丸江伸銅株式会社は、安政年間の創業から160年以上の歴史をもち、機械の部品などに使われる伸銅品分野のリーディングカンパニーとして製品の開発・生産・販売を一貫して手がけてきた。
今回は、代表取締役社長の岡田和也氏に、社長に就任するまでの経緯や事業の強み、求める人物像、働く環境、注力していくことなどについて、話を聞いた。
会社を継ぐつもりはなく、大学卒業後は航空関係の仕事を選択
ーー社長に就任するまでの経緯を教えてください。
岡田和也:
会社を継ぐのは兄だと思っていたので、私は最初の頃は経営者を意識していませんでした。
しかし私が大学に入った頃に兄は別の仕事をする道を選んだので、そこから経営者というものを意識するようになりました。
幼少期から飛行機が好きだったこともあり、立命館大学を卒業後は航空関係のエンジニアとして働いていたのですが、2014年に弊社に入社することになりました。
そして取締役や代表取締役専務として経験を積んでいき、株式会社設立から80周年を目前にした2023年10月に代表取締役社長へ就任しました。
お客様に合わせた柔軟な対応を強みに安定経営を続ける
ーー長きにわたって経営を続けてこられたのはなぜだと思いますか?
岡田和也:
かつては伸銅品を扱う企業が多く存在していましたが、今では京都にも5社しか残っていません。
そのように競争相手が少ない中で、長い期間培ってきた歴史とノウハウを活かした伸銅事業を展開することで、安定的に経営を続けることができたと考えています。
ーー貴社の強みを教えてください。
岡田和也:
同業他社には大手企業が多いですが、弊社は大手と比べて小回りが効きやすく柔軟に対応できる点が強みです。
生産量は大手企業には及びませんが、短納期での提供や、できるだけお客様のニーズに合わせた丁寧な対応を心がけて差別化を図っています。
物づくりへの情熱があり、チームワークを大切にできる方に入社してほしい
ーー採用活動はどのように進めていますか?
岡田和也:
今までは退職者が出たタイミングで欠員補充を行ってきました。
しかし、現在では会社全体の平均年齢が40代後半に達しているため、若手人材の採用にも積極的に取り組み、新しい風をとり入れたいと思っています。
ーー貴社にはどのような人材がマッチしていますか?
岡田和也:
チームワークを大切にできる方が合うと思います。弊社を支えているのは現場の力で、現場はチームで協力して仕事に取り組んでいます。
そのため、「1人で黙々と作業をしたい」という方には向いておらず、「コミュニケーションをとりながら仕事をしたい」という方に向いている会社です。
プロフェッショナルを目指せる環境を整備
ーー離職率が低いとのことですが、その要因は何でしょうか?
岡田和也:
プロフェッショナルな技術を身につけられる環境が整っていることが魅力だと思います。
現場での仕事は、その日の気温などによって作業の手順や注意点などが変わるので、マニュアル通りでは対応できない高いレベルの技術を身につけることができます。
また資格取得支援の制度もあるので、入社後にフォークリフト免許などの業務に活かせる資格を取得できます。
夏の暑さや冬の寒さといった厳しい労働環境下での業務は大変ですが、このようなサポート体制や環境が社員のモチベーションアップにつながっていると感じています。
取引先のニーズの対応と働きやすい環境づくりに注力していきたい
ーー今後注力していくことがあれば教えてください。
岡田和也:
主に2つあります。
1つ目は、既存取引先のニーズ拡大です。伸銅業は狭い業界であり、新規開拓を行うことがなかなか困難です。新規開拓よりも、既存のお客様のまだ拾えていないニーズに対応することに力を注ぎたいと考えています。
2つ目は、働きやすい環境づくりです。今以上に有休をとりやすい環境にしたいと思っているので、それを支えるために人員の確保と体制強化に力を入れ、採用活動を強化していきます。
また、評価制度もわかりやすい内容で運営できるようにアップデートを進めており、「それによって社員のモチベーションがアップしたら良いな」と考えています。
将来の自分への投資として多くの挑戦をしてほしい
ーー最後に読者である若手人材に向けたメッセージをお願いします。
岡田和也:
いろいろなことに挑戦してほしいと思います。今しかできない経験は思っている以上に多いので、少しでも興味を持ったことや必要だと感じたことは、失敗を恐れずに積極的に挑戦してください。
もし、失敗に終わっても、その経験は必ず将来の自分を支える財産となります。将来の選択肢を広げることにもつながるので、できるだけ多くの挑戦や経験を積んでいってください。
編集後記
創業160年の長い歴史とノウハウを活かし、お客様のニーズに柔軟に対応してきた岡田社長。資格取得支援制度も整え、プロフェッショナルを目指しやすい環境づくりにも貢献してきた。
今後もさらなる取引先との関係強化や働きやすい環境づくりにも注力し、発展・拡大に向けて進み続けることだろう。
岡田和也(おかだ・かずや)/1986年京都府生まれ、立命館大学大学院理工学研究科修了。航空機関係のエンジニアリング職を3年間経験し、2014年に丸江伸銅へ入社。取締役、代表取締役専務を経て、2023年代表取締役社長に就任。