GLOE(旧ウェルプレイド・ライゼスト)株式会社は、eスポーツの企画・運営やインフルエンサーマーケティング、クリエイターサポートなど多岐にわたる事業を提供しているゲーミングライフスタイルカンパニーだ。
2022年には東京証券取引所グロース市場へ上場し、事業拡大を続けている。
今回は、代表取締役の谷田優也氏に、幼少期や学生時代のエピソード、起業までの経緯、苦労のエピソード、今後の展望などについて、話をうかがった。
ゲームと共に歩んできた学生時代
ーーゲーム業界を目指すことになったきっかけを教えてください。
谷田優也:
主に3つあります。
1つ目は、幼少期の経験です。小学5年生の頃に、とんねるずの番組でカプコンに取材を行う回がありました。その時に初めてゲーム会社の仕事を知ったのですが、「ゲームのような面白いものを開発する側になれたらとても面白そうだ」という感想を抱きました。また、そこで働く人たちもとても楽しそうだったので、さらにゲーム業界へ興味を抱きました。
2つ目は、高校生の頃の経験です。当時、ゲームプレイ動画を友人に見てもらうということを行っていました。今でいうゲーム実況のようなことに取り組んでいたのですが、友人が楽しそうにプレイ動画を見てくれてとても嬉しかったので、この経験もゲーム業界に踏み込む1つのきっかけになったと感じています。
3つ目は、ゲーム会社でフリーランスエンジニアとして働く親戚の存在です。高校生の頃に、その親戚にゲーム会社やゲーム開発の話をよく聞きに行き、プログラミングについても教わることができました。そこでゲーム会社で働く具体的なイメージを持つことができ、将来的にはゲームに関わる仕事に就きたいと思うようになりました。
ーー大学卒業後はどのようなキャリアを積んできましたか?
谷田優也:
大学卒業後、最初はiモードの公式サイトの企画や開発などの仕事をしていました。
その後はサイバードに入社し、六本木ヒルズにある会社に出向してモバイルサイトの運営を担当しました。
そこで出会った方が新しい会社を立ち上げるというタイミングがあり、そこに私も呼んでいただき、ゲーム会社のサイトの企画から開発、営業などの幅広い業務を約3年間担当しました。
その後も、角川コンテンツゲートやエンターブレインといった会社などでソーシャルゲームの案件にも関われるようになり、ゲーム開発やIPビジネスなどの経験を積むことができました。
海外と同じように、プロゲーマーが日本でも評価される環境をつくりたい
ーー貴社を起業するきっかけとなったエピソードを教えてください。
谷田優也:
株式会社マーベラスで働きながら、趣味の格闘ゲームであるストリートファイターに没頭していたのですが、ザンギエフというキャラクターのランクポイントでアジア4位のランキングまで行き、少しだけ有名になる機会がありました。
その時に、海外ではゲームで活躍する人が高く評価されることを知りました。
実際に知り合いの日本人プロゲーマーは、大会で優勝してもアルバイトをしている現状だったので、このようなプロゲーマーが日本で正しい対価を得られるような環境を整えたいと思うようになったのが、起業のきっかけです。
大型海外ゲーム案件が成長の起爆剤に
ーー起業後に苦労したエピソードがあれば教えてください。
谷田優也:
当時はeスポーツに予算を割く会社がほとんどなかったので、1年目は全く仕事がありませんでした。それでも諦めずに、ゲーム会社が新作ゲームを出すたびに「ユーザーに遊び続けてもらうためのプロモーションを提供するので、予算を割いてもらえないか」という提案をし続けました。
ゲームは認知されただけではプレイしてもらえません。たとえば、ゲーム大会のように自分の実力を定期的に試せる場があれば、そのために頑張ってプレイをする人が増えていきます。
このようなゲームの外側の面白さを生み出し、プレイヤーを増やすためのツールとしてeスポーツを提案し続けたところ、少しずつ仕事が増えていきました。
ーー貴社が軌道に乗るターニングポイントがあれば教えてください。
谷田優也:
スーパーセルというフィンランドのゲーム会社のプロモーションを担当させていただいたことが、大きなターニングポイントとなりました。
スーパーセルが「クラッシュ・ロワイヤル」というゲームを世界中にリリースし、日本でもいよいよリリースされるタイミングで、そのプロモーションを弊社が担当させていただくことになりました。
プロモーションの戦略や戦術を二人三脚で進め、順調に売上が伸びていきました。すると、他のゲーム会社から「世界的に有名なゲームのプロモーションをしている会社」との認識を持たれるようになり、多くの企業からも仕事をいただけるようになりました。
ゲームの力で多くの課題解決をしていきたい
ーー今後のビジョンについて教えてください。
谷田優也:
世の中にあるさまざまな課題をゲームで解決していきたいと思っています。たとえば、ラスベガスというデイサービスの施設がありますが、そこはポーカーや麻雀などをリハビリに活用しています。弊社も同じように、ゲームを通じて社会問題を解決していきたいと思っています。
他にも、勉強をゲームで楽しく学べるようにしたり、NISAやiDeCoなど、理解するのに時間がかかるものをゲームで理解しやすくできれば、多くの人たちをゲームの力で助けることができます。
私たちは誰よりもゲームの可能性を信じているので、「ゲームによって課題の解決ができて、日常で起こる出来事にゲームの要素が加わると人生が楽しくなる」と思わせられるようなプロダクトメーカーになることを、長期的なビジョンとして持っています。
感動体験と知的好奇心を持った若手人材が必要
ーー貴社が求める人物像を教えてください。
谷田優也:
今までの人生で何か強く感動した体験を持っていて、知的探求心の高い方に入社してほしいですね。この2つを持っている方であれば、「あの時の感動を届けたい」「もっとこうすれば面白い何かにたどり着けるかもしれない」といった挑戦を積極的にしていける傾向があるので、弊社で活躍してくれると思っています。
新しいものをつくり出す弊社のようなエンタメ会社では、特に若手の方の柔軟な発想や感性が大切であり、事業のポートフォリオを描くのが若手の社員である組織にしたいと思っています。
少しでも共感できる点があったり「挑戦したい」と思っていただける方がいらっしゃれば、是非弊社に来てほしいと考えております。
編集後記
起業当初は、仕事がほとんどない中で諦めずにゲームプロモーションの提案をし続け、海外の大型タイトルにも携わり、売上を伸ばしてきた谷田社長。
「ゲームの力で世の中の多くの課題を解決したい」という思いのもと、事業拡大に向けて新たな挑戦を続けている。さらなる発展・成長を続けるGLOE株式会社から、今後も目が離せない。
谷田優也(たにだ・ゆうや)/IPデジタルコンテンツのプロデュース業などに従事した後、2015年11月に日本初のeスポーツ専門会社としてGLOE株式会社(旧ウェルプレイド・ライゼストから2024年2月1日に商号変更)を設立。2022年11月にはeスポーツ事業で日本初の上場を果たす。「We are the GAMING LIFESTYLE Company.」をビジョンとして掲げ、ゲームをきっかけに人と社会をHAPPYにするソリューションやサービス、プロダクトを提供。