力のアプリ事業については、類似事業をおこなっている企業はありますが、国内向けのカジュアルゲームと、海外向けのハイパーカジュアルゲームの両輪に取り組む企業は他にないですね。

おかげさまで、2021年〜2022年連続で日本市場におけるゲームダウンロード数ランキングにて第1位を獲得しています。手軽に楽しめるアプリとして、余暇の時間への貢献ができているのではないかと自負しています。

新卒の人材育成にも取り組む

ーー貴社は有能な人材が揃っている印象ですが、今後はどのような人材を求めていらっしゃいますか?

古屋佑樹:
弊社は、管理職が著しく少ない環境です。なぜなら有能な方には、指示や管理をおこなう業務ではなく、その人の得意な業務に集中してほしいからです。弊社のこのような思想に賛同してくれる方を探しています。あとは、ご自身の責任の下、組織を作っていきたいという方と思想が合致すれば、ぜひジョインしていただきたいですね。

今は、とくにエンジニアの方の採用に悩んでいます。今までは即戦力を優先して、中途採用が中心でした。しかし今年からは新卒採用を取り入れ、人材育成にも力を入れていこうと思っています。

編集後記

何気ない隙間時間をスマホアプリによって楽しい時間とすることを目指している古屋CEO。また、プロジェクトに何度でも挑戦できる環境を提供していることから、社員を大切にしたいという強い思いも感じる。

あらゆる事業に挑戦し続けている東京通信グループの勢いに目が離せない。

古屋佑樹(ふるや・ゆうき)/1986年11月14日生まれ。成蹊大学を卒業後、2009年4月にシーエー・モバイル(現CAM)入社。2015年5月に東京通信を設立し、無料スマホアプリゲームの企画・運営サービスを始める。2020年にグロース市場に上場。マーケティングを得意とし、2021年〜2022年連続で国内ゲームダウンロード数第1位を誇る。